南アフリカで現地調査員の意識向上を目的としたトレーニングを実施

2010.09.13

8月28日から9月2日にかけて南アフリカ共和国のケープタウンで、峯陽一客員研究員が、自ら研究代表者を務める「アフリカにおける暴力的紛争の予防」研究で、現地の安全面を確認しつつ、調査を担当する現地調査員のトレーニング実施状況のモニタリングおよび業務指示などを行いました。これは、アイデンティティー集団間における所得や資産、経済的機会、教育、保健衛生などにおける不平等、政治制度、政治プロセスのつながりを通時的な比較を含めて考察するために実施されたものです。

南アフリカ共和国でのエスニック間の意識調査を実施するにあたり、歴史的背景や政治的現状から、質問内容によっては被調査者が怒り出し、現地調査員が危険にさらされる可能性が考えられます。そのリスクを最小限にするためには、調査の意義や、調査内容・質問に対する理解、調査遂行への自信が不可欠になります。このためそれらの向上を目的の1つとして調査実施前にトレーニングを行いました。

研究員トレーニングはケープタウン郊外のコミュニティ・センターで3日間にわたり行われ、調査対象住民21名を人種別に3チームに分けて、作成した調査表をもとに意識調査などが行われました。

その間、ワークッショップも開いて、調査員や関係者と調査票にある質問項目ひとつひとつの内容について議論を実施しました。その際、調査員に質問の意味や質問全体におけるそれぞれの質問の位置づけなどを詳細かつ繰り返し説明を行いました。その結果、自宅に戻ってから家族を相手に自発的に模擬調査を行い、感じた疑問点を翌日のワークショップで議論するほど、調査員の調査に対する積極性や理解度、モチベーションが向上しました。さらにトレーニングを通じて関係者や調査員が共通認識のもと、協力し合いながら調査できるチーム体制が構築されたことも今回のトレーニング実施の成果として挙げられます。

このような実証的な研究に裏打ちされた政策的含意は、政治プロセスや紛争のシグナルまで視点に入れた広義の開発や開発援助の役割の留意点に関する政策的処方箋としてドナーコミュニティに発信する予定です。

問い合わせ先

JICA研究所 企画課
電話:03-3269-2357

開催情報

開催日時:2010年8月28日(土)~2010年9月2日(木)
開催場所:南アフリカ ケープタウン

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