関西から飛び立ち、途上国で頑張る!派遣中の協力隊を紹介します-Part34-【京都府】

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氏名:松瀨紗季
勤務地:京都府
隊次:2022年度1次隊
職種:障害児・者支援


自己紹介

はじめまして、2022年度1次隊の松瀨紗季と申します。私は、東ヨーロッパのバルカン半島に位置するセルビアで障害児・者支援の隊員として活動をしています。京都府の特別支援学校で8年間勤務をし、現職参加で2022年の9月より首都ベオグラードからおよそ130㎞南下した街ヤゴディナ市にある特別支援学校で活動をしています。私の現地での活動を発信させていただくことを通して、少しでもセルビアについて、海外の特別支援教育について興味を持っていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

JICA海外協力隊の参加動機

私は小学生の頃に見たテレビ番組がきっかけで、国際協力に興味を持つようになりました。いつか協力隊員として活動してみたいと思いながら、特別支援学校の教員として働いていた中で「海外の特別支援教育について知りたい」「これまでの経験や知識を生かして海外でも働いてみたい」「一度きりの人生、いろんな世界を見てみたい」という考えが少しずつ強くなり、協力隊に参加しようと決心しました。

赴任先 ヤゴディナ市特別支援学校の紹介

Добар дан!(ドバルダン)、セルビア語で「こんにちは」という意味です。

この冬、セルビアの気温は一年前よりも少し寒く、朝晩は-5℃前後という日もあります。地域によっては-15℃前後になる場所もあります。日本でいう東北や北海道と気候が似ているように思います。冬休みも明けて、セルビアの学校も新学期を迎え、学校には子どもたちの元気な声が戻ってきました。

ここでは、私が活動しているヤゴディナ市特別支援学校での授業の様子について紹介していきたいと思います。

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配属先「ヤゴディナ市特別支援学校」


セルビアの教育制度

まずは教育制度について簡単に紹介したいと思います。セルビアでは、初等教育8年(第一段階4年、第二段階4年)、日本でいう中学校がなく、中等教育(日本でいう高校)4年、高等教育(日本でいう大学、専門学校)3年以上となっています。義務教育は、初等教育の8年間です。

配属先の概要

ヤゴディナ市特別支援学校は、聴覚障害、言語障害、知的障害、自閉症等発達障害、肢体不自由等様々な障害のある7歳~18歳までの児童生徒が在籍しています。設立当初は、聴覚と言語障害の児童生徒を対象とした学校でしたが2008年から様々な障害のある児童生徒が通うようになりました。

学校には寄宿舎があり、初等教育の8年生以上の遠方に住んでいる生徒は平日を寄宿舎で過ごしています。

1日の流れ

授業は8時から始まります。1コマ45分、休憩は5分(2コマ目と3コマ目の間は20分で朝食休憩があり、パンやお菓子を食べます)。学年によって終わる時間はバラバラですが、初等教育の多くの児童は12時半に下校します。中等教育の生徒も、寄宿舎を利用している生徒以外は14時頃には下校していきます。寄宿舎生については、14時から昼食を食べて、昼食後からは授業がある日とない日があるという流れになっています。

授業紹介

授業の内容(カリキュラム)は、地域の初等学校や中等学校と同じで「セルビア語」「算数」「物理」「外国語」等があります。学年が上がるにつれて学ぶ教科も増えていきます。

今回はその中でも中等教育の授業を紹介したいと思います。日本の特別支援学校でも作業学習(将来の職業生活や社会自立に必要なスキルを総合的に学ぶ学習)があるようにセルビアの特別支援学校にも同じような学習があります。配属先には「パンコース」「製本コース」「美容コース」の3つのコースがあります。

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【パンコース】 昼食用のパンを作っています

【パンコース】:毎日、朝食や昼食用のパンを生徒たちが作っています。様々な種類のパンを作っていて、どれもとても美味しいです。また、ゲストが来校した時にはパンやお菓子を作っておもてなしをしています。


【製本コース】:ノート、紙製のファイル、紙袋、カレンダー等を作っています。作ったものは、校内で活用されていて、ゲストへのお土産として渡すこともあります。

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【製本コース】紙製のファイルを作っている様子です。

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【製本コース】カレンダーとノート


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【美容コース】カットの練習をしている様子です。

【美容コース】:ヘアカットやメイクを学ぶことができます。生徒同士でカットやシャンプーの練習をしたり、先生方も相手に練習をしたりしています。

どのコースも生徒の実態に応じて、学習が進められています。例えば、パンコースでは数字が読める子が生地の重さを量り、その他の生徒で生地を丸めたり、所定の場所に生地を運んだりと作業を分担して行っています。生徒たちは、自分で選択したコースということもあり、生き生きと授業を受けている印象です。パンコースと美容コースについては、年度末に国内の特別支援学校十数校が集まって全国大会も開かれています。


また、授業以外には演劇のチームがあり、地域や国内外のイベントや大会にも参加しています。今年度は、地元で開催された9月の手話言語の国際デーのイベントに参加しました。その他にもバスケットボールの大会に出場する等、校外での活動も活発です。このような様々な経験をすることができるのは子どもたちにとっても素敵な経験になるなぁと感じています。

日々、子どもたちや同僚たちから様々な刺激を受けながら活動している毎日ですが、私は現職参加で活動期間が1年7ヵ月のため、2024年の3月中旬に帰国予定となっており、気が付けば任期も残りわずかとなりました。現在は、主に写真やイラストを用いた教材作成を同僚と共に行っています。お互いに知識を共有しながら最後まで子どもたちや同僚たちにとって活用しやすい教材を作成していきたいと考えています。そして、セルビアでの生活も楽しみながら過ごしていけたらと思っています。

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【演劇】手話言語の国際デー

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