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誰も取り残さない防災プロジェクト-在住外国人の防災力強化と多文化共生-イベント第2弾「震災を経験したベトナム人から、若手ベトナム人へ教訓を語り継ぐ」

2021年3月23日

JICA関西は、日本での在住者が急増しているベトナム人の防災力向上を目的に、在住ベトナム人の防災リーダー育成を行っています。
2020年12月12日(土)に実施した初回イベントに続き、2021年3月14日(日)、阪神・淡路大震災の被災経験を持つベトナム人から、若手のベトナム人へ、教訓を語り継ぐイベントを実施しました。
今回も、関西だけでなく福岡や広島などから、会社員や留学生など10人のベトナム人にご参加いただきました。

今回のイベントでは、
・人と防災未来センターで阪神・淡路大震災や東日本大震災の概要を学び、
・地域の復興のシンボル「ふたば学舎」で被災経験のあるベトナム人語り部のお話を聞き、
・阪神・淡路大震災の被害が大きく、また外国籍住民の方も多く住む神戸市長田区の街歩き、
を行いました。

人と防災未来センター

人と防災未来センターにて ご家族で参加くださった方も。

人と防災未来センター(神戸市中央区)では、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災の様子を捉えたシアター鑑賞や、震災の記録や減災に関する展示を観覧しました。

参加したベトナム人の方からは、映像や展示資料を通じて当時の様子を感じ、「ベトナムでは地震はほとんどなく、災害に備えた訓練もほとんど受けていないので、これから訓練を受けて災害に備えたい」という感想の声も聞かれました。

みなさん熱心に学んでおられました。

人と防災未来センターには展示だけではなく、減災チェックリスト等の実生活で活用できる資料や、館内スタッフによる地震発生メカニズムの説明など、様々な形での学びが用意されています。参加者同士での意見交換もはずみ、災害への備えを考える重要な機会になりました。

ふたば学舎での語り部

語り部のハ・ティ・タン・ガさん

ガさん(左から2番目)と日比野さん(右から二番目)が対談する様子

人と防災未来センター見学の後は、昭和4年(1929年)に建設され、戦災・震災を乗り越えた神戸市長田区の地域シンボルの一つである旧二葉小学校(ふたば学舎)に移動し、阪神・淡路大震災の被災体験を持つハ・ティ・タン・ガさん(ベトナム出身・神戸定住外国人支援センター所属)に、語り部として当時のお話を伺いました(モデレーターはNPO法人FMわいわいの日比野理事)。

ガさんは、避難所に避難した際、救援物資が来ることを知らず、自分達で被災した自宅の冷蔵庫から食材を集めて自炊していました。すると、周りの日本人から「その食べ物は盗んできたのか」「外国人は避難所から出ていけ」等と言われたそうです。また、大きな声で友人の無事を喜びあう姿に対しても、心無い言葉を浴びせられたと言います。さらに、「ベトナム人が街に火を付けた」「ベトナム人がモノを盗んでいる」というような、根拠のない噂が日本人の間で流れたと言います。

それに対して、ガさんは周りの日本人と話し合いを行い、お互いのことをより正しく理解し合う努力を続けてきました。その結果、共に避難所生活を送り、ベトナム人のことを理解していた日本人の中には、そのような噂を否定して回った人もいたそうです。
その経験も踏まえ、ガさんは、「震災当時の26年前と比較すれば神戸は外国人にとって暮らしやすくなった。今、仮に災害が起きたとしても、避難所の状況は当時とは違うと思う。」と仰っていました。

質疑応答の様子

参加者の皆さんは、語り部であるガさんの被災体験を直接聞く中で、災害時の状況をより具体的にイメージされたようです。質疑応答の時間では、災害が起きたらどんな行動を取るべきか、災害が起きる前に自分達にできることは何かといった具体的な質問もありました。

長田区街歩き

多文化共生ガーデン

避難時のテント村の様子を説明する金さん(左)と日比野さん(中央)

震災によって大きな被害を受けた神戸市長田区の街歩きは、NPO法人FMわいわいの金代表理事や日比野理事、NPO法人多言語センターFACILの吉富代表、そして語り部のガさんの案内のもと行われました。オンラインによる「バーチャル街歩き」の配信も同時に行いました。

まずは「多文化共生ガーデン」へ。長田地区には、阪神・淡路大震災で被災した後、長年手つかずで管理不全に陥っている空き地が点在しています。こちらは、アパートの跡地に行政の助成金を受けて整備された農園で、近隣に住んでいる外国人と日本人の方々が一緒に、パクチーや空心菜などの栽培を行っています。いざという時の食糧にもしたいとの思いから、今後はイモ類を栽培する計画もあります。

元々は、ベトナム人の方が駐車場や市営住宅前の空き地で野菜を栽培していたところ、近隣住民から注意を受けたため、「それではこの空き地を活用してはどうか」という金さんの発意で始まりました。

今では、日本人と一緒に農作業をするだけでなく、収穫物を使った食事会等の地域交流も行われ、多文化共生の重要な場所となっています。また、密集した住宅地に設けられた農園は、火災の延焼対策にも役立つため、行政からも推奨されています。防災と多文化共生が共存する、長田区らしい交流拠点についての説明に、参加者は興味深く聞き入っていました。

お話しをお聞きした大正筋商店街のお茶屋さん(中央)

その後、南駒栄公園の跡地を訪れ、テント村となっていた当時の様子をパネルも用いてお話しいただきました。

最後に、震災で全店舗の約9割が焼失した大正筋商店街へ。商店街の店舗では、「震災で全てが焼失してしまったが、各店舗が独自の商品を販売するなどの努力を行うことで復興を遂げてきた。その中で、人と人とのつながりの大切さに気付き、皆が明日に向かって頑張っている。これからも、つながりを大切に笑顔で過ごしていきたい。」というお話しをお伺いすることができました。

街歩きを通じて、防災に関する知識を深めるだけでなく、参加者同士の交流が深まる機会にもなりました。

参加者の声

終点は新長田駅(震災復興と地域活性化のシンボル鉄人28号)。神戸がさらに「グー」な街になりますように!

・今回のイベントを通じて、地域コミュニティ活動に力を入れる人々との新たなコネクションが生まれた。これからもお互い連携を取り、サポートし合いたいです。
・ベトナムには地震がないけど、その恐ろしさや対策の必要性はよく伝わった。
・自分達の活動地域も木造長屋が多く、長田区の事例が参考になると思いました。
・自社で雇用しているベトナム人社員と早速、災害対策マニュアルの作成に着手した。今後もぜひ参加したいです。
・これから災害対策に自分の力を役立てたいです。
・バーチャル街歩きは臨場感がありました。

JICA関西は、在住ベトナム人防災リーダー育成の活動を、今後も月1回程度行っていきます(次回は4月17日(土)を予定しています)。この取組は、在住ベトナム人のみならず、市民団体、ベトナム人を雇用する企業や関係団体、自治体、国際交流協会など様々な方と連携して進めることが重要ですので、ご関心のある方は是非お問い合わせ下さい。