教員向けプログラム「やってみよう!持続可能な『SDGs』教育」を実施しました。

2023年1月26日

教育現場において「持続可能な社会の作り手の育成」「SDGsの実践」が求められる昨今…「とはいってもSDGsについて具体的にどう教えたらいいの?」と悩んでいらっしゃる先生方も多いのではないでしょうか。このような声にお応えすべく、この度、JICA関西とNPO法人Deep Peopleは、SDGs教育の実践において教育現場の役に立つプログラムや手法を紹介するオンラインセミナーと、SDGsのゴール達成のために取り組む企業の視察ワークショップを2日間に渡って実施しました。
またJICA関西は、SDGsの達成に向けて多様なアクターが参加するプラットフォームとして2017年12月に発足した関西SDGsプラットフォーム(以下「KSP」)の事務局も務めており、今回のプログラムではKSPに加盟する多くの企業・団体様にも協力、参加をいただきました。2日間の研修の様子をお届けします。

1日目:オンラインセミナー

基調講演

【基調講演】
NPO法人Deep People代表 牧文彦氏「SDGs教育のすすめ」
今の教育は「持続可能な教育」になっているのか?
30年前の国連環境開発会議(地球サミット)における12歳のセヴァン・カリス・スズキさんのスピーチを引用しながら、本業がデザイナーである牧氏ならではの「デザイン=新たな価値の創造」という観点に立ったSDGs教育のアプローチ手法をお話いただきました。

【分科会】
JICA関西・DeepPeople・関西SDGsプラットフォームがそれぞれ行っている「SDGs教育」に関わるプログラムを紹介する3つの分科会を行いました。

分科会①:【JICA関西】体験!国際協力出前講座「元協力隊が伝える!世界の10代の暮らし」
JICAは学校の授業や講演会などにJICA海外協力隊の経験者・JICA研修員(留学生)・JICA職員などの国際協力事業の関係者を紹介する「国際協力出前講座」を実施しています。分科会ではこの出前講座を参加者の皆さまに疑似体験していただきました。その後、実際に出前講座を利用されその後の学習に活用されている、大阪市立新巽中学校の里見先生に、活用手法や利用しての所感などをお伺いしました。

分科会②:【DeepPeople】体感!小学6年生が考案した食品ロスについて楽しく学ぶ“食べ残しNOゲーム”
栗田哲(くりた あきら)さんが小学6年生の時にDeep Peopleのアドバイスを受けながら開発した「食べ残しNOゲーム」を参加者の皆さんに体験していただきました。SDGsを楽しく学べるゲームに皆さん興味深々のご様子でした。

分科会③:【関西SDGsプラットフォーム 教育分科会SDGsナレッジラボ】紹介!“ユースに向けたSDGsのプログラム”
関西SDGsプラットフォーム教育分科会 SDGsナレッジラボは、関西から若者(YOUth)によるSDGs達成に向けたアクションやアイデアを募集し、それらを企業や団体等とパートナシップを組み、アクションを広げたりアイデアを実現するサポートを行う「関西SDGsユースアクション」の運営を行っています。その事例を紹介し、若者がSDGsへの興味関心・理解を深め、問題を自分ごとに捉えて提案をするというアクションを通じ、どのように主体性を育み自己肯定感を高めてきたかをお話しました。

【1日目 参加者の声】
・「SDGs教育とは、SDGsとはなにかを教えるのではなく、未来を自らで創り上げる力を養うこと」というワードに目からうろこの感覚がありました。
・様々な団体が違ったアプローチでSDGs教育に取り組まれていることを知ることができ、現場の教員としてつながりをもたせていただきたいと感じました。
・関係団体の力を借りながら教育活動を進めることができればと思いました。
・出前モデル講座の写真の見せ方、使い方などが参考になりました。
・SDGsを教科で行うと家庭科に集中するため幅が限られてしまいますが、総合の時間や英語の時間などを利用するなど、教科を越えてできたら良いと思いました。

2日目:企業視察ワークショップ

セミナー2日目は関西にあるKSP会員企業3社を訪問。企業活動の中でのSDGsの取り組みを紹介いただき、その後はそれぞれの企業が工夫を凝らしたワークショップを通じてSDGsの実践に関する学びを深めました。日常生活ではあまり接点がない企業の取り組みにも興味深々。また参加者同士の交流も生まれ、大変実りあるワークショップとなりました。

株式会社チクマ

【訪問協力企業】
・株式会社チクマ(大阪市)(繊維専門商社 制服・ユニフォームの企画製造)
「環境」「安全」「安心」をキーワードにSDGsに取り組むチクマの「服育」って!?
参加者には最初は耳慣れない「服育」という言葉でしたが、制服の一生を学べる「すごろく」などを通じて紹介される、身近な「服」から考えるSDGsの取り組みは分かりやすく、実践しやすいものであるという気づきが得られました。

浜田化学株式会社

・浜田化学株式会社(尼崎市)(廃食油・食品リサイクル、環境ソリューション事業)
飲食店などの廃油回収リサイクルを中核に、「人と循環で世界を救う」をミッションに掲げ、様々な分野で挑戦を続ける同社。当日は工場見学もさせていただき、社長にはリサイクル現場の裏側から資源循環の重要性、人との向き合い方まで、幅広く、熱く語っていただきました。

リコージャパン株式会社

・リコージャパン株式会社(大阪市)(オフィスサービス・オフィスプリンティング)
「ものを作らない販売会社ならではのSDGsの取り組み」とはどういうものなのか?SDGsについてどんなふうに社員教育をされているのか?当日はオフィスの見学をさせていただき、その後は社員さんもファシリテーターとして入っていただきながらワークショップを行いました。

【2日目 参加者の声】
・事業を通して社会課題に取り組む熱意が感じられ、強い刺激を受けました。
・立場の違う方々の考えなどを聞ける貴重な時間でした。
・想像していた以上にSDGsの観点での取り組みをされていると思いました。
・オフィス見学では各所に工夫が見られ大変勉強になりました。