元JICA留学生のアフターストーリー~日本とルワンダをつなぐ架け橋として~

【写真】MUGARURA Amiriさん(ルワンダ出身)ABEイニシアティブプログラム・第1バッチ・神戸情報大学院大学
MUGARURA Amiriさん(ルワンダ出身)

研修期間: 2014年9月15日から2017年3月29日まで
Amiri(アミリ)さんは、2014年から2年間大学院でITを学び、修了後、音羽電機工業株式会社(以下、音羽電機)での半年間のインターンシップを経て帰国。しかし、帰国後も音羽電機とのつながりは続き、同社のルワンダ進出をサポートしてきました。今年10月、音羽電機が実施しているJICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業の現地カウンターパートと共に再来日したアミリさんに、なぜ日本に留学し、音羽電機でインターンシップすることを選んだのか、留学当時の想いや、帰国後の活動、将来についてインタビューしました。

日本のハイテクノロジーに憧れて

アミリさんは、2012年にJICA短期研修員として神戸に3週間滞在したことをきっかけに、日本の情報技術(IT)を学びたいと思うようになりました。その後、ABEイニシアティブプログラムの留学生として2014年に再来日し、神戸情報大学院大学でデータ・サイエンスや災害マネジメントについて研究し、修士号を取得。ABEイニシアティブは大学院修了後最大半年間のインターンシップをすることができますが、どんな企業でインターンシップをしたら良いか悩んでいた頃、指導教授の紹介で、雷対策が専門の音羽電機を知り、自身が研究してきたデータ・サイエンスを音羽電機の避雷器に応用できるか試したいと思い、約半年間のインターンシップを行いました。音羽電機では主にセンサーからの情報分析を中心とした業務を担当しながら、同社の高性能な避雷器の技術だけではなく、労働環境を整えることの大切さ、ビジネスに取り組む姿勢を学びました。そんな中、IT化が進むルワンダでは雷被害が多い一方、人や重要な装置への雷対策が不十分である現状をプレゼンし、積極的に音羽電機に提案を行いました。

帰国後もルワンダと日本の懸け橋として

音羽電機工業の本社内にて
アミリさんと筆者(左から1・2人目と一番右)

アミリさんは2017年3月に音羽電機でのインターンシップを終え、自身が日本で経験し学んだことを活かしたいという想いを胸に、ルワンダに帰国しました。その後、日本在学中に起業したデータ・エキというIT会社のCEOとして活躍しています。「データ・エキ」という社名は、様々なデータが集まる場所になってほしいという想いから、日本語の「駅」にちなんで名付けたそうです。また、別の民間会社で政府向けのソフトウェア開発の分野でも働いています。そんな中、アミリさんがインターンシップ中に提案したことでルワンダの雷被害の多さを知った音羽電機が、本格的にルワンダ進出を検討するため、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業の普及・実証・ビジネス化事業に応募したところ、採択されてルワンダでのビジネス活動計画の実証・策定が決定。以来、アミリさんは現地と音羽電機をつなぐ架け橋として、本事業のサポートを行ってきました。その一環で2022年10月、現地のカウンターパートであるルワンダ公共規制局(Rwanda Utilities Regulatory Authority)の技術者5名が日本を訪れた際、アミリさんは音羽電機の現地サポーターとして同行し、約3年ぶりに懐かしの関西、そして音羽電機に帰ってきました。

つながりの輪を広げていくために

アミリさんは雷対策の機器導入だけではなく、教育の重要性も考えています。実際、ルワンダでは雷による感電被害で亡くなる人が多いのに、雷の危険性や避雷器の設置等、対策の重要性について理解が広まっていません。アミリさんは雷が落ちることが予見されるときどう身を守るべきかを遊びながら学べる、音羽電機が取り組む「雷オニごっこ」をルワンダに普及させる活動も行っています。また、ルワンダはまだまだ発展途上の国であり、今後より多くの優秀な人材が必要になるので、最初、自分ひとりだったルワンダと音羽電機のつながりが、今回の来日で5人に増えたように、今後も自分のように日本で学ぶ機会を得られる人が増えて日本とのつながりがどんどん大きくなっていって欲しいとアミリさんは話します。

まさにABEイニシアティブプログラムのビジョンである、日本とルワンダの懸け橋となって、プログラム修了後も技術、教育と様々な場面で活躍するアミリさんの今後の益々の活躍に期待すると共に、今現在、日本で学ぶ多くのJICA留学生たちが第二・第三のアミリさんとなって、日本と開発途上国の懸け橋が増えていくことを楽しみに、日々自国の発展のため奮闘するJICA留学生たちを応援したいと思います。

(開発大学院連携課 河野由紀子、渡邉光紀(インターン)、栗原南海人(インターン))