【民間企業×SDGs】社員一丸となってSDG推進-株式会社田中の取り組み-(後編)

2021年9月22日

【画像】近頃新聞やTVでよく見かけるSDGs。電車や街の中で、胸元にキラリと光るSDGsバッジを付けている人を見かける機会も多くなってきました。
そして、関西でもこのSDGsに取り組む企業が増えていることをご存知ですか?
SDGsについて少しでも身近に感じていただけたらと思い、JICA事業をご活用くださっている企業の中から、SDGsに取り組まれている事例を紹介します。JICAとの出会いがきっかけで全社的なSDGsへの取組を始めた株式会社田中様のインタビュー後編です。

企業がSDGsに取り組むメリットとは?

株式会社田中のSDGs推進リーダー
管理部 専任部長 近藤さん

JICA関西: なぜ、SDGsのコンセプトを組織や従業員に浸透させることが必要だとお考えですか。

株式会社田中:企業の観点からすると、SDGsは10年後(達成目標とされている2030年)に存在できているかの道しるべのようなものと言えます。SDGsが企業の将来と密接に結びついていることを従業員ひとりひとりが理解し、将来の自社の「あるべき姿」を意識して働かなくては、10年後には厳しい現実を突きつけられることとなるのではないでしょうか。そのためにも従業員ひとりひとりが、企業としてのSDGsの取り組みが会社のメリットに直結してくることを実感することも重要です。

JICA関西:「メリット」とは、売上ということでしょうか。

株式会社田中:様々な形でのメリットがあると思います。例えば、弊社の従業員採用は転職者、中途入社者が多いのですが、彼らの多くが志望動機に弊社の社会貢献度の高さをあげます。SDGsに取り組むことで、こうした弊社の特徴を更によく理解してもらう、またSDGsに関心のある未来志向の方からの応募が増えるといったメリットもあると思います。その観点からも、今後は広報活動にも力を入れる予定です。一方で、弊社の従業員が、自社事業や個人の行動がSDGsに貢献できていることを自覚することで、会社や当社製品に対する誇りや、個人の社会への貢献の意識を更に高める、といったモチベーション向上にもつながります。今回取り組んでみて、数十年前から展開していた事業が実はSDGsと深く結びついていることに自覚的でなかったのは企業として、もったいなかったと痛感しました。今後はSDGsの取り組みを社内外に発信していきたいと考えています。
 
ちなみにタスクフォースではメンバーを「SDGsアンバサダー」と呼び、社内や家族に弊社の事業をSDGsの観点から宣伝してもらい、浸透を図りました。また、営業の現場からは、最近、弊社のホームページでSDGsの取り組みを知ったお客様から質問され、話が盛り上がるというケースが増えてきた、あるいは新規事業で、取引先とSDGsの実現にもつながる取り組みを共通理念として推進中、といった声も聞こえてきており、新たなビジネスポテンシャルにもつながる意味でも大きなメリットがあると考えています。

【画像】JICA関西:御社がここまで積極的にSDGsに取り組むことができた要因は何だとお考えになりますか。

株式会社田中:組織トップのコミットメントがあったことが大きいです。また、時間をかけて取り組みを進められたことも要因だと思います。タスクフォースのメンバーは本来業務に加えて活動をすることとなるため、本業への負担にならないよう当初から余裕をもった活動計画を立てました。時間をかけて取り組む必要性について経営幹部から理解を得られたのは良かったです。 


JICA関西: SDGs推進事務局は今、どのような活動をしていますか。

株式会社田中:現在、事務局は3つのチームに分かれ、社内への啓発活動(社内グループウェアでの紹介など)を行うチーム、対外的な広報チーム、事業に結びつくものに取り組むチームで、今後の計画を考えているところです。各アクションは部署をまたいだ取り組みとなり、事務局は推進役の役目を担います。中長期的にSDGsに取り組んでいくために事務局自体もサステナブルな存在にしたく、事務局のメンバーは固定せず、適宜入れ替えていく予定です。


JICA関西:最後に、この記事を読まれた皆さんへのメッセージをお願いします!

株式会社田中:振り返ってみての気づきですが、中小企業でもSDGsの取り組みはある意味、ゲーム感覚で楽しく始めることができると思いました。そのためには、メンバーがどのような意見を出しても受け入れるような雰囲気を醸成し、アイデアを出し合うことも有効ではないでしょうか。SDGsを通して企業同士が結びついていくのがこれからの時代なのではないかと考えていますし、「SDGs仲間」が増えそのような世の中になることを期待しています!

まとめ

トップの強いコミットメントと、通常業務に加えて自社のSDGs活動案を議論するタスクフォースの余裕を持った活動計画への経営者の理解に加えて、近藤さんや山下さんの強いリーダーシップも株式会社田中がここまでSDGs事業を展開できた要因だったという印象を受けました。広報活動の強化など、今後も持続的にSDGsに取り組まれるとのことで、これからの展開にも注目したいと思います。