総合防災 来日研修員へのインタビュー

2023年3月6日

1月12日から2月23日までの約6週間、総合防災の来日研修が行われました。本研修は、日本の災害の経験と地域防災計画について学び、各国で災害のリスクを減らすための事前の防災計画の策定と、防災への投資促進を目的としています。研修員は、地方防災計画政策のための8つのSTEP(=8STEP)を学びました。今回、JICA関西でインターンをしている大学生が、2人の研修員にインタビューしました。

インドネシアからの研修員、アディさん

【画像】アディさんは、インドネシア共和国で、国家開発計画省の国土計画・土地・災害管理総局にて防災計画策定を担当しています。

—インドネシアの自然災害について教えてください。
インドネシアにおいては、地震や津波がよく起こります。日本との間で災害種自体の違いはあまりありませんが、日本人の方が、災害が発生した時にどのように対処をすれば良いかよくわかっていると思います。

—どうしてこの研修に参加しようと思いましたか?
この研修は、地震と津波について学ぶ良い機会だと思い、参加しました。インドネシアは日本と同じく地震と津波の危険性がある国です。今回の研修は将来、再び、地震や津波が起きた時に災害を管理する部署に所属する私が今後どのように行動をしたらよいかを考える良い機会となりました。

—この研修の中で最も印象的だったプログラムは何でしたか?
私は特に1月29日に実際に参加した「イザ!美カエル大キャラバン2023」が印象的でした。また、「カエルキャラバン」の事前講義においても、地域コミュニティにおける防災意識を向上するための活動事例がとても興味深かったです。このようなイベントは、子どもたちだけでなく、その家族が防災について学ぶ良い機会になります。2004年のスマトラ沖地震以降に生まれた子供たちは、地震や津波について詳しくは知りません。だからこのような楽しく学べる防災イベントがインドネシアの防災教育にも必要であると感じました。

—このコースを通じて考えが変わったことはありましたか?
私は、洪水などの自然災害を経験しているので自分の自然災害に対しての考えが大きく変わることはありませんでした。しかし、この研修を通じて地域コミュニティの連携の重要性を再認識しつつ、地方防災計画案を作ることができたことは成果です。

タイからの研修員、スタティップさん

【画像】スタティップさんは、タイ王国内務省の防災・減災部に所属し、防災計画や防災関連の政策の分析を担当しています。


—タイの自然災害について教えてください。
タイではいくつかの自然災害が起きますが、洪水と干ばつが主な災害です。低地では、5月から10月の雨季に洪水がよく発生します。また、干ばつは、11月から4月の乾季に発生します。2011年にタイのチャオプラヤ川では深刻な洪水が発生しました。この洪水は、3か月以上の長期にわたり続き、川もダムも氾濫しました。この洪水は、800名以上の人命、多くの人々の家、ビジネス、インフラなどに被害を与えて何万人もの人に影響を与えました。2004年のスマトラ沖地震では、タイの沿岸地域も大きな被害を受けました。観光地域であるプーケットを中心に、現地の住民だけでなく、たくさんの日本や欧米の旅行者も命を失い、大きな影響を与えました。

—どうしてこの研修に参加しようと思いましたか?
日本は地震、津波、台風など、数多くの自然災害に向き合ってきた長い歴史があります。その歴史の中で、日本は災害に対処するための技術や災害管理のシステムを発展させてきました。それが、日本が防災分野において世界のリーダーである所以だと思います。そのような日本から学べることは多いと思いました。また、この研修は防災について参加者がそれぞれの経験や挑戦について意見を交換し合えるので、国際的な繋がりと協力の発展にも活かせることを期待して参加しました。

—この研修の中で最も参考になったプログラムは何でしたか?
特に地方防災計画の策定のための8ステップワークショップです。演習では講師陣の素晴らしい洞察力と、熱意のある指導を受けることができました。このワークショップでは、参加者はそれぞれの選んだ地域に対しての地方防災計画を作りました。国の防災計画と、地方防災計画との関連性や共通点などをより深く考え、防災計画策定手法を理解することができました。
また、私たちは熊本県阿蘇市を訪問しまし、地滑りや洪水の対策案を学びました。そこでは、ダムの建設だけではなく、川が拡張されて、木々も伝統的な方法で移植され、洪水・土砂災害対策として役立てられていました。減災のために、人口の構造物だけでなく自然物を使用する、という技術は環境に配慮された防災計画であり、私にとっては良い観点が得られました。

—この研修での知識をどのように活かしていきたいですか?
私は、人工の構造物だけでなく、天然資源を活用・保護して、災害のリスクと影響を減らすといった環境に配慮された防災の手法に興味があります。将来的に、環境に配慮した防災計画に関連したプロジェクトを開始したいという希望を持っています。日本で、防災について学ぶことのできた経験は私にとって素晴らしいものでした。