コスタリカ支所 2025年度 JICAチェア実績
2026.05.20
2022年度に始まった当国でのJICAチェア事業も今年で4年目を迎えた。昨年同様、ナショナル大学(UNA)における単位付与授業である「現代日本(Japón Contemporaneo)」に加え、コスタリカ大学(UCR)でも、日本に関する多くの講義が、単位付与講座である「アジア文化の歴史」中で語られるなどの進歩を見ることができた。それぞれの大学で30名程度の学生が履修した。
また、2025年9月6日から11日にかけて、日本の国際大学から加藤宏副学長がコスタリカを訪問し、2022年からJICA チェアを実施しているコスタリカ大学(以下UCR)、2023 年から開始したナショナル大学(以下UNA)の当国国立大学トップ2校、および外務・宗務省外交研修所にて、計4 回の講義を実施した。
滞在中には講義に加え、UCR 総長、UNA国際関係学部長、各大学のJICA チェア担当教授とも意見交換を実施した。また、JICA チェア拡充のため、グアテマラ事務所の担当職員ならびに2 つの大学から教授が参加され、当地大学関係者と、単発の講演会に留まらない単位取得等常設型のチェア運営等について意見交換を行った。
加藤教授の講義は聴衆や講義時間により内容の調整を行いながら、日本がどのように非西欧国として最初に近代化を達成したかについて、中国や西欧に学びつつ、学びをそのまま受け入れるのではなく、「日本化」、「カイゼン」をしながら近代化に成功したことが重要という、加藤教授の分析を紹介したものであった。
日本とコスタリカの基本的な違いや共通点を示しつつ、良好な関係を今まで以上に強固なものとし、両国の共通点である平和や教育の重要性について世界へ発信していくためのパートナーとなることの重要性も強調。
スペイン語が母国語であるコスタリカ人に対し、スペイン語を混ぜつつ非常に分かりやすい英語での丁寧な講義に対して、称賛の声が多数聞かれ、質疑応答も活発に行われた。来年度以後も続けて欲しい旨、各所から強い要望が出された。
また、グアテマラのJICAチェア関係者にとっては、単位取得講座の運用、コスタリカの2つの大学が排他的ではなく協力関係を保ちながらそれぞれJICAチェアを進めていることが参考になったという報告があった。(加藤宏教授訪問の具体的日程等は後述「関連情報」に紹介)。
その他の主な活動としては、2025年8月の日本映画フォーラムが2024年度に続き2回目の開催、2026年2月にはUNAの教員2名がグアテマラとニカラグアの関係者とともに日本に招聘され、JICA本部、政策研究大学院大学(GRIPS)、国際大学、国際日本文化研究センター(日文研)視察と意見交換、さらに在京コスタリカ大使館を表敬した。これによりコスタリカ政府内部でのJICAチェアのプレゼン ス向上および日本の各教育・研究機関とのパイプがより太いものとなった。
2026年度も更なる親日コスタリカ人を増やし、日本の開発経験をより多くのコスタリカ人に伝え、コスタリカの発展に寄与するとともに、日本‐コスタリカの絆をより太いものとしていきたい。
―以下関連情報―
<国際大学加藤宏教授訪問時の日程等>
・以下各講義の基礎情報
UCR太平洋キャンパス (Sede Pacífico)
○日時:2025年9月8日(月)10:00-11:30
○主な対象者と参加人数:学部生、教授。対面約60名。
○言語:英語 外務・宗務省外交研修所
○日時:2025年9月9日(火)10:00-12:00
○主な対象者と参加人数:政務を含めた外交官。対面/リモート約100名
○言語:英語 ナショナル大学 「現代日本講座 (Japón contemporáneo)」
授業 (単位付与講座の授業)
○日時:2025年9月9日(火)18:00-19:30
○主な対象者と参加人数:上記単位付与講座受講学生、教授 約50名。
○言語:英語、スペイン語同時通訳 ナショナル大学公開講演会
○日時:2025年9月10日(水)18:00-19:30
○主な対象者と参加人数:大学院・学部学生、教授 約70名。
○言語:英語
<コスタリカにおけるJICAチェアの歩み>
コスタリカ大学は1974年に開始された当国最初の技術協力プロジェクトをはじめ、ボランティアの派遣等、50年以上、ナショナル大学も1981年のボランティア派遣に始まり水産プロジェクト等40年以上にわたる協力関係がある大学である。
これらの大学を中心としてJICAチェアが実施されているのは、長年にわたる協力による日本への信頼関係の上に成立していると思料。講師派遣は2022年の萱島信子氏、23年の伊丹敬之氏、24年の楠綾子氏に続く4人目の派遣となった。
文化、社会、歴史も含めた日本への理解を深める基礎知識的なものを踏まえた分析を紹介されたことから、幅広い対象者の興味をひくものとなった。
今後は、日本とコスタリカが歴史的に重点を置いて進めてきた「平和」、「教育」の重要性について、日本の政策、哲学などを紹介しつつ、JICAチェア事業を単独事業としてとらえるのではなく、例えば三角協力などにも結び付けていくなど、他の事業スキームとのシナジー効果を狙っていくことで、更なる開発効果の発現、親日・知日派の育成を意図したい。
また、加藤宏教授が教鞭を務める国際大学国際公共政策(IPPP)プログラムには昨年度当国からの留学生が1名在籍、本年9月に修了、帰国したばかりであった。
今回時を置かず当地で加藤教授と再会、講演に出席され、今後の研修プログラムへの意見交換の場となった。本事例もJICAチェアとSDGsGLプログラムを結び付けることによって実現した好事例と考える。
なお、両大学共海外協力隊員が派遣されており、隊員にも講座参加を案内し、隊員活動の参考やチェア参加学生から日本人隊員への質問等が積極的になされることを意図している。
リンク: 2024年度実績
コスタリカ大学太平洋キャンパスでの講義の様子。
外務・宗務省外交研修所での講義。前列、右から、加藤宏教授、アレハンドロ・ソラノ外務副大臣、在コスタリカ有吉勝秀大使、吉田憲JICAコスタリカ所長
ナショナル大学にて、左からジャネテ・バルベルデ・チャベス副学長、マリアフェルナンダ・モラレス国際関係学科教授、加藤宏教授、吉田憲所長。
ナショナル大学単位付与講座「現代日本」講座修学の学生と。
ナショナル大学の「現代日本」講座では同大学に派遣中の松村隊員による簡単な日本語や折り紙を教える授業もあった。
ナショナル大学教授陣の本邦招へい。JICA本部にて、2026年2月。
ナショナル大学教授陣の本邦招へい。加藤教授が教鞭を取る国際大学。
ナショナル大学教授陣の本邦招へい。在京コスタリカ大使館、Sussy Jimémez大使(写真手前の女性)との意見交換。