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【企業共創プラットフォーム】タイ進出企業交流会 開催!

2022年12月26日

2022年12月20日、JICA企業共創プラットフォームの主催で、JICA 中小企業・SDGsビジネス支援事業を活用しタイでビジネス展開を図る企業の交流会を開催し、対面とオンライン合わせ約40名が参加しました。

企業共創プラットフォームとは

「企業共創プラットフォーム」とは、開発途上国の課題解決に貢献し得るビジネスを推進していくために、民間企業、金融機関、大学・研究機関、地方自治体、各種支援機関、海外ドナー・NGO、JICAが情報・ノウハウ・経験を共有し、共創・協働の機会を得るための交流の「場」です。
今回はJICA中小企業・SDGsビジネス支援事業を活用してタイ国でビジネス実施中・調査中の企業様にお集まりいただき、様々な意見交換を目的とした企業交流会を実施しました。

企業4社からタイでの取り組み事例の紹介

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今回、4社の方々からタイでの調査や実証活動、ビジネス展開の状況について事例紹介をいただきました。

<秩父ケミカル株式会社>代表取締役 吉田 寿人さん
東京本社で雨水貯留浸透施設や雨水利用施設などの開発、販売を行っている企業です。2013年からJICA民間連携事業を活用し、インドネシア・タイで調査と実証活動を行われ、昨年、事業実施中にタイのバンコクで新規受注を獲得するという成果を挙げられています。

<株式会社キンセイ産業>常務取締役 金子 啓一さん
群馬県本社の、廃棄物焼却炉メーカーです。 2015年からタイでJICA民間連携事業を活用してチェンマイ市で調査と実証活動を行われ、現地に合弁会社を設立されました。提案製品は医療系廃棄物用焼却装置。国連工業開発機関 UNIDOのプロジェクトでケニアにも採用されるなど、幅広くご活躍です。

<株式会社バイオマスレジン南魚沼>海外事業推進室  安江 健さん(株式会社バイオマスレジンホールディングス所属)
新潟県本社の、お米由来のバイオマスプラスチックを手掛ける企業です。国内ですでに実績のある「余剰米を原料にプラスチック製品を生み出す」というユニークな事業をタイでも展開すべく、市場調査などをされています。提案のお米由来のバイオマスプラスチックは、石油系プラスチックと二酸化炭素の排出を削減する素材として、今、国内外から多くの注目を集めています。

<株式会社関東農産>研究開発部長 真鍋 和裕 さん
栃木県本社の培土・肥料メーカー。2019年にJICA民間連携事業で案件化調査が採択、中部ロッブリー県ほかで、現在、園芸用有機培土の現地生産に向けた調査を行っています。それに先駆け現地の肥料メーカーと提携し、新しく開発した培土により野菜の苗の生産性を高めるだけでなく、将来アジア圏での培土原料の販売も事業展開の視野に入れた活動をされています。

パネルディスカッションを通じた意見交換

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JICA事業終了後にいかにしてビジネス化を実現させられるか、という観点で意見交換を行いました。
意見交換する際の資料としては「事後モニタリング報告書」を活用し、JICA事業後のビジネス化に向けた最低限押さえなければいけない12のポイント」をご登壇の4社様に事前ご覧いただき、自社にとって何が一番のポイントであったのかお話を伺いました。

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<秩父ケミカル>
ポイント:「1番:海外展開に対して能動的、主体的である」「5番:進出国のニーズに適合している」
司会「吉田さんはJICA事業実施中も複数回現地入りされていましたが、そのご経験も踏まえて1番と5番を選ばれたかと思います。実際に現地でどのような教訓がありましたでしょうか。」

吉田さん「タイに進出する前の経験から、海外展開では即断即決が必要な場面が多々あると思いました。そのため、従来の国内営業実績と将来の海外展開により得られるであろう利益を考慮して得られる利益が大きいと判断出来れば、経営者自らが現地に赴き、活動するべきと考えています。また、弊社は雨水対策製品を扱っているが、対象国の降雨や冠水被害状況に基いて活動するばかりではなく、その国がどういう対策を行っているか、その財源はどうしているのか等、対応面の調査も合わせて必要だとJICAの調査を通じて思いました。」

<キンセイ産業>
ポイント:「8番:信頼できる現地の社外パートナーを確保している」「10番:現地のニーズに合わせて、マーケティング要素を現地化できている。」
司会「キンセイ産業様は現地法人をたてられており、そのプロセスの中で様々なご苦労もあったかと思いますが、具体的なエピソードがあれば教えていただけますか。」

金子さん「現地で、販売営業・製造・工事・メンテナンスをできる会社を探していたところ、日系工場で設備の仕事をしているタイ人と知り合い、日本語を話すこともでき熱意もある方で、製品の必要性やマーケットを理解する経営者でもありました。その企業を合弁企業のパートナーとすることで、ローカルなネットワークを広げていくことが出来るようになりました。」

<バイオマスレジン南魚沼>
ポイント:「5番 進出国のニーズに適合している」「8番 信頼できる社外パートナーを確保している」
司会「JICA事業実施中の御社ですが、すでに事業化に向けて具体的なポイントを掴んでおられるかと思いますので、具体的に教えていただけますでしょうか。」

安江さん「日本とタイを比較した際、日本ではごみの分別を行う体制がしっかりしているため、非生分解性プラスチックの圧倒的に人気です。一方でタイでは日本のようにゴミ分別がしっかりとは出来ていないため、生分解性プラスチックの方にニーズがありました。パートナーを確保する点については、タイの農業協同組合やお米の輸出協会にもヒアリングしたが、タイで捨てるようなお米はないと言われました。原料が調達できないのではと危ぶみましたが、タイに進出している知り合いの企業や商社に相談したところ、タイのバイオマスプラスチックの現地企業や精米所を紹介してもらいヒアリングしたところ、そこでは余剰米があることが分かったのです。さらに、お米以外にもキャッサバなどの食物の残渣がお米の半分以下の価格で買えることも分かり、やはり信頼できるパートナーの存在は重要だと感じました。」

<関東農産>
ポイント:「5番:進出国のニーズに適合している」「8番:信頼できる現地の社外パートナーを確保している。」
司会「御社は現地の肥料メーカーと提携されていますね。具体的にどのような提携関係で、どういったメリットがあったのでしょうか。また、ニーズの適合については様々な分析やアプローチ方法があるかと思いますが、真鍋様はどういった分析が必要と考えていますか?」

真鍋さん「現地パートナーがあると地に足の着いた細かい活動ができます。普及活動や販売に関し、既存の販売ルートを活用できたり、原料の調達なども容易にできたりするところがメリットですね。ニーズの分析については、ニーズに関して多方面から調査分析することが重要と思います。切り口が違った調査でないと、人為的にバイアスがかかった調査になる可能性があるからです。そのため弊社では、消費者、流通、製造、さらに関連する公的機関への多方面へのマーケット調査分析を行っていました。」

おわりに

4社それぞれ特色ある事業展開をされており、防災・廃棄物・環境・農業といった異なる分野ではありますが、同じタイでの海外展開という事で、苦労した点やビジネス化に向けたポイントでは共通しているものがあるように思いました。
参加者の方からは、「タイでのビジネス展開において、どのような事前準備や計画策定が重要なのか、また成功のためのポイントやコツについて、経験者のみなさまから貴重なお話を伺うことができ、大変勉強になった」と大変好評をいただきました。

JICA企業共創プラットフォームでは今後も、特定の地方、分野、国・地域等について関心を共有する、本事業の制度活用企業同士の各種交流イベントを開催します。
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