長野県/信州大学とネパールが農業分野グローカル教育

2022年3月8日

信州大学が再びネパールの農業教育を支援します!

 皆さんは、ネパールのイメージとしてはヒマラヤ山脈を代表とする雪を頂く高い山々を想像されるでしょうか?ネパールの気候は、低地の亜熱帯から高山帯まで標高差に伴い多様な気候が存在します。ネパールでは、農業分野が GDP の約 3 割を占めていることから、多様な環境で地域に適した作物を選択し、その気候に合った栽培方法を学ぶことが、農業生産の安定と生産性の向上のために大変重要となっています。このためネパール政府は全国レベルでの農業教育の普及を重要視し、中等教育での農業課程の導入を2014年に開始しました。しかしながら、これまでのところ農業課程のカリキュラムは整備されたものの、地域の農業技術や農業を取り巻く環境・市場条件や生活状況を農業教育のコンテンツとして取り込んでいくまでには至っていませんでした。

対象拠点校カブレ郡農業高校

先行モデル校ムスタン郡コバン高校の実習風景

 信州大学は 2016 年から 2018 年の 2 年間、草の根技術協力事業「ネパールにおける農業高校の教育強化プロジェクト」を西部開発地区ダウラギリ県ムスタン郡コバン高校で実施し、農業科の先生方と共にプロジェクト対象地域に適した農業に関する教材の作成に取り組みました。このプロジェクトの成果を活用し発展させる事を目的として、草の根技術協力事業「ネパール国中等教育における農業教育強化(長野県・高大連携グローカル教育促進)」を 2022 年 2 月 4 日から 2025 年 2 月 3 日まで実施します。今回のフェーズではコバン高校を教育改革事業モデルとして、気候・農業条件が異なる2つの高校(中部開発区域バグマティ県カブレ郡バネパ高校、同区域ナラヤニ県チトワン郡ラトナナガル高校)を、新たにプロジェクト対象に広げます。ネパールの農村地域における農業教育強化を目的として、地域に適した実践的な農業教育体制、指導方法、教材の開発と充実に取り組みます。
 また、今回のプロジェクトでは長野県とネパールの高校・大学の連携を図ることで農業分野におけるグローカル人材の育成に貢献することを目指します。とてもスケールの大きい事業で、ワクワクしますね!!

長野県のグローカル教育も貢献

本邦研修でネパールからの教員を受け入れる上伊那農業高校

 長野県では2016年から5年間の「グローバル NAGANO 戦略プラン」を実施するなど、国際機関等と連携した農業分野の技術交流や国際協力を積極的に行っています。更に同県の教育委員会は中学校や高校におけるグローバル教育を促進しています。また、長野県にはJICA青年海外協力隊駒ケ根訓練所やJICA長野デスクもあり、産学官が連携して研修員受け入れや専門家派遣といった国際協力事業に取り組んでいます。

 本プロジェクトにおいても、信州大学農学部や上伊那農業高校の学生を対象とした国際協力セミナーを開催したり、オンラインでネパールの高校や大学とつないで農学や食文化をキーワードに交流を行うことを予定しています。ネパールの農業高校教員を長野県の招待する研修プログラムや、上伊那農業高校の生徒がネパールを訪問することも計画されています。
 産学官が連携して地域の国際化や地域振興に取り組む本プロジェクトに引き続きご注目下さい!