地域保健医療をアフリカへ!青年研修にJICA留学生も参加しました!
2022.02.10
1月24日(月)から1月27日(木)にかけて、JICA東京は佐久大学と協働し、長野県佐久市ならではの住民主体の持続的な地域保健について学ぶプログラムを実施しました。アフリカ仏語圏の地域保健医療に取り組む若手医療従事者12名に加え、日本の大学院に通う留学生5名がリモート参加し、行政や医療機関による地域住民との向き合い方や日本における母子保健分野の具体的な取組について理解を深めました。
このプログラムは、保健医療分野の各国の若手医療従事者向けの青年研修としてJICAと佐久大学が協働して実施しました。アルジェリア、ガボン、コンゴ共和国、ジブチ、セネガル、チュニジア、ブルンジ、モーリタリア、モロッコといった仏語圏アフリカ地域を対象とし、プログラムはフランス語で行われました。オンライン実施となったため、フランス語を話せるJICAの留学生にも声をかけたところ、都内や新潟県で公衆衛生分野や農業分野といった様々な分野を学ぶ5名の留学生(ガボン、カメルーン、コートジボワール、マダガスカル、チュニジア)が参加しました。普段留学生は大学での指導を英語で受けているため、母国語であるフランス語での対話はとても盛り上がりました!
長野県佐久市は、健康長寿の町として知られていますが、その背景には、1940年代から病院と行政と住民が一体となって作り上げてきた医療体制があります。
初日の講義では、学校法人佐久学園の盛岡理事長から、かつて医師が村にいないため病気が進行し手遅れになることが多かった佐久の医療を改善するため、佐久病院初代院長になられた若月俊一医師により、地域を巡回訪問し農民の生活実態を把握する取組が導入されたことについて紹介がありました。この佐久の取組では、医師側が農民に寄り添い農民の目線で話すことが徹底され、また農民の中から選出した衛生指導員に医学的知識を伝授し行政・病院と農民の間を繋ぐ存在として活用することで、農民が近代医療を信頼するようになると共に、病院が身近な存在へと変化していきました。佐久では、さらに一歩取組を進め、全国に先駆けて1950年代後半から年に一度の健康診断を開始しました。開始して2年目からは医療費が減少し死亡者数も減少するといった効果が見え始め、現在に至るまで「予防は治療に勝る」との考えの下、行政・病院・住民が協力しあい、老若男女を対象とした様々な活動が行われています。
二日目以降の講義では、母子健康手帳の普及・妊娠中のパパママ教室・乳幼児健診・離乳食教室、新生児の呼吸障害や5歳未満時の疾病・事故を防ぐ方法といった日本で行われている様々な母子保健分野の取組について、県・佐久市の保健師や佐久医療センター小児科医より、具体的なノウハウが伝えられました。
参加者はどの講義にも熱心に耳を傾け、活発な質疑応答が行われました。
熱心に質問をするJICAの留学生
参加した留学生から上がった声を以下に紹介します。
留学生は、大学院でそれぞれの専門分野を学んだ後、母国へ帰国し、知日派・親日派のリーダーとして活躍することが期待されています。今回のプログラムで得た学びを母国の発展に活かしてくれることを期待しています。
●研修コース名:青年研修「アフリカ(仏語圏)地域保健医療実施管理」
●単元目標(アウトプット)
(ア)日本における地域保健医療体制や医療機関の取り組みを理解する
(イ)日本の保健医療職の地域保健医療実施に対する考え方を理解する
(ウ)参加国の状況を共有しお互いに学ぶ
(エ)日本を含む参加国の情報共有を通して、自国に参考になる政策や活動を整理し述べることができる
●研修期間:2022年1月17日~2022年1月27日
●研修員人数:12名
●参加国:9か国(アルジェリア、ガボン、コンゴ共和国、ジブチ、セネガル、チュニジア、ブルンジ、モーリタリア、モロッコ)
報告者名 長期研修課
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