千葉の誇り・醤油づくり技術をインドへ!

創業168年の老舗醤油企業の新たな挑戦はインドでのクラフト醤油づくり!?

2022年10月11日

ちば醤油株式会社の新たな取り組み

皆さんの家に必ずある醤油。実は、国内で流通している醤油の40%が千葉県で作られているということを知っていましたか?
そんな醤油大国千葉県の香取市で1854年から醤油を作り続けている「ちば醤油株式会社」は、今年新たな取り組みを始めました。
それが、JICAの民間連携事業を活用しての、インドへの醤油づくりの技術移転。
2022年3月にJICAと「基礎調査(※)」の契約を締結し、5月と9月に各1週間程度インドに渡航し、現地の調査を行いました。
そこで、千葉デスク・木村が、インドから帰国したばかりの飯田社長と保科さんに海外展開や現地調査についてインタビューをさせていただきました!

なぜ途上国展開?なぜインド? 

写真左:飯田社長 右:保科さん

千葉デスク・木村(以下、木村)
「そもそもなぜ、JICAの民間連携事業に応募しようと思ったのですか?」
飯田社長
「大手企業は海外で醤油を作って大きな市場で販売しています。わが社も完成品の輸出をしていますが、値段で中国産や韓国産に負けてしまいます。実は10年位前に、ブルネイで醬油を作ってムスリム諸国に輸出することを考えて、民間連携事業に応募したことがあります。その時は採用されませんでしたが、その後もずっと途上国展開を考えていて、単独で海外に工場を作る体力はないが、醤油づくりで途上国に貢献できると思っていました。今回、インドで経験豊富な開発コンサルタントの方に協力してもらい再度挑戦してみたら採用されたというわけです。」

木村
「なぜインドで実施しようと思ったのですか?」
飯田社長
「インドは最近まで国内産業を守るため関税を高く設定していましたが、昨年それが緩和されました。和食レストランやフュージョン料理店も増えており、人口約14億人のうちの1%でも醤油のファンになってくれれば大きな変化が生まれるからです。」

木村
「調査では主にどのようなところに行って、何をしたのですか?」
保科さん
「5月には、日本食マーケットや日本料理店、モールやインド人家庭などを訪問して、日本料理・醤油の認知度やニーズ、今後の動きを聞きました。現状、インドでは一般家庭で醤油が使われているわけではなく、田舎では従来の生活習慣も強く根付いています。しかしながら、都心では食の洋風化も進んでおり、今後醤油のニーズは伸びていくと考えられます。現地の方々は、醤油にコチュジャンなどを加えて食事に沿えているので、醤油に+αをする料理が好まれているのかもしれません。
今回(9月)の調査では、レストランオーナーなどへの聞き取り調査と共に、醤油作りや販売のできる場所を探しました。政府の食品加工研究施設では私たちの事業に対して前向きな反応をいただきました。また、民間の食品卸ネットマーケットでも出店させて頂けるとの返答でした。ただ、現地の方にとって日本の醤油は塩辛く、個人宅に醤油ボトルを置くほど浸透はしていない上、インドは広いため地域によって味の好みが異なります。地域ごとでクラフト醤油が作れたらと考えており、地域ごとに醤油を作れる施設があるか今後更に調査していきたいです。」
飯田社長
「日本も昔は家庭で醤油を作っていたので、インドでもできるかもしれません。そこで農家に教えるということも考えましたが、それだと質や味にばらつきが出て商品化が難しい。また、醤油はできるまでに時間がかかるため、相手方にも財力が必要になる。関心を示してくれている企業もありますが、カウンターパート選びは慎重に行う必要がありますし、実際に醤油をつくるのにも多くの過程があるので、もっと調査を積んでいきます。」

木村
「実際にインドに行って、いかがでしたか?」
飯田社長
「インドは面白いですね!日本よりもデジタル化が進んでいて、インフラがないところにもデジタルがある。そして、戦後の日本みたいに人々の格差もよく見える。現地に行ってインドの現状が理解できるのが良いですね。
私たちの取り組みも、今はまだ課題が沢山ありますが、将来「これをやってよかった」と思えるかもしれない。サイズは小さくても続けていけるくらいの成功例を作れば、新しいアイディアも出しやすくなる。それがこれからの会社をより良くしていくことに繋がると思っています。」

木村
「ありがとうございました!」

身近な醤油の可能性は無限大!

醤油づくりの樽

インタビュー後、実際に醤油が作られている工場の見学をさせて頂きました。
実は、我が家はちば醤油さんの「香取」醤油ユーザーなので、その醤油ができる過程を見せて頂き大興奮。我が家の醤油は、大豆からビンに詰められるまで約1年かかっているとのこと!これからも味わって、大事にいただきます!
ちば醤油さんのインドでの今後の取り組みのつづきもまたインタビューさせて頂きます!
ご期待下さい。

※:途上国の課題解決に貢献し得るビジネスモデルの検討に必要な基礎情報の収集を支援するものです。