カンボジアがつなぐ千葉県企業と海外協力隊の縁

日・カンボジア外交関係樹立70周年を機に伺う、カンボジア人材育成とビジネス展開への思い

2023年3月14日

株式会社ウラタとカンボジアの出会い

株式会社ウラタは、千葉県浦安市に本社を置く総合建設会社です。
浦田社長が日本青年会議所国際担当常任理事をされていた2012年、地球4周半程、様々な国で行われた国際会議に参加していました。当時、カンボジアに青年会議所を創設するために日本青年会議所がサポートしていた。浦田社長は、カンボジアに足を踏み入れた際、東南アジアの近隣国とは違うものを直観で感じ、その後カンボジアの歴史、文化の深さに関心をもつようになったとのこと。ちょうど建築ラッシュが始まるなか、工事現場を視察すると中国、韓国の業者が自国労働者を連れて工事を請け負い、カンボジア人が少ないことや建築工法が手探りで行っていることに気づいたが、同時に、現地の人々は真面目であり、カンボジアでビジネスの可能性を感じたそうです。同社はカンボジアに現地法人をつくり、2022年、現地で建築認証機関の一つ(現在5つの機関があるうち、外国企業は同社のみ)に認定されました。

海外協力隊と株式会社ウラタとの不思議な縁

浦田社長は、カンボジアへの進出を決めて、カンボジア日本人材開発センターに、JICA海外協力隊でよい人材がいないか尋ねたそうです。そこで紹介されたのが、当時協力隊でカンボジアに派遣されていた小林若菜さんでした。浦田社長は、小林さんの第一印象は明るくて元気、と話していました。
なお、JICAカンボジア事務所で当時小林さんの協力隊活動をサポートしていたボランティア調整員の上野さんが、2023年3月からウラタカンボジアに入社し、カンボジアに赴任されるそうです。何とも不思議な巡り合わせです!

浦田社長と小林さんへのQ&A 

株式会社ウラタにてインタビューの様子

   
Q.海外協力隊出身者を雇用したい、と考えたのはなぜですか。
A.(浦田社長)現地の文化理解があり、現地語(クメール語)ができるのがよいと思ったからです。また、海外協力隊員は「根性とやる気」があるから、今後も海外協力隊出身者を雇用したいと考えています。
   
   
Q.海外協力隊の経験が会社で活かせるところは何だと思いますか。
A.(小林さん)やはり現地語ができるところと、現地の方の懐に入ったコミュニケーションができることで、現地ビジネスで役立っていると思います。

株式会社ウラタのエントランスにて。左から古川国際事業部長、浦田社長、小林さん、上野さん。 エントランスに、カンボジアと日本の国旗が飾ってあり、カンボジアへの熱い思いが伝わります。なお、サッカー好きでもある浦田社長らしく、サッカーのユニホームも飾られています。

   
Q.なぜ就職活動で株式会社ウラタを選んだのですか。
A.(小林さん)私は青少年活動隊員としてカンボジアの教育局に派遣されていました。カンボジアの学校には部活動や学校行事がなく、体育の授業すらちゃんと行われていませんでした。そこで、各中学校にて運動会(Undokai)を開催したところ、マナーや団結、運動の大切さを学ぶ等、現地の生徒が大きく変化しました。協力隊活動を通じて、日本がすごく良い国だということも分かり、カンボジアにも日本にも社会還元したいという思いが強くなりました。
協力隊活動の終盤に浦田社長から声をかけられ、この会社なら、日本・カンボジア両国に社会還元できる、と考え、入社を決意しました。
入社後、カンボジアの現地法人に一人で常駐するなど、責任を感じましたが、浦田社長のカンボジア人を育成してビジネス展開する、という熱い思いとぶれない方針に共感し、現在カンボジア人の夫、子どもと一緒に暮らしながら、ウラタで働いています。
      

浦田社長、小林さん、インタビューにご対応いただき、ありがとうございました。
浦田社長には、2022年11月にJICA東京センターで実施されたカンボジア国別研修で、「カンボジアにおける建築確認申請方法紹介および外資企業から観たカ国について」というテーマで講師として登壇いただく等、JICA事業にもご協力いただいております。
2023年は、日・カンボジア外交関係樹立70周年です。浦田社長は、カンボジアで新たな仕組みづくりの構想を持っていて、カンボジアの建築や経済がより国際社会において価値のあるものにしていきたいと意気込んでいました。今後も、カンボジアと日本を結ぶ展開に注目です。