【出前講座レポート】高校生が生産者支援&販路開拓を疑似体験!

元JICA海外協力隊経験者などの海外経験者が授業をお届けする出前講座。 今回のリクエストは「途上国の人々の自立をどのように支援するのかを知りたい」というもの。どのような出前講座が実施されたのかをご紹介いたします! (出前講座では各講師が要請元の皆様のご要望等を伺い、話し合いながら講座を組み立てていきます。その為、講座内容は多種多様、千差万別。今回はあくまでその一つ、です)

2022年12月13日

協力隊経験帰国後に起業!葛藤などリアルな声をお届け  

ラオスの皆さんと梅谷さん。「一人の人を作らない」文化があるそうです。

「平和とパートナーシップ」をテーマに国際協力について学ぶ和洋九段女子高等学校では、国際貢献事業(特に仕事を創出する事業)についてさらに知る為に、出前講座を活用しました。
講師として出前講座を担当したのは梅谷さん(派遣国・ラオス/職種・コミュニティ開発)。

梅谷さんはラオスでの協力活動を通して培った経験を活かし、現在はアパレル・雑貨ブランド「siimee」を立ち上げ、民芸品やオリジナルにデザインされた洋服を販売し現地の人々と繋がりを大切にしながら活動しています。
そんな梅谷さんも、協力隊活動初期は「商品が売れない…。」などの困難を経験したようです。そのような経験を出前講座でどのようにお話しされるのでしょう?

梅谷さんの自己紹介のあと、スクリーンに大きく映し出されたのはメコン川。
メコン川はラオスの人々にとって身近な大河。まるで現地に行ってその景色を見たかのような静寂な時間が流れます。また、現地特有の珍しい食べ物やラオスの人々の中で大切にされている習慣が話され、生徒にとって初対面の梅谷さんとの間にあった緊張感が徐々にほぐれていきます。

ワークを通して、販路開拓体験!

ワークに取り組む皆さん。

ラオス紹介の後は、次のようなお題のワークに取り組みました。

お題
「ラオスの織物生産者さんから、新しい商品をつくったり、売る場所を増やしたりしたいと相談されたあなた。
まずはどんなことをしてみようと思いますか?」

高校3年生が3~4人のグループ内であれこれと活発に意見を書き出す様子が見られました。あっという間に時間が経ち、発表の時間です。

なぜ商品が売れない?現地で直面した課題を考察する

さらにワークは続きます。

2つ目のお題は
「隊員としてあれこれ企画してみるも、商品はあまり売れませんでした……。
なぜ売れなかったでしょう?
原因や足りなかったことを考えてみましょう。」

このお題はまさに梅谷さんがラオスで直面し、頭を悩ませた課題だったそうです。当時、試作したという品物を実際に見せられ、生徒の皆さんはより具体的にイメージをしてワークに取り組みました。

複数のワークを通して、生徒の皆さんも協力隊員となったかのように頭を悩ませたり試行錯誤したり・・・。協力隊活動を疑似体験する時間となりました。

【画像】   
梅谷さんが、ラオスでまず初めに試行した商品。

【画像】  
試行錯誤を経て、改良後の商品。天然染色の布に変えて優しい雰囲気の商品が生まれました。

「自立」とは?生産者支援について考える、自分自身を見つめなおす 

生産者グループの皆さん。

協力隊活動は2年間という限られた時間だからこそ、梅谷さんは生産者の皆さんの「自立」を考えて活動していたとのこと。隊員がいなくても成り立つ活動、将来へ持続していく活動を通して、生産者の皆さんの自立を目指します。
講座の最後では、生徒の皆さんが考える「“自立”とはどういう状態か」という問いが投げかけられました。「遠い国の話」でなく自分のことに置き換えて考える時間へ。真剣なまなざしで意見を発する様子からは、高校3年生という時期だからこそ「自立」というテーマに向き合い、考えを深めているように感じられました。

ご担当の先生からは、講座終了後に
「本学が大事にしている『考える』『意見をだす』『発表する』を盛りこんでくださり、かつ、パートナーシップに必要なスキルや心構えなど、本や映像だけでは伝わらない生の体験を伝えて頂いた。「問い」→「課題」→「解決」→「問い」という探究学習のシステムにのっとった例を提示してくださり、ミッションの疑似体験も生徒の気付きにつながったと考えている。何もかも素晴らしく、学びの多い50分であった。」とのご感想を頂きました。

リアルな出前講座をお届けします!

小学生対象出前講座の様子。

出前講座では、現地で活動したからこそ語ることのできる視点で講座をお届けします。
海外ボランティアの体験談についてリアルな声を聞きたい、国際協力について理解を深めたい、進路を考える機会としたい、等ありましたらぜひ出前講座の要請をご検討ください!
一つ一つの講座が受講した皆様にとって、素敵な出会いとなるよう願っています。