JICA留学生が東京都の下水道施設を視察しました!

2022年12月21日、JICA留学生が、東京都の三河島水再生センター、旧三河島汚水処分場喞筒(ポンプ)場施設(国指定重要文化財)、東池袋雨水調整池を視察しました。

2023年1月10日

JICA地域理解プログラム「東京都の下水道の近代化及び発展の歴史」 

JICAでは、将来、国の未来を支えるリーダーとなるJICA留学生に向けて、欧米とは異なる日本の近代化や開発経験などを伝える取組を幅広く推進しています。
本プログラムはその一環として、東京都下水道局の協力のもと、JICA東京が実施したものです。日本の大学院に在籍するJICA留学生11名が、東京都の三河島水再生センター、旧三河島汚水処分場喞筒(ポンプ)場施設(国指定重要文化財)及び東池袋雨水調整池を訪問し、東京都の下水道の近代化・発展の歴史を知るとともに、東京都の現在の下水処理・雨水対策について学びました。

視察概要

①三河島水再生センター(荒川区)
実際の下水処理の工程に沿って、ポンプ棟、第一沈殿池、反応槽、第二沈殿池を順に視察しました。反応槽では、「微生物の入った泥(活性汚泥)を下水に加えることによって下水中の細かい汚れも微生物に付着して沈みやすい塊になり、汚れを分離しやすくする」という行程につき、実際のサンプルを使用した説明があり、参加した留学生の関心を集めました。


②旧三河島汚水処分場喞筒(ポンプ)場施設(荒川区)
三河島水再生センターに隣接する旧三河島汚水処分場喞筒(ポンプ)場施設は、日本で最初の近代下水処理施設です。1922年(大正11年)から1999年まで約77年間稼働した後、現在は国の重要文化財に指定されています。
かつて稼働していた沈砂池、量水器室、喞筒(ポンプ)室等を視察し、実際に下水が流れていた喞筒井(ポンプせい)内も体感しました。また、東京帝国大学教授の井口在屋氏による「ゐのくち式渦巻ポンプ」の発明や、東京市技師の米元晋一氏による施設設計など、近代下水道の草創期における先人たちの努力に感銘を受けた様子でした。


③東池袋雨水調整池(豊島区)
東池袋雨水調整池は、池袋駅近く、豊島区立総合体育場の地下に位置します。1994年に整備された同調整池によって、窪地の多かった東池袋3丁目・4丁目周辺の冠水被害が大きく軽減したことなどを知り、豪雨時に雨水調整池が果たす役割及びその重要性を学びました。また、最大14,000立方メートルもの雨水を貯留することができる同施設のスケールの大きさに皆さん圧倒されている様子でした。

この経験を自国の国づくりに向けたヒントに! 

プログラム終了後、参加した留学生からは、「東京都下水道の歴史が良く理解できた」「日本の工学技術に感銘を受けた」「大都市東京の下水関連施設について開発の歴史を含め多くの学びを得た」といったコメントが多く寄せられました。今回得た学びや気づきが、将来の国づくりに向けて活かされることを祈っています。
JICAでは今回のプログラムのように、留学生に対して日本の近代化経験を伝える機会を提供しています。今後も、より多くの留学生に日本の経験を紹介し、そこから国づくりのヒントを得てもらうことを期待するとともに、親日派・知日派の育成に力を入れていきます。

最後に、東京都下水道局の関係者の皆様に改めてお礼申し上げます。
プログラムへのご協力、ありがとうございました!

報告者名 長期研修課