\報告/JICA教材でこんな授業しました!ver.6 中学英語・道徳、小学校総合的な学習の時間~

JICA東京が提供した教材を活用し授業を展開されている先生から、どんな風に教材を使って授業をしているのか、どの教材がおすすめなのか教えていただきました。(前回報告は本記事一番下のリンクから見られます)

2023年1月13日

カラフルな教材を活かして、視覚で捉えるSDGs!そこから多文化共生を学ぶ!

1人目は、公文国際学園中等部・高等部の菊池史織先生(英語科)です。

===学校でどんな学習活動をしたのでしょう?===
今年度(2021年度)はJICA横浜主催の教師国内研修に参加させて頂きました。送って頂いたSDGs関連教材を用いて、多文化共生への学びにつなげたいと思い授業を設定しました。

●中等部3学年 英語 1時間  
 テーマ:「SDGs:緊急性が高いもの」

使用言語は英語を基本。グループごとに緊急性が高いもの、自分達が関わることができるものに並べていきます。
班ごとにカードを机上に配置した状態で、互いのものを見て回り、クラス内で意見を共有しました。
生命に直結する「1貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」を最優先課題とする班もある一方で、自分達が関わることができる「12.つくる責任つかう責任」や「14.海の豊かさを守ろう」を最優先とする班もありました。
全体での共有の後、意見を出し合い、クラス全体の疑問として、「生命維持が保たれることが幸せと言えるのか」ということがあがりました。衣食住が最低限確保されたとして、自分らしくいることを制限されても「幸せ」と言えるのかが問われたところで、それまで最優先とは考えていなかった「3.すべての人に健康と福祉を」、「5.ジェンダー平等を実現しよう」、「16.平和と公正を全ての人に」がゴール設定としてとても大切なのではないかという気付きにつながりました。

●中等部2年 道徳 2時間
 テーマ:SDGs 17 Goals "What can you do to make the world better?"

ここまでの学習で「他人事を自分ごととして捉える姿勢」を大切だと感じ、思考や行動に反映させようとする様子が見て取れるようになってきたので、SDGs 17のGoalsを日常の行動に繋げて欲しいと思い、授業を設定しました。
授業(1時間目):17のゴールについて全体で共有。その後、班ごとに、①緊急性の高い順番、②自分達が解決に向けて具体的に行動できるもの、③②について具体的な策の3点について話し合い、まとめ。
授業(2時間目):班ごとのまとめをクラス内で発表。全体で振り返り。
興味深かった点として、「生命の存続」を重要課題とする様子は既述の中学3年生と同様でしたが、加えて、「12つくる責任つかう責任」についてほぼ全ての班が、「自分達が関わることができる」、「関わり解決に向け具体的に行動をしなければいけない問題」として捉えていたことです。

SDGsカードを使って学んでいる子供たち

   
===JICA教材をどんな風に使ったか教えてください。===
iPad等デジタルデバイスを用いての授業、学級活動も行っていますが、実体物を用いた活動の意義や重要性を改めて感じました。カードを縦横斜めと配置したり、重ねたり、班ごとの意見に合わせた使用が可能であり、またその過程を授業者として見守ることができ興味深かったです。教材が学びの可能性を広げ、生徒たちの思考を深めていました。

◯トランプサイズのSDGs17のカード
カードだからこそ、机上で、話し合いながら入れ替え、並べ方も班ごとに創意工夫を持って行うことができます。敢えて「並べる」という表現を用いずに活動をスタートさせると班ごとに自由な発想が生まれます。カードの使用方法から見ても可能性は無限大!!
   

SDGs17のゴールシール

◯SDGs 17Goalsのシール
生徒にシールは大人気!貼ったらはがせないので、慎重に取り組む姿もあり、直感勝負でデザインし後から意見を付け足す姿もあり、大胆に剥がして貼り直す強者もあり!机上でまとめ作業をする際に
大きさが適当でかつ、デザイン性に優れていたため生徒に好評でした。

(報告:インターン 建部麻衣)

ESDの3つの観点から考えるSDGs17のゴール 

お2人目は、白馬北小学校の川尻年輝先生です。

===どのような学習活動をしたのでしょう?===
5年生から継続で受け持った6年生に、年度当初の総合的な学習の時間に、どのような学習をしていきたいのか問いました。すると、昨年度学習したSDGsについてさらに学んでいきたいとの声が多く、今年も継続することになりました。
そこで、昨年度よりも、もう一歩学びを深めるべく、SDGsと密接に結びついているESDにスポットを当てて学習していくようにしました。

そこで小学6年生の総合的な学習の時間に設定された授業が『未来につながる今を生きよう!~SDGsに根差した総合的な学習の在り方~』です。
昨年度の総合的な学習の時間を通して得た「SDGs17の目標」の理解を中心に今年度の授業が展開され、学習の切り口としてSDGsの17全ての目標の実現に寄与するものであるESD(持続可能な開発のための教育:Education for Sustainable Development)の3つの視点を活かして考えさせることを目標としています。ESDの3つの視点から、まずは学級として、何ができるのか、どんなことができるのか考えることを通して、地球規模の課題であるSDGsの達成に向けた地球市民としての感覚を醸成していきます。

【画像】===どのような取り組みが行われたのでしょうか。===
授業はESDの学びをベースにして行いました。具体的には、「ESDの3つの視点(A環境、B多文化理解、C人権や命)から、環境面(ゴミ問題)において自分たちが学校でできることとはどんなことなのか対話しながら考えることを通して、活動の見通しをもつことができる」という仮説の下、授業を行いました。
この授業を踏まえて、ゴミ問題について実際に知ることが大切なことであり、校内のゴミの片付けを行っていただいている用務員のTさんにインタビューしてみようということになりました。
⇒Tさんの話から、ゴミの分別を校内でしてもらえたらという話がありSDGs・ESDの概念を活かした取り組みを行いました。
 また、川尻先生は上記取り組みを誰もが目にする環境にしたことで、先生方も子どもたちもSDGsについて知り、考えるようになると感じているそうです。

(報告:インターン 久保田優果)