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- 平成17年度 監事監査意見書(平成18年9月提出)
- 「平成17年度 国際協力機構監事監査意見」に関する対応について(報告)
平成19年7月
調達業務などの競争性向上について、経済性・効率性の視点
本邦における機材調達について
- 1 . 従来より、機材の銘柄指定は、特許を有する機材、スペアパーツ等所 定の要件を満足する場合以外は認めておらず、複数の参考銘柄を調べたうえで仕様書を作成し、原則として当該仕様を満足する2つ以上の参考銘柄を仕様書に記載することを通じて競争性の確保を図っているところである。
- 2 . 平成18年5月にJICA本部にて機材調達に関する業者向け説明会を実施した。事前にホームページで本件説明会開催の周知を行った。
- 3 . 入札結果について、一般競争入札案件では従来から応札業者名、応札金額、落札者名、落札金額の情報を公開している一方で、一般見積競争案件及び海上輸送見積競争では落札者、落札金額のみを公開していたが、平成18年度第4四半期から一般見積競争及び海上輸送見積競争でも応札業者名、応札金額を公開することにした。
以上取り組みの結果、平成18年度では業者の新規参入(4社)が見られるとともに、平均競争倍率3.05倍(17年度2.62倍)に競争性が高まった。また、落札率83.4%(平成17年90.2%)は前年度に比べて向上した。
在外における現地調達について
1)平成17年度から18年度にかけて、指摘のあった中国、エチオピア、 ザンビア、フィジーを含む以下の調査団を派遣した。また、ニカラグア、ボリビアについてはメキシコで開催した周辺国調達セミナー等に招聘し、調達支援を実施した。
- ケニア、エチオピア巡回指導 平成17年9月(JICA 2名、JICS 1名7日)
- ザンビア、ガーナ調達指導 平成17年9月(JICA 1名、10日)
- ホンジュラス、メキシコ巡回指導 平成17年11月(JICA 2名、JICS 1名14日)→周辺国セミナーにニカラグアの現地職員が参加
- メキシコ、ブラジル在外調達支援調査団 平成18年11月(JICA 1名、JICS 1名14日) →周辺国セミナーにボリビアの現地職員が参加
- 中国在外調達支援調査団 平成18年11月(JICS 1名、67日)
- ソロモン諸島、フィジー在外調達支援調査団 平成19年1月(JICA 2名、JICS 1名7日)
2)また、在外事務所における調達機能の強化及び現地調達の競争性を高めるため、以下の調達支援を実施した。
- 1 . 調達企業情報整備調査…タイ事務所(2件)、メキシコ事務所、パキスタン事務所、ホンジュラス事務所、フィリピン事務所、スリランカ事務所 7件 合計金額 8,304千円(平成17年度及び18年度実績)
- 2 . 長期調達支援要員…インドネシア、べトナム、タイ、フィリピン、メキシコ、ケニアに派遣済み 平成19年3月末 南アフリカ、ヨルダン、フランスに新規派遣して在外事務所に配置されている長期調達支援要員は9名体制となった。
- 3 . 調達業務に関する担当者向け研修…平成18年度実績としては、以下のとおり。
- 新規採用職員基礎研修2回(35名×2)、在外赴任者オリエンテーション(12回、140名)、ボランティア調整員研修(2回、82名)、専門家派遣前集合研修(7回、350名)、国内機関担当者セミナー(横浜、広島、兵庫)(3回、109名)
- 在外調達支援調査団17調査団を延べ23ヶ国に派遣、うち7ヶ国で近隣国の現地職員を招聘してセミナーを実施した(日本人74名、現地職員101名)。
プロポーザル方式による契約について
現行のプロポーザル方式の枠組みの中で、より価格競争性の向上を図るために、従来の技術評価に加え価格評価も勘案する「質・価格両面からの競争方式」の検討を行っている。具体的には、現行の技術評価の基準ライン(50点以上)をクリアーした技術プロポーザルを提出したコンサルタント等について見積価格の評価を行い、技術と価格を一定の割合で総合的に評価する方法について検討中。
ローカルコンサルタントの活用と内規の作成について
ローカルコンサルタントの手引きにローカルコンサルタントの選定から評価までの一貫した手続内容を追記し改定を図る。必要に応じて在外調達支援要員(長期・短期)を派遣し在外事務所が作成するローカルコンサルタントの内規作成の支援を行う。また、「調達どこでもドア」を活用し、在外事務所が作成した内規等各種の調達情報を掲載し、その他在外事務所勤務する誰もがアクセスできるよう情報の共有化を積極的に進めていく。
無償資金協力事業の実施促進と入札状況について
- 1)日本建設業団体連合会及び建築業協会の会員各社に説明会の案内を行ったところ、うち4社が平成19年1月11日に開催した説明会に出席した。また、日本土木工業協会と日本建設業経営協会の会員各社に説明会の案内を行ったところ、うち5社が3月6日に開催した説明会に出席した。平成19年度も引き続き、中堅ゼネコンや地方の企業に対し説明会を開催する予定である。
- 2)和文併記については平成18年9月から実施しており、全文和文化も一部実施を開始している。一般紙による広告についてはコスト高になるため、効果を見極めながら引き続き検討を行う。
- 3)業者入札の競争性の向上を図るため、調達方法と入札参加資格事前審査(P/Q)および入札広告について、以下のとおり、変更する予定。
- ア.すべての施設建設案件について、原則、建設業者間の共同企業体(ジョイントベンチャー)を認める。
- イ.大規模または特殊工法を含む施設建設案件の場合は従来どおりのP/Qを実施し(Aパターン)、それ以外の一般の施設建設案件は、海外・類似工事実績及び技術者数について申告制を取る(Bパターン)、という2つのパターンに分けることとする。なお、当該案件が大規模または特殊工法を含む案件であるかどうかについては、コンサルタントがJICAと相談の上、案件ごとに入札広告までに決定することとする。
- ウ.上記Aパターンにおいて、海外・類似工事実績及び技術者数について設定したP/Q基準にわずかに達しない業者がある場合、個々の基準を絶対的なものとして捉えて失格とするのではなく、基準を全体として捉え、総合的に業者の工事遂行能力を判断することとする。
- 4)ロットの細分化については、「コンサルタント業務の手引き」の中に「可能な限りロット分けを行なうことを検討すべき(1億円以上あれば検討)」とあるとおり、2003年より機材案件について実施されている。入札公示期間についても、基本的には最低45日、機材案件の場合は最低35日としており、すべての案件について2003年以降これに従って期間が設定されている。
事業効果と業務簡素化の視点
緊急援助隊、救助チームの派遣とその成果について
- 1 . 平成19年度予算として緊急援助隊調査チームの派遣経費1400万円(3件分)が認められた。
- 2 . 平成18年度の救助チームの総合訓練において、海外11ヶ国から合計18名の救助要員を招聘した。そして、JDRの救助要員と共同で訓練を行わせた。また、国際捜索救助に係る国際会議に出席すると共に今後の情報交換の核となる可能性のある関係者の名簿を作成した。さらに、災害医療研修のフォローアップとして、インドネシアを基点にフィリピン、マレイシアの災害医療関係者とのセミナーを行った。これらを通じて人的ネットワーク構築等に努めた。
- 3 . 平成18年度においてJAL及びエアパートナー社との間でチャーター便の活用に関する覚書及び包括契約をそれぞれと締結した。また、関係者を交えてチャーター便活用に係るシミュレーションを実施した。
- 4 . 平成19年度予算において緊急支援から復旧・復興への中長期的視点に立った事業の形成に係るプログラム形成調査団の派遣経費4500万円(3件分)が地域部所管として認められた。
開発プログラムの下で協力隊員が活動する際の留意点について
- 1 . ボランティアの要請開拓に際し、在外事務所では、近年、ボランティア調整員のみならず、プログラム関係者がプログラムの解決目標への協力の役割としてボランティアを位置づけてきているところが増えてきている。その際に、要請から派遣までに一定の時間を要することを前提に計画的に要望調査を行ってきているところである。また、在外事務所における業務体制も、技術協力担当班/ボランティア班というスキーム別の体制から、教育班、保健医療班といったプログラムや課題別の体制に変えてきている事務所も増えている。プログラムの下での隊員派遣を強化するため、訓練中には、前任者とコンタクトが取れて情報交換ができるようにしたり、テレビ会議システムなどによって事務所から候補生にプログラムの位置づけについて説明をするなどの工夫もしてきている。また、派遣中は、調整員が中心となって、プログラム上の位置づけや前任者の活動結果、配属先の課題などを事務所として後任者に伝達し円滑に後任者が活動できるよう配慮してきている。登録制度の活用については、適時適切に派遣できるよう、また、国民参加型事業として国民の参加機会を増大するため、登録数の増大に努めてきた。他方、登録数が増大しすぎた結果、派遣されない国民が増え、登録者の不満を高めることにもつながったため、適正な規模に修正をしている。
- 2 . ボランティア調整員の意識向上については、ご指摘のとおり、派遣前の研修ではODA全般、JICAの他の事業、プログラムアプローチについて従来より多くの時間を割いて重点的に研修してきており、また、在外事務所においては、所長、次長の指導の下同じプログラムを担当する職員と情報を共有して案件形成をするなどJICA全体あるいはプログラムアプローチの視点を常にもって業務にあたってきている。
事業の事後評価終了後のフォローアップについて
技術協力プロジェクト実施済案件現状調査として、終了後10年間アンケート方式により先方機関からの状況報告を得る方向で制度設計し、必要予算も確保した。平成19年度からの実施を予定している。
帰国研修員のJICA事業支援について
帰国研修員の事業への活用については、本邦研修の講師としての活用実績が増えつつある。これは、遠隔研修もしくは本邦招聘により、帰国後の活動状況を事例研究として報告してもらうもので、研修効果の向上に大きく役立っている。他方、平成19年10月を目処に帰国研修を対象とするWebサイトを開設し、国を越えた分野課題単位での帰国研修員のネットワーク化を促進する予定であり、これを通じて、研修事業に限らない事業のニーズと帰国研修員のリソースのマッチングを促進することとしたい。
国内施設の利活用率の向上について
引き続き研修員の受入時期の平準化等、従来からの施策を継続するとともに、平成19年度からJICA事業関係者向けの割引料金を設定した。これにより、市民参加イベント関係者、連携関係のある大学関係者、各種留学生(有償、無償資金協力によるものを含む)等のセンター利用の促進が期待できる。
本部と在外事務所との事務連絡体制について
機構内部の事務連絡の取扱については、法人文書取扱細則においてその用途を公電等の補足、督促等軽微なものに限っているとともに、電子メールは右事務連絡の手段の一つと定めている。実態上右ルールが必ずしも徹底されていないところがあったため、これまでも右徹底を指示してきたところ。なお、平成19年度からの公電データベース(業務公電をグループウェア上で授受する仕組み)を導入するのに併せ、電子メールによる事務連絡の送付の際は、送信者、受信者ともの上司に写しを送付することにより適切な電子メールの利用を図るよう、法人文書取扱細則を改定する予定。
また、在外機関との連絡文書の英文化の促進については、従来からのルールを適宜徹底してきている他、平成19年度からスピード翻訳サービス(48時間以内に翻訳)を導入すること、及び改革の総仕上げの一環としてさらなる英文化可能な文書の洗い出しを行うことで英文化促進を図っていく所存。
その他
年度計画と部署別年間業務計画とのリンケージについて
- 1 . 第2期中期計画案の作成及び同計画に基づく平成19年度計画案の作成の過程において、各事業の主管部局を中心に、地域部、課題部を含む関係部署において、各部署における実際の事業実施・業務運営を想定しつつ、中期計画・年度計画に記載すべき項目や具体的な内容・記述について検討を行った。また、中期計画及び平成19年度計画の確定後、その達成に向けて、組織横断的な対応が必要となる課題・事項(例:事業予算計画面の強化、包括的な経費効率化、業務軽量化)を抽出し、各部署が平成19年度部署別年間業務計画を作成する際に原則として盛り込むようにした。
- 2 . 独法の(対外的な)業績評価の対象となる中期計画・年度計画と組織内の業務管理ツールである部署別年間業務計画の取りまとめを一本化することは制度的に難しいが、ご指摘のとおり、両者のリンケージを促進し、できるだけ同一の目標の下に業務の遂行とモニタリング、評価ができるように、新JICA発足時の中期計画変更に向けて今後も取り組みを継続していきたい。
PCI問題への対応について
(1)事態の概要
コスタリカ国における開発調査「コスタリカ国テンピスケ川中流域農業総合開発計画調査」案件において、機構(JICA)が契約を締結したパシフィックコンサルタンツインターナショナル(以下「PCI」という。)と同社が業務の再委託をしたコスタリカ国土地理院の間の取引において、同地理院への資金振込等について不明朗な点があるとの相手国からの資料提出依頼があった。
これに端を発しその後、機構(JICA)において過去5年間(平成12年度から16年度)PCIが受注したすべての現地再委託業務を含む業務実施契約案件数を調査したところ、その対象は上記農業案件を含め51ヶ国85案件451再委託契約あることが判明した。このうち、機構(JICA)の在外事務所が存在せず現地の状況が伝わりにくい国で実施された案件を中心に11ヶ国11案件の現地再委託業務について現地で再委託先への確認調査を行ったところ、コスタリカの上記農業案件1件(不正金額19,568,928円)に加え、新たに4ヶ国4案件(同15,361,089円)において、契約の水増し、契約の相手方が存在しない架空の契約があるなどの不正行為が判明した。
その事態を踏まえ残りの全案件についても調査を行った結果、更に11ヶ国13案件において経理処理や精算手続きが適切でなかった事態(これらにかかる金額は現在精査中)が判明した。ただし、PCIは、この11ヶ国13案件にかかる金額については、事業に必要な他の経費に流用したり、再委託する予定であった業務そのものを自ら実施したと説明をしており、機構(JICA)としては、今後PCIが実施した業務の内容、証憑等の精査を引き続き行い、不正金額があるか否かの検討を行い、あればその額の確定の作業を行うとともにその返還請求を行うことが必要となる。
結局、全体として15ヶ国18案件で、不正も含めた不適切な経理処理(コスタリカ国ほか4ヶ国4案件にかかる金額34,950,544円及び現在精査中の11ヶ国13案件にかかる金額)が行われていたこととなる。
(2)機構(JICA)のとった措置
ア 指名停止措置
当初2ヶ月の指名停止措置をとったが、調査結果の事態の進展に応じて、停止期間の延長を行い、最終的には規程上最も長い18ヶ月(平成16年9月15日から18年3月20日まで)の指名停止措置をとった。
イ 不正請求額の返還
調査の結果、当該プロジェクトの経費に充てられたと認められる一部の金額を除き、確認できないものについてはすべて不正金額として利息及び消費税分を加算し返還させることとした。(既に不正金額として確定した、コスタリカ国農業案件ほか4ヶ国4案件の34,950,544円については、その額に利息及び消費税分を加算した額48,541,853円を返還させている。)
ウ 再発防止策
再発防止策については、外部有識者を交えた検討委員会での審議結果を踏まえて、現地再委託契約の事後のチェックの強化と事前手続きの合理化・効率化等の両面から見直しを行って、その結果、従来の再委託契約手続き要領を改訂し、「コンサルタント等契約における現地再委託契約手続きガイドライン」として取りまとめ、機構(JICA)職員、コンサルテイング企業に説明を行い、ホームページでも公表を行っている。
改正の主な点は次の通りである。
- 1)事後チェックを強化するための措置
- 1. 現地再委託業務について、業務完了後一定の基準により抽出し、第3者機関を利用して検査を行う。
- 2. コンサルタントが現地再委託業者と契約締結後は、再委託先への事実確認など現地再委託契約内容の確認を行う。
- 3. 検査の前提の全体契約完成時の報告書とは別に、現地再委託業務完了時に再委託業務にかかる部分の報告をコンサルタントに求め、成果品の確認を行う。
- 2) 事前手続きの効率化等の措置
- 1. 現地の受託能力のある現地業者や価格等の事前調査において、その拡充等を図り有用なデーターをコンサルタントに提供するとともに、再委託についてより精度の高いプロポーザル作成が可能となるように業務指示書の一層の明確化に努める。
- 2. 被援助国側の事業環境の変化にも柔軟に対応できるように、ややもすれば形骸化していた現地再委託契約の事前の審査・承認手続きを廃止する。
- 3. 1,000万円以上の現地再委託契約を締結するなどの場合は原則として機構(JICA)職員が立ち会う。
等が主な変更点である。
このような再発防止策がとられることにより、基本的に同種事態の再発は防止できる体制は整ったと思われるが、その実効性を確保するために、今後の厳正、かつ、的確な運用が望まれるところである。
また更に、不正金額の確定していないものについては早急に精査を行い、返還額を確定させる必要があると認められる。
(3)対応状況
- 1)平成18年10月26日までに15ヶ国18案件58再委託契約の返還金として170,983,178円をJICAに返還済み。本件に関し現在会計検査院は検証中。なお、平成18年6月「現地再委託契約手続きガイドライン」を策定。改定のポイントは、以下の3点。
- ア.再委託契約締結後の契約内容の確認の徹底と現地再委託契約業務完了後の第三者機関による抽出検査の導入。
- イ.被援助国側の事業環境の変化に即応できるよう、従来の現地再委託契約手続きにおける事前の審査・承認手続きを廃止し、コンサルタント等に裁量を与え、その手続きを機動的なものにした。
- ウ.一つの業務実施契約内で複数の現地再委託契約を行う場合、コンサルタント等の裁量で、現地再委託契約充当分経費の総額内において、各々の現地再委託契約経費の調整を認めることとした。
- 2)平成18年10月31日 (PR)第10−30010号調達部長通知にて
「現地再委託契約手続きの履行にあたって職員が特に留意すべき事項」にて以下の6点を現地再委託契約手続きの留意事項として徹底を図った。なお、現地再委託契約手続き履行結果に関する報告を義務付けている。 - 1. 本邦コンサルタント等との契約交渉における留意点
- 2. 現地再委託業務の発注に係る入札及び契約への立会い時の留意点
- 3. 再委託契約締結の報告を受ける際の留意点
- 4. 再委託先への契約内容の事実確認を行う際の留意点
- 5. 再委託業務の完了報告と成果品を確認する際の留意点
- 6. 成果品決裁時における留意点
- 3)JICAにおいては、国会の求めに応じ、受注上位のコンサルタントとの契約や在外事務所のない国での金額規模の大きな案件について現地で経理書類を精査するなど不適正経理の有無を確認中。また、それ以外の案件についてもJICAはコンサルタントに調査を行い、調査結果の検証を実施しているところである。
以上
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