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- 平成18年度 監事監査意見書(平成19年9月提出)
- 「平成18年度 国際協力機構監事監査意見」に関する対応について(報告)
平成20年9月
契約業務などの適正性、効率性・経済性の確保について
平成17年度、18年度のJICA の契約状況について
- 1)競争性のある随意契約について
平成19年度に「ニジェール国マラリア対策支援計画基本設計調査」において技術点に価格点を加算する評価方式を採用した試行案件を実施した。現在、試行案件を実施中であるが、引き続き他の類似案件でも試行を検討したい。 - 2)競争性のない随意契約について
20年1月の会計規程の改正に伴い当該報告書と集計値は異なるが、新基準(注)によれば18年度おける競争性のない随意契約(見積合せ、特命随意契約)は金額にして277億円、全体の36%であったものが、19年度には181億円、23%に減少しており(対前年度比マイナス96億円、マイナス13%)、一般競争等へ着実に移行している。引き続き競争性のある契約への点検・見直しを行う所存。
- (注)「工事又は製造」は500万円から250万円超に、「財産の買入れ」は300万円から160万円超、「物件の借入」は300万円から80万円超に、「その他」は300万円から100万円超。なお、平成19年度実績は暫定値。
- 3)競争入札・見積競争方式などについて
機材調達については、現地調達が主流となっているが、在外事務所においても見積競争の増加し、競争に付した案件割合は、28%(H14)、57%(H17)、 54%(H18)となっている。
大型機材や特殊又は高度な性能の機材の現地調達については、必要な場合には本邦価格を調査したうえで調達方法を検討しているが、制度化にまでは踏み込んでいないが、引き続き検討して行きたい。
契約における価格要素の導入に際して業務の質の確保の必要性について
外部委託(役務調達)の契約にかかる企画競争においては価格要素を含めている。案件の性質・内容等に応じ技術点と価格点のウェイトに差異を設けることにより質の確保を図っているところである。委託契約では最低制限価格を採用した事例はないが、今後更に価格要素が高まれば契約を履行するに足る最低限の質を確保するためにも引続き当該制度等の導入も視野にいれつつ競争性のある契約方式を検討することとしたい。
プロポーザルと価格の評価方法について
前述の業務実施契約案件「ニジェール国マラリア対策支援計画基本設計調査」の試行案件では、価格加点方式を「技術:価格=90:10」と「技術:価格=80:20」の配点で比較した。その結果、実施計画金額が大きくなればなるほど(出来形が不定形で実施計画金額が大きい案件、見積価格差が大きくなると想定される案件)、技術競争以上に価格競争性が大きく働くことが分かった。
上記の結果、本件では(技術点)×0.9+(1−見積価格/予定価格)×0.1の算式を採用した。
今回の無償資金協力の機材案件における試行結果を踏まえ、今後とも無償資金協力等の案件において価格加味方式の試行を検討したい。時期的にはJBICとの統合後を検討したい。
価格加味について、基本的にはプロポーザル評価に価格を加味することは必要とは思料するが、監事の指摘どおり、質の確保を前提とした制度の趣旨を損なわないように改めるべきと考える。
事業効果に関する事項
事業終了後の履行の担保について
実施済み案件については、これまで事業マネジメントのあり方について検討・研修を行い、期中より留意すべき計画・管理・評価上のポイントの共有を図ってきている。また実施済み案件の現状把握のための調査を行い、その調査状況と結果も踏まえ、重点を置くべき対象や対処方法等についても検討を行っている。
一方、今後は新JICAとして3つのスキームを一元的に取り扱う組織となることを踏まえ、そのメリットを生かし、相手国政府側との関係をより重層的かつ強固にしたい。かつ事後の成果発現の観点も含めた、協力プログラムレベルでの総合的な協力・関与、また「官民連携」の視点を導入した持続的な協力など、改善に向けポテンシャルを発揮していく。
政権交代等による技術協力の継続性の担保について
人間の安全保障の視点の導入などにより、行政レベルやコミュニティレベルなど様々なレベルでのアプローチを取り込んだ案件の取り組みをこれまでも推進してきており、引き続き見解を踏まえ、適切な事業計画の立案・実践を図っている状況である。
かかる視点を踏まえた取り組みは、組織のみならず、「ひと」に眼目を置くものであるため、協力の成果が関係する「人びと」に根付きやすくなるとともに、政権交代などによる事業終了後の混乱要因に対しても、一定の抑止効果が見込めると考える。
第三国集団研修のあり方について
第三国集団研修については、改善の方針を策定し、また事後評価制度についてもこれを導入することとした。また、これを踏まえマニュアルの改定を行う予定である。
なお、これまでの取り組みあたっては、地域部・課題部の職員や国際協力専門員等アドバイザーなどから構成される「南南協力タスク」における情報交換・議論を通じた共通理解の形成への取り組みが重要な役割を果たしてきた。
引き続きより中長期的な視点から、南南協力、第三国リソースの有効活用など効果的な協力のあり方に向けた取り組みを行っている状況である。
JOCVの職種別充足率(要請数/派遣数)の向上とプログラム化について
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各関連組織に対し現職参加制度の推進を積極的に展開している中、地方における協力隊を支援する育てる会に、現職参加促進業務を委託し、更なる支持組織への働きかけ強化をすすめている。特に今年度は、「現職参加した社員が帰国後いかに企業に貢献しているか」についてアンケートを実施、結果を分析した。
また商業分野に強いネットワークをもつアドバイザーを雇用し、50の分野の人材ネットワークを構築した。
CSRに関心のある企業に対しては、同アドバイザーの助言に基づき適性人材の確保をすべく働きかけを強化した。特に昨年度は、SV派遣形態の幅を広げることを目指し、企業の経営経験のあるSVのグループ派遣を試行的にザンビアとヨルダンで実施した。優良企業OBの協力を得て、中小企業振興の工場訪問によるアドバイス、及び現地の事例を取り入れたビジネスセミナー「経営基盤づくりコース」を実施し現地政府から高い評価を得た。
職種と関係の深い団体については、事務局内で各重点職種別にチームを結成し、技術顧問・技術専門委員の助言を得ながら常時コンタクトを取れる体制を固めている。
現職教員特別参加制度に関しては、制度紹介ビデオを作成し、実際に実績のある職場の声を反映したものを全国の教育委員会に配布した。
公務員用ボランティア事業参考資料として「国家公務員・地方公務員のJICAボランティアへの現職参加」の改定を行った。 - 2 . 今後、必要に応じSVへの振り替えを実施するよう努める。
- 3 . 短期ボランティアに関しては健康診断を省略し、健康に関する調書のみとする措置をとっており、長期ボランティアで健康面で不合格となった方で短期派遣を希望する場合は、その方の健康状態と派遣国の環境を鑑み個別対応を実施している。なお、JVにおいては、アレルギー、メンタル、婦人科が三大健康問題であり、SVについては、生活習慣病が起因の健康問題が多いが、その中においても一律不合格としている訳でなく、6ヶ月毎の検診が必要な方であれば3ヶ月の短期で対応する等の措置を行っている。ただ、基本的には継続受診が必要な方の長期は厳しい状況である。
- 4 . 青年層の確保が困難な職種については、19春からシニア海外ボランティアへの振り替えも可能となるように要請書のフォームを改善した。
一定期間経過後の施設、機材等の管理運用について
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技術協力に関連して供与される機材は、協力期間中の技術や知見の移転に必要な投入すなわち手段の一つとして、相手国実施機関側に供与(もっぱら期中から譲与)されるものである。よって当該協力期間中にこれらの有効活用を図り、協力活動を通じ成果を出すことがまず必要である。
他方、当該協力期間の終了後においても、それまでに得た技術や知見を引き続き活用・発展させ、自助努力により相手国側実施機関における活動が継続されていくことは肝要であり、かかる観点も含め、各案件の管理及び評価に意を払っているところである。
供与済み機材の耐用年数と、協力期間終了後の相手国側実施機関によるその処分に関するあり方については、すぐさま統合的な指針を設けることは容易なことではないが、効果の発現状況のみならず事務的合理性をも踏まえた上で、機材の種類及び利用形態並びに調達方法の多様性を十分に考慮すると共に、無償資金協力との差異に留意しつつその先行事例を参考にし、適切な関与のあり方がいかなる形で可能か検討を継続しているところである。 -
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また、無償資金協力については、耐用年数を超えた施設・機材等については、先方政府の自助努力に基づき不具合を修繕するなどし、所期の効果を発現するために必要な性能をできる限り維持することが求められる。しかしながら、耐用年数が過ぎ修繕が不可で使用に耐えないと先方政府が判断した施設・機材等に関し、先方政府から処分に係る申請が発出された場合は、当該機材の現況をできる限り正確に把握し、それまでに当該施設・機材等が果たしてきた役割・機能等の検証を行う必要があり、そのために必要な調査・確認方法について、在外事務所等のかかわり方も合わせて検討している状況である。
耐用年数を超えた施設・機材等については、先方政府の自助努力に基づき不具合を修繕するなどし、所期の効果を発現するために必要な性能をできる限り維持することが求められる。しかしながら、耐用年数が過ぎ修繕が不可で使用に耐えないと先方政府が判断した施設・機材等に関し、先方政府から処分に係る申請が発出された場合は、当該機材の現況をできる限り正確に把握し、それまでに当該施設・機材等が果たしてきた役割・機能等の検証を行う必要があり、そのために必要な調査・確認方法について、在外事務所等のかかわり方も合わせて検討している状況である。
その他
赴任中のJICA関係者の健康管理体制強化について
- 1 . 在外健康管理員の募集強化に関しては、帰国時のオリエンテーションの際に看護関連のボランティアに募集要項を配布したり、産業看護師のメ−リングリストへ募集案内を掲載する等の対応を行った。また派遣前研修の効率化を図るべく、平成20年度からはボランティア調整員の派遣前研修(VC研修)と同時期に実施することにより、VC研修と共通する部分については同研修を活用することとした。
- 2 . 看護分野の帰国研修員を在外事務所に配置する等組織的に動員することは難しいが、ピンポイント的に、医療事情調査や病院における調整等において適時活用している。
- 3 . 経験豊富なシニアの健康管理員を広域在外健康管理員として地域の中核に配置することとし、20年度中にアフリカ地域の健康管理を担う広域在外健康管理員を派遣する予定。
PCI問題等について
平成19年8月26日から平成19年9月9日に現地再委託契約に関する第三者抽出検査を実施した。再委託契約案件が多い東南アジアの3ケ国を対象に公認会計士等から構成されるチームを派遣し、次のとおり再委託先を訪問するなどの検査を行った。
- 1 . フィリピン国 5案件 8現地再委託契約
- 2 . カンボジア国 4案件 6現地再委託契約
- 3 . インドネシア国 8案件 10現地再委託契約
合計 17案件 24現地再委託契約
検査の結果、契約金額の返還を伴うような契約及び精算処理の不正は認められなかった。その他の18年度案件にかかる現地再委託契約のガイドラインの実施状況は次のとおり。
- (ア)1000万円以上の契約又は入札における立会い 113件/122件
- (イ)再委託契約の事実確認 495件/495件
- (ウ)再委託契約業務の完了報告・成果品の確認 495件/495件
以上
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