宇宙分野におけるアフリカ・日本の連携促進 (New Space Africa Conference2025への参加)
2025.06.05
アフリカでは、持続可能な開発と経済成長を目指すために、衛星データの利用が拡大しており、併せて衛星開発および打上げの需要が高まっています。また、宇宙分野の需要拡大を受け、近年アフリカ各国では宇宙分野の政府機関が次々と設立され宇宙行政の整備が進んでいます。そこで、アフリカ連合(AU)は、「Africa Space Policy」や「Africa Space Strategy」を策定し、アフリカ大陸全体で宇宙技術を活用するための指針を打ち出すとともに、アフリカ全体の宇宙技術開発を調整するため、2025年4月にはエジプトにAfrica Space Agency(AfSA)を設立しました。
今回参加した「NewSpace Africa Conference」は、アフリカの宇宙産業の発展を促進するための国際会議であり、今年は世界65か国以上から550名を超える参加者が集まりました。300を超える機関が関与し、アフリカの宇宙関連機関をはじめ、欧米、中国、その他の国々の政府関係者や民間企業、大学などが一堂に会しました。会議では、アフリカの宇宙分野の動向、政策、技術革新、地球観測、通信衛星、宇宙港など多岐にわたるトピックが議論されました。また、展示会やネットワーキングセッションでは、企業間(B2B)や政府と企業間(B2G)のマッチングが行われ、新たなビジネス機会が創出されました。
日本はこれまで、アフリカ諸国の初の衛星開発・打上げを支援し、さらに日本の大学へのアフリカからの留学生受け入れや、宇宙分野の研修を通じた人材育成を推進してきました。加えて、日本の小型衛星技術や衛星データ利用のノウハウを活用し、アフリカ諸国の社会課題解決や経済開発を支援しています。
本会議では、日本-アフリカ・パネルとして「Developing partnership for Space Sector in Africa - Road to TICAD9」をテーマにしたパネルディスカッションが行われました。モデレーターは※JICA宇宙国際頭脳循環プログラム委員長の中須賀真一教授(東京大学)が務め、エジプト宇宙庁(EgSA)CEOのSherif Sedky氏、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の菊池耕一氏、ナイジェリア出身で九州工業大学大学院博士課程を修了し現在はUniversity of Southamptonで講師を務めるTaiwo Tejumola氏、そしてアークエッジ・スペース社CEOの福代孝良氏が登壇しました。パネルでは、JICA宇宙国際頭脳循環プログラムでの人材の紹介や2025年8月に横浜で開催予定の第9回東京アフリカ開発会議(TICAD9)に向けて、日本とアフリカの宇宙分野におけるパートナーシップの強化が議論されました。特に、日本の技術や人材育成の取り組みがアフリカにおける持続可能な発展にどのように寄与できるかについて、具体的な意見交換が行われました。
展示会では、「Japan Pavilion」を設置し、JICA、アークエッジ・スペース社および九州工業大学が共同スポンサーとして出展しました。このブースには、スポンサー3者のほか、JAXA、UNISEC Global、クロスユーをはじめとする日本の民間企業や大学も参加し、日本の宇宙技術や人材育成の取り組みを紹介しました。さらに、アフリカ諸国との連携強化に向けた具体的な協議が行われました。
JICAは、アフリカとの宇宙分野における協力をさらに深化させるため、引き続き技術支援や人材育成を推進していきます。また、2025年のTICAD9を契機に、宇宙分野を含む幅広い分野でのパートナーシップを強化し、アフリカの持続可能な発展に貢献することを目指します。
※JICA宇宙国際頭脳循環プログラム:本プログラムは、開発途上国10~15ヵ国を対象に、本邦産官学の関係機関が連携し、宇宙・衛星技術と衛星データの利活用を推進する人材育成プラットフォームを構築すると共に、中長期視点から人的ネットワーク強化を図るものである。10年間で150名程度の学位取得、及び本プログラム参加者を中心とした本邦産官学機関との連携事業や関連活動が8件以上実施されることを目標としている。
・イベント概要
イベント名:New Space Africa Conference 2025
期間:2025年4月21日(月)~24日(木)
主催:Space in Africa、アフリカ宇宙庁(AfSA)、エジプト宇宙庁(EgSA)
場所:エジプト(カイロ)
パネルディスカッションの様子:左から中須賀教授、Sherif氏、菊地氏、Taiwo氏、福代氏
Japan Pavilionでの活動風景①:アクセルスペース中村CEOがケニア宇宙庁長官(右)へ事業紹介をしている様子
Japan Pavilionでの活動風景②:RESTEC亀井氏がアフリカ宇宙関係者へ事業紹介をしている様子
Japan Pavilionでの活動風景③:アークエッジ福代氏がウガンダICT大臣へ事業紹介をしている様子
宇宙国際頭脳循環プログラムの一環で会議へ参加した東京大学Max助教授(左)、中須賀教授(中央)、小川職員(右)
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