水道事業体のDX促進研修を実施しました(2025年5月26日-27日開催)
2025.06.19
2025.06.19
上水道分野のDX促進に向けた研修を開催
JICA水資源グループ及びSTI・DX室の共催で、5月26日(月)、27日(火)の1.5日間にわたり、水道事業体のDX推進に向けた研修を行いました。本研修は、STI・DX室が推し進める「エンタープライズDX」の活動の一環として、DX主流化を通じたクラスター事業戦略「水道事業体成長支援」の更なる推進を目指し、その担い手となる水分野コンサルタントのDX推進力向上のために実施したものです。本研修には水分野で活動する開発コンサルタントを中心に約20名が参加し、JICAにおけるDXの取り組みや、水道事業体のデジタル活用・DX推進の方法論を学ぶとともに、実践的な演習を通じて理解を深めました。
講義・議論・実践で体系的な理解を深化
講義、パネルディスカッション、グループワークなど、1.5日間にわたる研修を通じて、参加者にはさまざまな変化が見られ、水道事業体におけるDX促進に対する理解が深まった様子がうかがえました。
まず、JICA全体・水資源グループのデジタル活用戦略・DXの取り組み、DX推進に必要なマインドセット、水道事業体のDX推進手順について説明を行いました。その後、タンザニアZAWA(ザンジバル水道公社)およびバングラデシュCWASA(チョットグラム水道公社)でのDX推進およびデジタルソリューションの導入事例をテーマとしたパネルディスカッションを行い、ZAWAのHead of ICTを務めるSalim氏や、同活動に係る支援を担当したコンサルタントが参加し、実際に現場で直面した課題や、DX推進にあたって求められるマインドセット等について意見を交わしました。参加者からは、導入したデジタルソリューションの詳細や課題の乗り越え方などに関する質問が多く寄せられ、活発な議論が行われました。また、現場経験に基づく率直な対話を通じて、「水道事業体としての発展段階が低い場合でも、デジタル活用やDXの検討を行うことに価値がある」点について理解が深まったという声も聞かれました。
また、グループワークでは、東ティモールの水道事業体をモデルとしたケーススタディを実施しました。講義で紹介されたDX推進の手順を基に、参加者自身の手でプロセスをモデル実践することで理解を深めました。「水道事業体のデジタル化レベル評価」の演習では、事前に配布されたインタビューメモなどの参考情報から、評価観点に沿って必要な情報を読み取り、水道事業体のデジタル化レベルを評価しました。その後、水道事業体が有するデジタルインフラやそれらの連携状況を俯瞰的に把握できる「デジタルアーキテクチャ」の作成や、PoC(概念実証)を実施する際に起こり得る課題やその対応策についても検討し、水道事業体のDX推進に向けた一連のステップを実践的に体得・経験する場となりました。
参加者の声、水資源グループは今後も上水道分野におけるDX推進を継続
参加者からは、「DX推進を体系的に行う流れが理解できた」「今後自分が担当する案件で試してみたい」「水道事業体全体を俯瞰して捉える視点の重要性に気づけた」「他のコンサルタントとの意見交換がとても有意義だった」といった声が多く寄せられました。
JICAは、各国の水道事業体の発展段階に応じてDXを効果的に取り入れていくことで、各国における水道事業体の持続可能かつ自律的な成長を後押ししていきます。
scroll