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JICAとフィリピン科学技術省(DOST)、災害リスク軽減およびデータに基づく行政の実現に資するAI対応型国家データ基盤の構築に向けた協力を開始

2026.06.16

■ 概要

独立行政法人国際協力機構(JICA)とフィリピン科学技術省(Department of Science and Technology: DOST)は、同省が主導する地理空間情報分析・技術ソリューションプログラム(GATES: Geospatial Analytics & Technology Solutions)の高度化に向けた協力に合意しました。本協力は、災害リスク軽減およびデータに基づく行政の実現に資する、安全性・信頼性の高いAI活用環境の構築を支援することを目的としています。

GATESプログラムは、政府機関間に分散している地理空間データや気候関連データを統合し、相互運用可能なデータ基盤を構築することを目指す国家的な取り組みです。高度な地理空間分析およびAIを活用することで、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、エビデンスに基づく政策立案の強化や科学技術・イノベーションの促進に寄与することが期待されています。

本協力は、デジタル技術を持つパートナーとの共創を進める実験的な取り組みであるJICA DXLab を通じて実施します。2026年6月に開始し、約4か月間にわたり実施する予定です。本協力では、GATESプログラムが推進するデータの相互運用性、ガバナンス、及びデジタルトランスフォーメーション能力の強化に向けた取組みに対し、重点的な技術支援を提供するとともに、同プラットフォームが気候・災害リスクデータに関するより広範なデジタル公共インフラ(DPI)への発展を追求します。

■ 半世紀を超えるフィリピンとの協力関係を基盤として

本協力は、日本とフィリピンの長年にわたる協力関係の実績を踏まえたものです。JICAは1970年代以降、フィリピン大気地球物理天文庁(PAGASA)に対し、気象観測機材の供与や技術協力を実施し、台風や豪雨、洪水に関する観測・予測・早期警戒体制の強化に貢献してきました。

また、フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)に対しても支援を行い、2004年のメトロマニラ地震被害想定調査をはじめ、地震観測や早期警戒、データ分析能力の向上に貢献してきました。

こうした協力の成果を踏まえ、両者はGATESプログラムの下で協力関係をさらに強化していくことを確認しました。DOSTはこれまで災害リスク軽減分野における国家レジリエンスの強化に中心的な役割を果たしてきましたが、本協力を通じて、データ活用に基づく政策運営の時代に向けた取り組みを一層推進していきます。

■ 災害レジリエンスに向けた国家データ基盤の推進

GATESは、国家AI戦略を具体化する取り組みの一つであり、政府全体におけるデータ駆動型ガバナンスのモデルとなることが期待されています。

GATESは、DOSTの国家プログラム「ELEV8PH」の一環として2025年に開始された3か年計画であり、気象・火山・地震などの分野を担う複数の機関のデータを統合し、AIに対応した国家レベルのデータ基盤の構築を目指しています。
これまでに、統合型防災プラットフォーム「HANDA」の運用開始、データアーキテクチャの設計、能力強化・研修等が進められています。さらに、地理空間AI(GeoAI)、予測分析、地球観測データの活用など、先進的なデータ技術の活用も検討されています。

■ 協力の主な内容

本協力では、以下の2点を主な柱としています。
(1)データ基盤の強化
多様な政府機関が保有するデータを連携させる上での課題に対応しつつ、データの所有権を適切に尊重しながら、信頼性・安全性の高いデータ基盤の構築を支援します。また、AI活用に適したデータ標準化や、責任あるAI利用のための枠組みの整備にも取り組みます。本基盤は将来的に、DOST内にとどまらず、政府全体や国民のための活用も視野に入れたものとなることが期待されています。

(2)データの政策活用の推進
災害対応や気候変動対策においてデータをどのように活用できるかを検討し、実際の政策・施策に結びつくユースケースの検討・評価プロセスの確立を支援します。例えば、台風の影響予測ツールや、気候リスクの可視化ダッシュボード、避難計画の策定支援ツールなど、国民生活への具体的な便益につながる取り組みのアセスメントが想定されています。

今後の展望

本協力を通じて、フィリピンにおける災害リスク管理の高度化およびデータに基づく政策立案の推進に貢献するとともに、デジタル技術を活用した持続可能で強靭な社会の実現を後押ししていきます。

また、本協力を通じて相互に培う知見やネットワークは、日本とフィリピン双方におけるデータやAIを活用した政策運営の高度化に寄与するとともに、関連分野における日比間の連携強化や企業や研究機関を含む多様な主体の連携の進展につながることも期待されます。

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