北岡理事長が世界人道サミットに出席:人道支援と開発援助の連携の重要性などを発信

2016年5月26日

世界人道サミットの会場

北岡伸一JICA理事長は、5月23日と24日の2日間、トルコ・イスタンブールで開催された世界人道サミット(World Humanitarian Summit)に参加しました。

難民・国内避難民問題の解決に向けた、人道支援と開発援助の更なる連携を目指して

5月23日、日本政府とSolutions Alliance(注)の共催で、「人道支援と開発援助の連携‐難民・国内避難民のための解決策を見出す協働アプローチ」(“Strengthening the Humanitarian - Development Nexus: Collaborative Approaches to Finding Solutions for Forcibly Displaced Persons.”)と題したサイドイベントが世界人道サミット内で開催され、難民・国内避難民問題の恒久的な解決に向けた人道支援と開発援助の連携の在り方について議論されました。北岡理事長は、マルティン・ビル・ヘルマンデンマーク外務省開発政策担当次官、スティブン・コルリス国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)プログラム支援・管理部長、中満泉国連開発計画(UNDP)総裁補兼危機対応局(CRU)局長と共に、人道支援と開発援助機関のそれぞれの比較優位に基づく連携の在り方に関する討論に参加しました。北岡理事長は、日本政府・JICAが従来より「人間の安全保障」の考え方を重視し、難民・国内避難民の問題を最重要課題の一つと捉えて取り組んできたことを述べると共に、開発援助機関であるJICAの難民・国内避難民支援における比較優位として、(1)受入国・コミュニティーのレジリエンス(強靭性)強化、(2)就業・教育支援を通じたエンパワーメント、(3)危機再発を防ぐ国家建設支援や帰還・再定住支援、に強みがあることを説明しました。更に、北岡理事長は、問題の解決に向けて、受入国・社会のオーナーシップの尊重や、難民・国内避難民に生産活動に携わる環境を提供することの重要性などを訴えました。これらの点はイベントの成果文書「共同宣言」としてまとめられ、サミット全体への貢献としてサミット事務局に提出される見込みです。なお、本イベントには、白石和子外務省女性・人権人道担当大使、ケリー・クレメントUNHCR副高等弁務官、ヘレン・クラークUNDP総裁も参加し、スピーチを行いました。

防災の主流化に向けた日本の決意を表明

北岡理事長は、翌5月24日に、自然災害・気候変動に関するハイレベルリーダーズ・ラウンドテーブルに日本政府を代表して参加しました。このラウンドテーブルは、潘基文国連事務総長による議長の下、事務総長が今年2月に発表した報告書「One humanity, Shared Responsibility 」の提言内容の実現に向けた具体的行動を各国・機関が表明する場として開催されました。日本は、昨年3月の第三回国連防災世界会議において採択された「仙台防災枠組み2015−2030」に基づき、特に事前の防災投資の促進や災害を契機に災害前より強靭な社会となるような復興を行う「Build Back Better(よりよい復興)」の取組みの重要性を強調すると共に、日本が当該分野で具体的に取り組む活動を発表しました。

(注)2014年4月、近年増加する長期化した難民(Protracted refugee)(=紛争の長期化により帰還できない難民)に人道支援機関・開発援助機関・庇護国政府が協力して対応するために立ち上げられた国際的な枠組み。米国、スウェーデン、EU、日本、UNHCR、UNDP、世銀等の他、コロンビアやザンビア等の難民受入国、国際救助委員会(IRC)やIKEA等も参加。