北岡理事長がスポーツを通じた国際協力の意義について講演

2016年10月28日

会議で発言する北岡JICA理事長

北岡伸一JICA理事長は、10月21日、文部科学省主催のスポーツ・文化・ワールド・フォーラムのスポーツ大臣会合に登壇し、JICAが取り組むスポーツを通じた国際協力について講演しました。

同フォーラムは、リオ五輪・パラリンピックが終了し、2020年東京五輪・パラリンピックに向けての動きが始まる中で、今後日本がホストする一連の国際競技大会に向けて、国際的な気運を高めるためのキックオフイベントとして開催されました。

イベントには、50カ国のスポーツ担当大臣はじめ、経済団体、競技団体、民間企業等からの600名以上が参加しました。

会合では、高円宮妃久子殿下のお言葉、鈴木大地スポーツ庁長官によるスポーツ・フォー・トゥモロー(注)に関するプレゼンテーションに続いて行われた「開発と平和のためのスポーツ」セッションにて、北岡JICA理事長が講演を行いました。

北岡理事長は、講演の中でJICAによるスポーツを通じた国際協力の事例として、南スーダンでのスポーツ大会開催支援やその他の国のボランティア事業を紹介したうえで、「スポーツは公平な態度や寛容な心を育てる素晴らしいツールである。日本の武道の精神に代表されるように、たとえそれが敵であっても同様に敬い尊敬する姿勢は、豊かな人間性と成熟した社会の形成に欠かす事ができない」と述べました。さらに、「スポーツにおいて最も重要なのは、勝ちにのみこだわらず、公平性・高潔性を守ること」と発言、スポーツが正しい姿で行われることが社会の発展にとって有用であると強調しました。

また、スポーツによってのみだけで開発課題の解決をすることはできないと言及した上で、「JICAは、スポーツを単に広めるのではなく、スポーツが有する価値を活用し、社会的に弱い立場にある女性や子ども、障害者を含めたインクルーシブな社会の実現に貢献します。」と締めくくりました。

国連UNOSDPレムケ事務総長特別顧問

同セッションでは、ウィルフリード・レムケ国連・開発と平和のためのスポーツ事務局(UNOSDP)事務総長特別顧問が、スポーツが持続可能な開発にもたらす効果について説明し、より多くの人々にスポーツを実施する仕組みや場をつくることが重要であると述べました。さらに各国のスポーツ大臣に対し、体育科教育の導入の重要性を強調しつつ、スポーツと教育の融合によって、包摂性のある社会づくりに貢献することができると述べました。

二国間会議での南スーダンマヨム大臣と北岡JICA理事長

また、南スーダンのマヨム文化青年スポーツ大臣は、南スーダンの独立後におけるスポーツを通じた平和の促進に関する事例を紹介しました。その中で「JICAによるスポーツを通じた平和促進の支援、そして今回のリオ大会への参加支援にとても感謝している。混乱の続く難しい時において、オリンピックへの参加は国民にとって、特に若い人たちにとって大きな希望となった」との感謝の意が述べられました。

会合では、他の発言者からもJICAが行ってきたスポーツを通じた国際協力についての言及があり、レムケ特別顧問からは「JICAが“開発と平和のためのスポーツ”と深く関わっている事例を知ることができた」とのコメントがありました。

JICAはスポーツ・フォー・トゥモローへの協力、そして2020年の先につながるスポーツを通じた国際協力をこれからも推進していきます。