北岡理事長が大洋州を初訪問:各国と日本との繋がりの深化と、島嶼国が抱える課題への日本ならではの貢献のあり方について各国首脳と意見交換

2016年11月22日

北岡伸一JICA理事長は、11月10日から16日にかけて大洋州のパプアニューギニア、ソロモン、バヌアツの3か国を訪問しました。

パプアニューギニアは、大洋州最大の国土(日本の1.25倍)と人口を抱える大国で、2014年からはLNG生産量の半分を日本へ輸出しています。ソロモン、バヌアツは、環境保全、防災、ライフラインの維持といった大洋州島嶼国に共通する開発課題を抱え、JICAはこれらの課題改善に取り組んでいます。

3か国での滞在中、北岡理事長は、パプアニューギニアのピーター・オニール首相、ソロモンのマナセ・ソガバレ首相、バヌアツのジョー・ナツマン首相代理などの要人と面談を行い、さらには現地で活躍する日本企業関係者やJICA事業の専門家等との懇談を通じ、各国の経済成長や開発アプローチのあり方について、意見交換しました。また、各国でのJICA資金協力プロジェクト現場やJICAボランティアの活動現場を視察し、具体的な協力事業への理解を深めました。

1.パプアニューギニア

北岡理事長とオニール首相

北岡理事長は、11月10日にオニール首相と面談しました。オニール首相からは日本による教育、保健やインフラといった分野での協力が目に見える効果をもたらしていることに対して感謝の意が表明されました。北岡理事長からは、伝統と近代とを両立させた開発のモデルケースでもある日本で、多くのパプアニューギニアの将来のリーダーに、過去の失敗も含めて日本の開発の経験を学んで欲しいと述べ、大洋州を含む途上国の人材育成のための包括的な留学生プログラムを検討中であることを紹介しました。

小学校で理科を教える青年海外協力隊員の活動現場を視察

北岡理事長は、首都ポートモレスビー滞在時に、日本の技術が採用されるポートモレスビー下水道の建設現場を視察し、建設が順調に進捗し、現地雇用の創出にも貢献していることを確認しました。ニューブリテン島のココポでは、過去に無償資金協力で整備した新ラバウル(トクア)空港が地方島嶼部の発展に貢献し、今後、観光分野を中心にさらなる発展の可能性があることも確認しました。また、小学校で理科を教える青年海外協力隊の活動を視察し、教員と生徒の両方から信頼を得ている隊員が「人と人との交流」に基づく草の根レベルの協力を体現している様子を確認しました。

2.ソロモン

面談を行う北岡理事長とソガバレ首相

北岡理事長は、11月15日にソガバレ首相との面談を行いました。首相から、長年の日本の支援への謝意が表明され、また、アジアからの直行便就航計画を検討する等、ソロモンにおける観光分野に力を入れている旨、説明がありました。北岡理事長からは、JICAは一方的な援助ではなく、相手側と協働した「相互協力」に基づいて協力事業を実施していること、その結果として無償資金協力で整備したホニアラ中央市場などが非常に有効に活用されていることへの謝意と、今後の人材育成のための包括的な留学生プログラムを検討中である旨を述べました。

ラナディ廃棄物最終処分場を視察

北岡理事長は、首都ホニアラにおいて、無償資金協力を通じ従前に比べ効率良く貨物取扱ができるようになったホニアラ港や、着工直後のククム幹線道路の現場を視察しました。また、ラナディ廃棄物最終処分場や国家災害局では、技術協力、草の根技術協力、ボランティア、無償資金協力等、複数のODA事業が相互に補完しあいながら、先方政府の廃棄物管理能力や災害管理能力の向上を包括的に支援している現場を視察しました。国家災害局からは職員2名が現在Pacific-LEADS(注)で日本に留学しており、防災分野で日本の貢献が大きいことを確認しました。

(注)Pacific-LEADS
2015年第7回太平洋・島サミットで安倍首相が発表した太平洋の若手リーダーのための研修プログラム。日本での修士号取得及び省庁や自治体でのインターシップを通じ、自国の課題解決のための専門知識を習得することを目的としている。

3.バヌアツ

ナツマン首相代理と面談を行う北岡理事長

北岡理事長は、11月16日、ナツマン首相代理と面談しました。首相代理より、これまでの長年の良好な関係やJICAによる多方面にわたる協力への謝意が表明されました。また、有償資金協力を通じたポートビラ港ラペタシ国際多目的埠頭の整備により、同埠頭が拡張され、バヌアツの観光業の更なる発展へ貢献しうるとして意見交換を行いました。北岡理事長はPacific-LEADSの進捗状況を報告し、さらなる包括的な留学プログラムを検討していることを紹介しました。

ポートビラ港ラペタシ国際多目的埠頭を視察

北岡理事長は、実際にポートビラ港ラペタシ国際多目的埠頭の事業現場を視察し、同埠頭の整備が、バヌアツの国際物流の円滑化に貢献するだけでなく、公共事業における安全意識の向上や、バヌアツ人の雇用及び技術向上にも寄与していることを確認しました。