北岡理事長が米国を訪問:国連総会サイドイベント「UHCを推進する世界のリーダー達」に登壇した他、関係機関のトップと面談

2017年9月25日

UHCの意義につき発言する北岡理事長

北岡伸一JICA理事長は、9月17日から20日にかけて米国を訪問しました。

9月18日、北岡理事長は、第72回国連総会のサイドイベントとしてニューヨークの国連本部で開催された「UHCを推進する世界のリーダー達(World Leaders for Universal Health Coverage)」に出席しました。

UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)とは、全ての人が、必要とする質の高い基礎的な保健医療サービスを、負担可能な費用で利用できる状態のことです。世界保健機関(WHO)と世界銀行(世銀)によると、全世界では未だ4億人が基礎的な保健医療サービスを完全には利用できず、毎年1億人が医療費負担が原因で貧困化しているとされています。こうした中、UHCは、国際社会が協力して実現を目指すことが合意された「持続可能な開発目標(SDGs)」(注1)のターゲットの一つともなっています。

イベントの様子

今回のイベントは、12月に東京で開催予定の「UHCフォーラム2017」でUHC達成のための具体策を議論するのに先立ち、世界の指導者がUHC達成に向けたビジョンを共有することを目的に、日本政府、WHO、世銀、国連児童基金(UNICEF)、国連開発計画(UNDP)、UHC2030(注2)、ロックフェラー財団等により共催されたものです。

アミナ・モハメド国連副事務総長、安倍晋三首相によるオープニング、基調演説に続き、北岡理事長は、セネガルのマッキー・サル大統領、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長らと共に登壇。UHCは人々の命を救い社会の安定やひいては経済成長に貢献するものであり、その推進は国際社会の義務であること、UHCは貧困削減、栄養改善、教育の普及、ジェンダー平等などSDGsの多くのターゲットの達成を後押しすること、UHCは貧困層を含む全ての人々の保健医療サービスへのアクセスを保障し、同分野の市場拡大や技術革新を促すものであることを、表明しました。

シュタイナーUNDP総裁と北岡理事長

アイゼンスタット大統領次席補佐官と北岡理事長

JICAは、今回のイベントや12月のUHCフォーラムを契機に世銀やWHO等の国際機関との連携をさらに深め、UHC推進にかかる国際的な潮流作りに貢献していきます。また、保健分野における日本自身の取組や開発援助の経験を活かして、開発途上国のUHC達成に向けた取り組みを支援していきます。

このほか北岡理事長は、18日、今年6月に就任したUNDPのシュタイナー総裁と初めて面談し、国連の開発関連機関の改革の方向性やSDGs達成に向けた両機関の取組方針、さらには日本の民間企業との連携強化の可能性等について意見交換を行いました。また、米国のエバレット・アイゼンスタット大統領次席補佐官との面談では、米国の開発援助体制の見直しの動向、新興ドナーに対する捉え方、エネルギー等のインフラ分野での連携強化の可能性等について意見を交換しました。

(注1)Sustainable Development Goalsの略。17のゴール、169のターゲットで構成され、2030年までの達成に向けて国際社会が取り組むべき課題として定められている。

(注2)UHCの推進を目指し、参加国・機関・団体等による取り組みの調整・協調を図ることを目的に設立された国際的なプラットホーム。2017年からは、JICAの戸田隆夫上級審議役がUHC2030運営委員会の共同議長を務めている。