日経社会イノベーションフォーラム「SDGsから考える持続可能な社会」を共催:SDGsの達成に向けパートナーシップの強化を呼びかけ

2017年11月22日

JICAは、2017年11月22日、日経社会イノベーションフォーラム「SDGsから考える持続可能な社会」を日本経済新聞社と共催し、北岡伸一理事長が主催者挨拶を行った他、前田徹理事がパネルディスカッションに参加しました。

同フォーラムでは、産官学のキーパーソンが一堂に会し、2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成のための取り組みの紹介や、課題や解決策についての活発な議論が交わされ、企業等からの参加者600名以上が熱心に耳を傾けました。

「信頼で世界をつなぐJICAは、民間セクターをパートナーとし、途上国開発に取り組む」

冒頭、理事長は、国連でSDGsが採択された2015年以降、リベラルな国際秩序が揺らいでいる現状に触れ、その中で日本・JICAに対する世界の期待が高まっている点を強調しました。そのうえで、日本が他国との協調のもとSDGsのような世界共通の目標において貢献することが日本の国益にもつながり、その中でJICAは日本自身の発展にも資する国際協力事業に取り組む旨述べました。また、日本の開発協力の基本理念「人間の安全保障」とSDGsのスローガン「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」との共通性、及びJICAはSDGs採択前より17ゴールの中でもとりわけ農業、保健、教育、インフラ等(ゴール2,3,4,9など)に関連する取り組みを継続してきた点に触れました。他方で日本の取り組みが十分とはいえない気候変動についても力を入れており、それぞれの課題を「得意科目」と「苦手科目」になぞらえ、得意科目をさらに伸ばす一方で苦手科目を克服していく必要がある、として具体的な取り組み事例に触れつつ述べました。

理事長は、SDGs達成には国内外パートナーとの連携が必須であり、JICAはSDGsをプラットフォームとし、途上国開発のカタリスト及びアクターとして取り組む姿勢を表明。そして、JICAが企業と連携した取り組みを進めることは日本経済の浮揚にもつながり、それが「信頼で世界をつなぐ」というビジョンを持つJICAの役割でもある、と結びました。

「途上国のSDGs達成への貢献につながる事業や活動のアイディアや価値を企業と共に創り出していきたい」

前田理事は、「SDGsに挑む企業 新たな時代の開拓者」をテーマに、住友化学代表取締役社長十倉雅和氏、味の素常務執行役員 日本コーポレート本部長吉宮由真氏、ユーグレナ代表取締役社長出雲充氏、LIXILグループ取締役代表執行役社長兼CEO瀬戸欣哉氏、日本経済新聞社上級論説委員刀祢館久雄氏とともにディスカッションを行い、途上国のSDGs達成に向けて企業との連携を強化していくためのJICAの取り組みや課題を事例とともに紹介・議論し、多様なパートナーシップを通じたアイディアや価値の共創を呼びかけました。このほか、本業として採算を確保しながら持続的な活動を行う必要があるとともに、トップや社として社会の課題解決への期待に応えていく覚悟が重要といった議論が登壇者の間でなされました。

多様なアクターによる取り組み

フォーラムではこのほか、外務省地球規模審議官鈴木秀生大使によるSDGs全般と日本の取り組みに関する講演、住友金属鉱山による自社のCSR関連事業に関する講演が行われました。また、国連開発計画(UNDP)とJapan Innovation NetworkによるSDGsビジネスの進め方に関する対談、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、エーザイ、伊藤園によるESG(環境・社会・ガバナンス)投資に関するパネルディスカッション、学識者によるまちづくり等に関するセッションが行われ、様々な角度でSDGsに対する取り組みが議論されました。SDGsの達成に向けて企業の本業による貢献の可能性が大きいという声が多く聞かれた他、一層のパートナーシップやイノベーションが期待されるといった意見がありました。