北岡理事長がチュニジア、エジプト、インドを訪問:政府要人との会談や事業現場の視察を通じ、各国との信頼関係の重要性を再確認

2018年2月27日

北岡伸一JICA理事長は、2月18日から23日にかけて、チュニジア、エジプト、インドを訪問し、各国の政府要人と会談、ODA事業の現場の視察を行った他、エジプト政府との間で「エジプト・日本学校支援プログラム(エジプト・日本教育パートナーシップ)」を対象とする円借款貸付契約に調印しました。

最初の訪問地であるチュニジアは、2011年の「革命」(いわゆる「アラブの春」)とその後の民主化移行プロセスを着実に進めています。2015年には、チュニジアの民主主義の構築に寄与したとして、労働組合、経営者連合、人権組織、弁護士組織からなる「国民対話カルテット」がノーベル平和賞を受賞しました。チュニジア政府は、民主化移行プロセスを更に確実なものにするためにも、包括的で持続的な経済成長が必要で、その基盤となる運輸・交通インフラの整備等を重視しています。

2月18日、北岡理事長は首都チュニスの東部に位置するラデスで、円借款で整備されたラデス-ラグレット橋を訪問し、大チュニス圏を南北に繋ぐ首都環状道路の要として効果を発揮していることを確認しました。

ユーセフ・シェーヘド首相と会談する北岡理事長

翌19日、北岡理事長は首都チュニスにおいて、ユーセフ・シェーヘド首相、モハメド・リダ・シャルフーム財務大臣、ハマイエス・ジヒナウイ外務大臣、ジエド・ラダハリ開発・投資・国際協力大臣と会談しました。北岡理事長は、チュニジアは地域的な要衝にあるため、その安定と成長は、中東・アフリカ地域のみならず国際社会全体にとっても重要であり、JICAは今後もチュニジアの雇用の創出、産業の競争力の強化、地域間格差の是正等の課題に対して支援していく旨述べました。各要人からは、JICAの協力に対する謝意とともに、チュニジアの更なる発展に向けた支援への期待が表明されました。

続いて北岡理事長は、エジプトを訪問しました。エジプトは、2011年と2013年の二度に亘る政変を乗り越え、為替自由化、補助金削減を含む経済改革や観光産業の再興により国内経済の立て直しを図るとともに、持続的な成長に向け人材育成を強化しています。

大エジプト博物館の建設現場を視察する北岡理事長(右から2人目)

20日には、北岡理事長は、首都カイロの西部に位置するギザ市において、円借款「大エジプト博物館建設事業」で建設支援中の博物館や、同博物館の保存修復能力の向上を目指した技術協力のサイトを訪問。更にはハリッド・エル・エナニー考古大臣との会談を通じ、エジプトの観光産業の再興に向けた貢献が期待される同事業の着実な進展を確認しました。



アブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領(右)と会談する北岡理事長

翌21日には、北岡理事長はカイロにおいて、アブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領、シェリーフ・イスマイール首相、サハ・ナスル投資・国際協力大臣、タレック・ガラル・シャウキー教育・技術教育大臣、ヒシャーム・アラファート運輸大臣、アハマッド・イマッド・エルディン・ラディ保健・人口大臣等と会談しました。北岡理事長は、エジプトが進める経済改革や中東・アフリカ地域の安定と成長に向けたリーダーシップに敬意を表した上で、エジプトの包摂的・持続的成長、貧困削減・生活水準の向上、人材育成を幅広く支援していきたい旨述べました。各要人からは、JICAの質の高い協力に対する謝意とともに、継続的な支援への期待が表明されました。

日本式教育を導入した小学校を視察する北岡理事長(中央)

また、北岡理事長は、掃除、日直、学級会等の特別活動に代表される日本式教育を試行的に導入した小学校を視察するとともに、日本式教育の普及を支援する新規円借款「エジプト・日本学校支援プログラム(エジプト・日本教育パートナーシップ)」の円借款貸付契約に調印しました。

最後に、北岡理事長は、インドを訪問しました。インドは日本と「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を結ぶ、重要なパートナー国です。

23日、北岡理事長は、首都デリーにて、シンポジウムでの講演やビジネス界との意見交換の他、アルン・ジャイトリー財務大臣と会談しました。同大臣からは、JICAが支援するデリー・メトロなどが都市の発展を支えてきたことに触れつつ、インフラ整備から社会開発に至る幅広いJICAの支援への謝意と、継続的な支援への期待が表明されました。その他、実施中の円借款事業を着実に進めることの重要性や、衛生環境改善に向けたインド政府の取り組みである「クリーン・インディア」等について幅広く意見交換しました。

JICAは、今回の理事長訪問を契機に、チュニジア、エジプト、インドとの信頼関係をさらに強固なものにしていきます。

関連リンク: