北岡理事長がフィジー・サモアを訪問:政府要人との会談や事業現場の視察を通じ、各国との信頼関係の重要性を再確認

2018年4月18日

カイユム大臣と北岡理事長

北岡伸一JICA理事長は、4月4日から10日にかけて、フィジー、サモアを訪問し、各国政府要人と開発課題や今後の協力の方向性について意見交換を行うとともに、JICAが協力するODA事業の現場を視察しました。

最初の訪問地であるフィジーは、2017年6月の国連海洋会議、11月の国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)の議長国を務めるなど国際社会でのプレゼンスを高めており、大洋州地域の中心的な存在です。

北岡理事長は首都スバにおいて、アイヤズ・サイェド=カイユム司法長官 兼 経済・公営企業・公務員・通信・教育・遺産・芸術大臣、イニア・バティコト・セルイラトゥ農業・村落離島開発・国家災害管理・気象大臣、ヨゲシュ・カラン首相府次官と会談。2014年9月のフィジーの民主化後、初のJICA理事長の訪問となり、カイユム大臣からは、JICAの協力に対し謝意が表明されると共に、自然災害など同国が抱える課題に対する取り組みについて発言がありました。北岡理事長からは、フィジーが過去の協力成果を発展させ、現在では地域の中心国として重要な役割を果たしていることに言及。

さらに、本年5月に第8回太平洋・島サミット(PALM8)(於:福島県いわき市)が開催されることや、7月に日本との直行便が約10年ぶりに就航することを踏まえ、今後、両国のより一層の関係強化に貢献していく旨、発言しました。

USPの遠隔授業映像配信設備を見学する北岡理事長(中央)

続いて北岡理事長は、南太平洋大学(USP:University of the South Pacific)を訪問。USPは、大洋州島嶼国12カ国が出資して共同設立した域内最高水準の国際高等教育機関であり、日本が整備した衛星通信ネットワークを活用し、域内の国に対して遠隔教育を行っています。北岡理事長は遠隔教育通信システムやICTセンターを見学し、USPがICTや水産分野における日本の長年の支援を生かし、大洋州の人材育成において中心的な役割を担っている事を確認しました。

このほか防災、環境、エネルギー、保健分野で協力する事業の現場を訪問し、帰国した研修員の活躍ぶりにも触れつつ、JICAの協力が島嶼国ゆえの脆弱性の克服や、フィジーを拠点とした大洋州地域の広域協力・人材育成に対しいかに貢献しているかを確認しました。

トゥイラエパ首相と北岡理事長

続いて訪問したサモアにおいて、北岡理事長は、トゥイラエパ・ファティアロファ・ルペソリアイ・サイレレ・マリエレガオイ首相、シリ・エパ・トゥイオティ財務大臣、リー・ハン・パパリーテレ・ニッケル公共事業・運輸・インフラ大臣と会談。

トゥイラエパ首相から長年のJICAの協力に対する謝意と、今後の継続的な支援に対する期待が示されたのに対し、北岡理事長からは、本年5月のPALM8共同議長国としてより一層の二国間関係の強化が期待される中、JICAとしても協力を継続していく旨発言しました。

特に、自由で豊かな太平洋で結ばれた重要なパートナーである大洋州島嶼国は、地理的特徴から連結性の向上が課題であり、港湾・船舶等の海洋インフラ整備を含む海洋協力の必要性について確認しました。

北岡理事長は、26の国と地域から成る国際機関、太平洋地域環境計画事務局(SPREP)を訪問。JICAは、SPREPを拠点に大洋州地域における廃棄物管理の改善支援を長年実施しているほか、気候変動対策の人材育成拠点となる太平洋気候変動センターの建設を進めています。

SPREPからは、廃棄物管理・リサイクルへの取り組みと気候変動への取り組みは共通点も多いところ、JICAと更に協力関係を強めていきたいとの発言がありました。

ヴァイシガノ橋架け替え起工式に出席する北岡理事長(左)

また、サモア水道公社が管理する浄水場を訪問。JICAは、大洋州島嶼国と地理的な類似性を持つ沖縄県の経験・知見を活用するための連携協定を結んでおり、同浄水場においても、沖縄で活用されている「生物浄化法」が導入されています。

微生物の力で有機物を分解し、水を浄化させるこの技術の他、漏水探知、水質管理等の技術移転が着実に進められていることを確認しました。

このほか、JICAのインフラ分野での支援の現場として、安全性向上のため拡張工事が進められているアピア港を訪問した他、老朽化が進むヴァイシガノ橋においては、架け替えに向けた起工式に、トゥイラエパ首相らとともに出席しました。

本年5月のPALM8では、日本と大洋州島嶼国のパートナーシップを強化することを目的に、大洋州島嶼国が直面する様々な問題について首脳レベルで議論されます。JICAも、今回の理事長訪問を契機に、大洋州諸国との信頼関係をさらに強固なものにしていきます。

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