北岡理事長がアイスランド・フィンランドを訪問:アイスランド地熱国際会議に登壇した他、関係要人と会談

2018年5月2日

アイスランド地熱国際会議での基調講演

北岡伸一JICA理事長は、4月23日から28日にかけてアイスランドおよびフィンランドを訪問しました。アイスランドの地熱産業界が中心となって2009年に設立した「アイスランド地熱クラスター(以下、地熱クラスター)」主催の「第4回 アイスランド地熱国際会議(Iceland Geothermal Conference:IGC)」に招待され、登壇するとともに、両国で関係要人と会談しました。

4月25日から28日にかけて訪問したアイスランドでは、北岡理事長は第4回IGCの閉会式で基調講演しました。

講演では持続可能な開発目標(SDGs)の一つ、「7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」やパリ協定を実現するためには、国際社会が連携を強化し、あらゆる手段を活用していく必要がある点を指摘しました。また、その実現に地熱開発が大きく貢献できること、JICAとしても地熱開発に一層貢献していく旨を述べました。

地熱クラスターの議長であり、さらに「北極サークル(注)」の議長を務める前アイスランド大統領(1996年~2016年)のオーラブル・ラグナル・グリムソン氏と会談し、持続的な北極開発も含め、気候変動対策における国際協調の重要性や、地熱開発や漁業等、両国の強みを活かした協力の可能性について意見交換しました。

また、スチュラ・シグランスソン外務次官との会談では、アイスランド・日本両国の開発協力の特徴や、日本政府が推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」について意見交換を行うとともに、今後両国が地熱開発などの分野で連携を深める可能性を協議しました。

アイスランド最大規模のヘトリスヘイジ地熱発電所も視察し、日本との地熱利用の違いについて意見交換するとともに、周辺の景観を活かし、地熱発電所を観光資源として活用する工夫などの説明を受けました。

アハティサーリ元大統領との会談

4月23日から25日にかけて訪問したフィンランドでは、北岡理事長は、外務省のアンヌ・マリ・ヴィロライネン外国貿易・国際開発大臣らと会談し、日本政府が推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」や、両国の関心・知見が合致する循環型経済への移行の必要性、それらを踏まえた開発協力における連携可能性について意見交換を行いました。また、元フィンランド大統領(1994年~2000年)で2008年にノーベル平和賞を受賞したマルティ・アハティサーリ氏とも会談し、近年の国際協調の変化について討論するとともに、平和構築・紛争防止分野における、欧州を含む多様なアクターとの連携の可能性について意見交換を行いました。

このほか、フィンランド・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン・デンマークの5か国が加盟している北欧開発基金(Nordic Development Fund:NDF)のパシ・ヘルマン代表の会談では、気候変動対策や地熱開発分野における革新的な支援アプローチの重要性や、今後の連携可能性について意見交換を行いました。

JICAは、開発における国際的な潮流において様々なパートナーと連携し、引き続きグローバルな開発課題の解決に貢献します。

(注)政府関係者、研究者、ビジネス関係者が分野を超えて集まる国際会議。北極における変化に責任を持って対応するための対話の促進、関係構築等が主目的。