田中理事長がタイのキティラット副首相と会談

2012年5月15日

田中明彦JICA理事長は、5月11日、東京都内で、タイのキティラット・ナ・ラノン副首相兼財務大臣と会談した。

二つの大災害と両国の絆

キティラット副首相は、タイの水資源管理戦略委員会委員長として、2011年に発生した洪水対策の陣頭指揮に当たっており、冒頭、JICAが一丸となって同国の洪水対策を支援していることに謝意を表明。これに対し、田中理事長は、「防災は、日本とタイの両国にとって共通の課題であり、また、東日本大震災とタイの洪水を機に、両国のつながりが非常に強いものであることが明確になったと認識している」と述べ、今後も、タイの洪水対策に協力していくことを表明した。さらに、東京、名古屋、大阪でセミナーを開催し、タイでの経済活動に関心の高い日本企業に対し、タイの洪水対策について情報提供を進めていることを付け加えた。

キティラット副首相は、今回の洪水被害の要因として、1999年にJICAの支援を得て作成した洪水対策マスタープランについて、さらなる活用の余地があったことを挙げ、今後は、これを教訓とし、日本の経験を学びながら洪水対策に取り組む意向を示した。これを受けて田中理事長は、JICAは将来の災害に備え、技術協力、有償資金協力、無償資金協力の三つのスキームを効果的に組み合わせて協力を行う用意がある旨を伝えた。

地域全体の発展に向け連携強化を

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二国間協力のみならず、メコン地域、ASEAN全体の発展に向けた連携について意見を交換した田中理事長(左)とキティラット副首相

また、キティラット副首相は「タイの発展には、地域全体の発展が重要」と、タイ自身による周辺国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)に対する支援を、JICAとも連携して展開していきたいと表明。田中理事長は、これに共感を示し、「東南アジア諸国への協力では、地域の発展という視点を盛り込んだ方針を立てている。JICAとしても、タイ政府と連携して地域協力を進めることは歓迎だ」と応じた。

さらに、キティラット副首相は、周辺国の中でも特にミャンマーはインフラの整備に課題があり、地域の連結性の観点から、同国への支援は重要であるとの見解を示した。田中理事長は「ミャンマーの開発については、日本の政府・企業ともに関心が高い。JICAとしても、タイ政府やミャンマー政府、民間セクターと緊密に協議しながら検討していく必要があると認識している」と応じた。