田中理事長がジンバブエのチャンギライ首相と会談

2012年7月20日

7月18日、田中明彦JICA理事長は、東京都内で、ジンバブエのモーガン・チャンギライ首相と会談した。ジンバブエは、2000年以降、政治・経済が混乱に陥っていたが、2009年に与野党の連立政権である「包括的政府」が発足し、2010年に12年ぶりのプラスとなる経済成長を記録するなど、回復の途上にある。

政治・経済情勢の安定化

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笑顔で握手を交わすチャンギライ首相(左)と田中理事長

JICAは、1998年にジンバブエ政府との間で、保健医療、水を含む環境保全など4分野を援助重点分野とすることに合意し、協力を実施してきた。2000年以降は、草の根無償資金協力や技術協力に特化した協力を展開。2008年以降は、極度のインフレーションなどにより、現地での活動に支障を来したため、人道支援と研修を除き、事業の実施を見合わせている状況にあったが、2010年に、政治・経済情勢の安定化を受けて支援再開を決定。専門家やボランティアの派遣を開始した。

会談の冒頭、チャンギライ首相は、ジンバブエが過去10年間にわたり国際社会から孤立したことにより、GDPが50パーセント近く減少するなど、経済面で大きく後退したことに言及。現在は、草稿段階にある改正憲法をはじめとして、さまざまな改革がロードマップに従って進んでいると述べた。また、次期選挙が平和裏に実施されることが重要であり、2013年の3月から6月までの間に選挙が実施される予定だと付け加えた。

政策対話の継続を

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「日本とジンバブエの協力は大変重要」と語るチャンギライ首相

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「協力隊に対するサポートをお願いしたい」と田中理事長

チャンギライ首相は、製造業育成のために必要な要素として、運輸インフラの復旧と、教育、水・衛生、保健などを挙げ、日本とジンバブエの協力は大変重要であり、政策対話を継続していきたいと述べた。田中理事長は「JICAに対する貴政府の理解と協力に感謝している。今後、日本政府と連携しつつ、貴国との関係強化を図りたい」と応じた。チャンギライ首相はこれに対し、経済活動は活発に行われており、ビジネスの機会も豊富にあると語り、「南部アフリカの中でジンバブエは重要な位置にある。ぜひ、ジンバブエを訪問していただきたい」と呼びかけた。

また、田中理事長は、JICAは4年前から日本のODAの一元的な実施機関として、資金協力からボランティア派遣まで幅広い支援を行っている中、ジンバブエには現在10人の青年海外協力隊員が派遣中であり、引き続きジンバブエ政府からのサポートをお願いしたいと語った。

TICAD Vへの参加を検討

会談の最後に田中理事長が、来年6月初めに横浜市で開催予定の「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」に触れると、チャンギライ首相は、選挙の実施時期と重なるが、TICAD Vはハイレベルでの対話ができる場であり、ジンバブエ政府からの参加を検討したいと応じた。