田中理事長がUNRWAのグランディ事務局長と会談

2012年8月14日

田中明彦JICA 理事長は、8月9日、JICA本部(東京都千代田区)で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリッポ・グランディ事務局長と会談した。

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今後の良好な関係維持に向けて会談したグランディ事務局長(左)と田中理事長

冒頭、グランディ事務局長は、パレスチナ難民の支援に取り組むUNRWAに対するJICAのこれまでの協力に謝意を表明。昨年8月、JICAとUNRWAが包括協力協定を結び、その体制の下、レバノン南部のサイダにあるアイン・ヘルワ難民キャンプで上下水道改善事業が進められていることについて、「大変厳しい状況にあるレバノンのパレスチナ難民にとって、非常に意義あるものだ」と述べ、今後も良好な協力関係を維持していきたい旨を表明した。

さらに、「中東情勢の大きな変化もあり、UNRWAの財政状況は危機的だ」とし、日本政府からのさらなる支援を求めて関係者と協議中であることを報告した。

これに対し、田中理事長は「UNRWAが、非常に骨の折れる意義深い貢献をしていることに敬意を表する」と応じた。また、「日本の財政状況も厳しいが、国内でのシンポジウムの開催などを通じてパレスチナ問題に対する理解が深まり、日本政府からのさらなる支援の可能性が高まることを期待したい」と述べた。

グランディ事務局長は、さらに、約50万人のパレスチナ難民が暮らすシリアの情勢がますます悪化するなど、中東の和平プロセスが停滞していることに懸念を示し、「中東和平は、世界の平和と安定を実現するための最も重要な課題の一つだが、政府関係者だけでなく、一般市民への訴えを強化する必要がある。JICAには、ヨルダンなどの難民キャンプに優秀なボランティアを派遣してもらっているが、彼らを通じて日本国内でも中東和平に対する関心が高まることを期待したい」と述べた。