田中理事長が南アフリカを訪問

2013年2月26日

田中明彦JICA理事長は、2月24日夕刻、サブサハラ・アフリカで5ヵ国目の訪問となる南アフリカに到着しました。

理事長は、25日、モツェエカ基礎教育大臣、ンジィマンデ高等教育・訓練大臣、シングワナ女性・子供・障がい者大臣と意見交換を行いました。また、ツワネ工科大学ではプロジェクトの視察、そして、ヨハネスブルグでは日系企業向けにセミナーを行いました。ポイントは次のとおりです。

1)基礎教育大臣との会談では、日本の理数科教育のノウハウが、南アが直面する課題にも適用可能であるとの認識を共有し、現在実施している協力をさらに推進していくことを確認しました。

2)高等教育・訓練大臣との会談では、南ア国内においてこれまでの産業人材育成をテーマに協議を行いました。協議では、日本の経験を踏まえた協力を展開し、企業側からのニーズに応える労働力を供給し、失業率の低下を図るとともに次世代を担う人材の人的交流を促進することで一致しました。

【画像】

ンジィマンデ高等教育・訓練大臣(左)と握手を交わす田中理事長(写真左)、ツワネ工科大学を視察(写真中、右)

3)ツワネ工科大学では、研修参加者が「知識」や「技術」のみによらない、日本の生産現場の発展を支えた「カイゼン・5S」といったコンセプトを、自動車模型を用いた実践型研修にて学んでいる現場を視察しました。高等教育訓練省・工科大学関係者との協議では、現場の取り組み姿勢から変えていこうとする研修が、産業人材育成の起爆剤となりうるとの認識を共有しました。

シングワナ女性・子供・障がい者大臣(左)と握手を交わす田中理事長

4)南アを拠点としてアフリカ各地で活躍する日系企業向けに開催したセミナーでは、TICAD V(第5回アフリカ開発会議)を控え、アフリカ各地域の援助戦略についてプレゼンテーションを行いました。また、引き続いて行われた意見交換の中では、民間企業からアフリカならではのビジネスの苦労話が聞かれたほか、JICAに対する期待が寄せられました。

5)セミナーに引き続いて行われた、女性・子供・障がい者大臣との会談では、TICAD Vにおいて推進するインクルーシブ・デベロップメント(包摂的な開発)においては、障がい者と同様に女性への支援が重要であることを確認し、JICAとして両分野での協力を今後検討することを伝えました。

26日はNEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)のマヤキ長官との間で、TICAD Vに向けた包摂的かつ持続的なアフリカ開発について会談を行います。また、DBSA(南部アフリカ開発銀行)のモレケティ会長、ドラミニ総裁との間では、SADC(南部アフリカ開発共同体)域内の次世代を担う開発金融機関の能力開発や、域内の経済回廊開発などでの協力のあり方について、意見交換を行い、帰国の途につく予定です。