田中理事長がジブチのゲレ大統領ら要人と会談

−地域の安定化・経済発展のため、支援の強化を表明−

2013年4月19日

田中明彦JICA理事長は、4月17日および18日、昨年4月の理事長就任後サブサハラ・アフリカで8ヵ国目の訪問先となるジブチを訪問し、ゲレ大統領ら要人と会談するとともに、ジブチ沿岸警備隊の現場(注1)や日本の無償資金協力で校舎を建設した「フクザワ」中学校を視察しました。

ワイス沿岸警備隊長官(左)より説明を受ける田中理事長

1) 4月17日のジブチ到着後、視察に訪れた沿岸警備隊の現場では、ワイス沿岸警備隊長官より沿岸警備隊の任務や活動について説明がありました。田中理事長は、世界中が注目するソマリア沖の海賊対策にはジブチ沿岸警備隊の協力が不可欠であり、沿岸警備隊への支援を一層強化してきたい旨、伝えました。これに対し、ワイス長官からは、日本の協力への感謝と期待が述べられました。

2) 続いて、ジブチ市の郊外に位置するバルバラ地区へ移動し、1995年に日本の協力で建設した中学校である「フクザワ中学」(注2)を視察しました。同中学校は広く生徒を受け入れ、優秀な人材を輩出しています。田中理事長は引き続き人材育成の分野に対し日本が支援を行うことの重要性を確認しました。

翌18日、田中理事長は、6月に横浜で開催されるTICAD V(注3)に向け、ゲレ大統領、ユスフ外務・国際協力大臣兼政府スポークスマンと会談を行いました。

3)ユスフ外務・国際協力大臣との会談では、アフリカの角地域(ジブチ、ソマリア、エチオピア等)におけるジブチの地政学的な重要性について意見交換が行われました。この中で、今後、ジブチが同地域経済のハブとしての機能を果たしていくため、海上保安の強化、インフラ開発および人材育成に注力することの重要性を双方が確認しました。

ゲレ大統領(左)と握手を交わす田中理事長

4)ゲレ大統領との会談では、同大統領より、今年で30年を迎える日本の協力に対して感謝が表明されました。また、2国間関係を一層強化することについて双方が確認しました。さらにゲレ大統領は、再生エネルギーを含む電力開発および水資源開発における日本の支援について強い期待を示しました。これに対し、田中理事長は、ジブチ政府の政策に沿う形で、インフラ、人材育成、海上保安の分野を中心に引き続き支援をしていきたい旨、言及しました。

田中理事長は本会談後、次の訪問国エチオピアへ移動しました。


(注1)JICAは今後、ジブチ沿岸警備隊に対し、沿岸警備の能力強化を図るプロジェクトを開始予定。
(注2)日本の一般無償資金協力により校舎が建設され、1995年に開校。フクザワ中学校は、日本に対する謝意を表するため、ジブチ政府が名づけた。「フクザワ」はアラビア語でともに開くを意味し、「日本と共に将来を切り開く」という思いが込められている。(外務省ホームページより)
(注3)TICADはTokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略で、アフリカの開発をテーマとする国際会議。1993年以降、日本政府が主導し、国連や国連開発計画(UNDP)、世界銀行等と共同で開催している。2013年6月には、横浜で5回目となるTICAD V(第5回アフリカ開発会議)を開催予定。