田中理事長が南スーダンを訪問(その1)

−目に見える支援の重要性を認識−

2013年4月23日

田中明彦JICA理事長は、4月20日、昨年4月の就任後サブサハラ・アフリカで10ヵ国目の訪問先となる南スーダンに到着しました。南スーダンでの日程の前半は主に独立直後の緊急ニーズに応えるため実施中の事業現場を視察しました。

21日、田中理事長はアッパーナイル州マラカル(注1)を訪問し、緊急ニーズに応えるため実施している給水、道路整備、港湾整備の現場を視察するとともに、ジョン州副知事と会談しました。会談の冒頭、副知事からは、JICAに対する協力への謝意が伝えられました。その後、両者の間で主に以下の点について意見が交わされました。

ジョン副知事(左)と握手を交わす田中理事長

ナイル河畔の浄水場を視察

1)給水事業に関して、雨期における給水ニーズの大きさや浄水施設整備後の運営能力の向上の重要性が副知事から強調されました。これを受け理事長は、既存浄水施設の訪問を通じ、ナイル河畔の町でありながら、きれいで安全な水を確保することの難しさを目の当たりにし、この都市の生命線である給水分野での協力を拡大する必要性と緊急性を確認したと述べました。また、中長期的な計画の作成支援と並行して、喫緊のニーズに対して、これら事業の成果が住民の目に見えるよう、事業のさらなるスピードアップに努力することを約束しました。

2)道路整備に関しては、主に人力施工で(注2)市内道路を整備する現場で、30人の労働者募集の枠に100人の応募があったエピソードを理事長から紹介しました。完成した道路は帰還民の交通や物流の改善につながるのみならず、施工段階で住民の雇用創出にも寄与していることを互いに確認しました。

上記の視察を終え、これから南スーダン政府関係者との会談を予定しています。

 
(注1)スーダンと接するアッパーナイル州の州都。ナイル川沿いに位置し、南北スーダンの首都間の河川交通・貿易の中継地点となっている。南スーダンほか地方への交通インフラが未整備なこともあり、スーダンからの帰還民による人口増大に都市機能が追い付いていないという課題を抱えている。
(注2)Labor-Based Technology(LBT)と呼ばれ、大型建設機械を使わず、人力を主力として活用することで、インフラの改善に加えて、雇用の創出、オーナーシップの醸成を図ることができるため、途上国の地域開発において注目されている手法。