兵庫県、神戸市と二つの包括連携協定を締結 

−関西の地方自治体では初めての連携協定−

2013年10月9日

国際協力機構(JICA)は、10月9日、兵庫県、神戸市とそれぞれ包括的な連携協定を締結しました(注)。これは、開発途上国でJICAが国際協力を行うに当たり、両自治体との一層の連携により両者が有する知見を生かすことで、途上国の発展に貢献する一方、国際化の先進地域である両自治体の一層の発展にもつなげることを目的としています。同日、兵庫県庁、神戸市役所で各々行われた締結式では、井戸敏三兵庫県知事と矢田立郎神戸市長が、田中明彦JICA理事長と、それぞれ協定に署名しました。

署名式を終えた、井戸敏三兵庫県知事(右)と田中理事長

JICA関西は、1973年に前身の兵庫インターナショナルセンターが開設されて以来、兵庫県および神戸市と、防災、環境、保健医療、貿易等の分野で、研修員受入事業を中心に、さまざまな国際協力を展開してきました。とりわけ防災分野については、2007年に兵庫県とJICAが共同で創設した「国際防災研修センター」を活用し、阪神・淡路大震災からの復興と防災の経験を世界に伝える協力を行ってきました。

兵庫県および神戸市は、1868年に世界への扉を開いた神戸港を中心に発展し、わが国の国際化や近代化の先駆けとなった国際性の高い地域です。両自治体ともに、それぞれの施策において、グローバル人材の育成や企業の海外展開支援等、海外に目を向けた取り組みを積極的に進めています。JICAもこうした取り組みを同様に推進しています。両自治体とJICAが持つ有形・無形の資源や知識、経験を双方で共有し、それらを組み合わせて各種事業に取り組むことによって、相乗効果が発揮され、より効果的な国際協力の実現が期待されます。

署名後、握手を交わす矢田立郎神戸市長(左)と田中理事長

今回の協定締結を踏まえ、特に防災分野の連携と、兵庫県下および神戸市内の民間企業との連携を今後強化します。

防災分野については、気候変動の影響も背景として、世界的に自然災害が増加しており、途上国の開発の観点からも益々重要な課題として位置付けられています。JICAとしても、阪神・淡路大震災から20周年の節目となる2015年に向け、兵庫県および神戸市と連携しながら、防災分野における協力や海外への発信をより一層拡充します。

民間企業との連携では、今年1月、神戸市に拠点を持つ神鋼環境ソリューション等の企業グループが、ベトナムで実施する工業団地向け水供給・処理事業に対しJICAの資金協力を開始するなど、今後、PPP(官民連携)インフラ事業や中小企業の海外展開に対する支援を通じ、兵庫県および神戸市の企業が持つ技術・知見を生かした途上国の開発を、両自治体と連携しつつ積極的に進めます。


(注)地方自治体との間で締結する包括的な連携協定は、県との連携協定としては、沖縄県に次ぐ2例目、政令指定都市との連携協定としては、横浜市、北九州市に次ぐ3例目であり、関西ではいずれも初めてです。