田中理事長が米国・ワシントンの戦略国際問題研究所で講演

−アメリカ議会関係者、USAIDのシャー長官らとも会談−

2014年2月17日

田中明彦JICA理事長は、2月10〜14日、米国・ワシントンDCを訪問し、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)で国際開発に関する基調講演を行いました。また、ジム・マクダーモット下院議員ほか参加の中、アメリカ合衆国議会関係者向けに日本の開発援助を紹介する講演を行いました。さらに、米国国際開発庁(USAID)のラジブ・シャー長官、米州開発銀行(IDB)のルイス・アルベルト・モレノ総裁、世界資源研究所(WRI)のアンドリュー・ステアCEOとそれぞれ会談し、各機関との連携強化について情報・意見交換を行いました。

CSISで講演する田中理事長。聴衆は150名を超えた

1)CSISでのイベントは、日本が政府開発援助(ODA)を開始してから今年で60周年を迎えたことを記念して12日に開催されました。「US-Japan Development Summit」(日米開発サミット)と題された本イベントは、開発援助関係者、日米研究者、マスコミ関係者ら150人以上が参加するなど高い関心を集め、日本と米国によるこれまでの開発援助のあゆみ、そして今後の展望について活発な議論が交わされました。

田中理事長は、基調講演の中で、「チリ水産(サケ)養殖」「ブラジル・セラード農業開発」「タイ東部臨海地域開発」といった、これまで日本が実施してきたODA事業を紹介し、長期的な視点にたった人づくりやインフラ開発が、その後の着実な経済発展や貧困削減に貢献してきた点を強調しました。また、自然災害や感染症等から一人ひとりを守るといった「人間の安全保障」の考え方が、今後のODAの実践において重要であるとの考えを示しました。さらに、日本国憲法の前文の中に「Free from fear and want(恐怖、欠乏からの自由)」という「人間の安全保障」の考え方が明記されていることを紹介、「人間の安全保障」の考え方に基づいた日米連携のさらなる発展への大きな期待を表明しました。

シャー長官(左)と田中理事長。両機関の連携強化について幅広く議論

2)米国国際開発庁(USAID)シャー長官との会談では、今月20日に米国で「第一回日米開発対話(高級実務者レベル)」が予定されていることを例に、開発分野における日米連携をより一層推進できる好機が到来しているとの認識を双方が共有しました。また、シャー長官は、先月新たに発表したUSAIDのミッション(USAIDの組織としての目標等をまとめた文書)において、日本が従来から重視をしてきた「レジリエンス(災害などの外的ショックに対応し回復する力)」を明記し、今後重視していくことになった点を強調しました。さらに、日本が第五回アフリカ開発会議(TICAD V)で支援を表明したインフラ整備と、オバマ大統領が表明したアフリカにおける電力事業支援(Power Africa)との連携など、アフリカ開発支援における連携、アフガニスタン支援における連携などについて意見交換を行いました。

3)米州開発銀行(IDB)モレノ総裁との会談では、これまでJICAとIDBが取り組んできた再生可能エネルギー開発分野等での連携の成果を確認するとともに、今後は、新興都市開発の分野などにおいてさらなる連携を進めていくことで合意しました。