田中理事長がカンボジアを訪問

−メコン地域南部経済回廊活性化のカギとなる、カンボジアの発展に向けた継続支援を表明−

2014年2月28日

田中明彦JICA理事長は、2月26日から27日にかけて、カンボジアを訪問しました。滞在中はフン・セン首相をはじめとする要人との面談を行ったほか、同国におけるJICA事業の視察等を行いました。

ネアックルン橋の建設現場を視察

1)2月26日、田中理事長はベトナムとカンボジアの国境から国道1号線を一路、プノンペンに向かいました。国道1号線沿いには、タイのバンコクとベトナムのホーチミン市とを結ぶ「メコン地域南部経済回廊」唯一のミッシング・リンク(道路未整備部分)であるメコン河があり、現在は両岸を大型フェリーが往来して人や物を運んでいます。田中理事長はフェリーに乗船して現在の交通状況を確認した上で、「ネアックルン橋梁建設計画」の建設現場(注1)を視察。メコン河の渡河時間の短縮(注2)が、この地域の発展にとって非常に重要な要素であることを確認しました。

2)翌27日に行われたフン・セン首相およびオーン・ポーンモニロット経済財政大臣との会談では、「戦略的パートナーシップ」が日・カ両首脳会談で合意されたことに象徴される、両国関係の進化・深化をさらに進めることを両者で確認するとともに、田中理事長からは、カンボジア国のガバナンス改善に向けた首相のイニシアティブに対する期待を述べました。

ラタナ長官(左)より不発弾の説明を聞く田中理事長

3)また、同日にはカンボジア地雷対策センター(CMAC)を視察し、ヘン・ラタナ長官との会談を行いました。1999年以降、JICAによる支援を受けながら、CMACは国内の地雷・不発弾除去で大きな成果を挙げてきたほか、近年は、他国に対する南南協力も展開しています(注3)。JICAはその功績を称え、CMACに対して2013年度「国際協力感謝賞」を授与しており、今回あらためてCMACのたゆまぬ努力に対し謝意を直接伝えました。

4)27日、カンボジアでの行程で最後に訪問したカンボジア日本人材開発センターでは、企業情報コーナーやイベントホールなどの館内施設を視察しました。同センターの運営を担うカンボジア側関係者や、JICA専門家との意見交換を通じ、今後もカンボジアにおける産業人材育成を支援していくことの重要性を確認しました。



(注1)2015年3月の完工に向けて、現在は約70パーセントまで建設が進んでいる。
(注2)現在、メコン河の渡河にはフェリーの待ち時間を含めて30分から1時間程度かかるほか、夜間にはフェリーの運航がないため渡河不能となる。ネアックルン橋の完成後は渡河時間が5分に短縮化される見込み。
(注3)カンボジアにおいて地雷・不発弾除去が完了した土地の約50パーセント、除去された地雷・不発弾の約70パーセントがCMACの活動によるものである。また、CMACにこれまで蓄積されてきた知見を生かして、コロンビアやラオスに対する研修などを実施しているほか、アンゴラやミャンマーからの視察を受け入れるなど、広く南南協力を展開している。