宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携協力協定を署名

−宇宙航空技術を用いた開発途上地域の課題解決の取り組みを強化−

2014年4月23日

署名を終えた奥村理事長(左)と田中理事長(写真提供:JAXA)

国際協力機構(JICA)は、4月23日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携協力協定を締結しました。本協定は、両機関の連携協力を一層推進し、相互の組織特性と人材を生かして総合力を発揮することにより、宇宙航空技術を活用して開発途上地域が直面する多様な開発課題および地球規模課題の解決に貢献することを目指すものです。

これまで、JICAとJAXAは、アマゾンでの森林保全・違法伐採防止のための衛星データ利用、東南アジア、アフリカ地域における衛星データを利用した地図作成や、青年海外協力隊との連携等を通じた協力関係を築いてきました。

今後は、本協定に基づき、JAXAが持つ宇宙航空技術や研究成果を開発途上国における社会経済の開発へ活用するのみならず、これまでの連携分野を国際緊急援助隊の活動や農業分野にも拡大します。また、こうした事業での経験をJAXAの新たな宇宙航空技術の開発に生かす等、相互に得意とする分野を相乗的に活用、発展させることで、さらなる社会貢献、課題解決に寄与していきます。

4月23日にJAXA東京事務所で行われた署名式には、田中明彦JICA理事長と奥村直樹JAXA理事長が出席しました。署名式においては、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の後継機である、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)が5月24日に打ち上げられる予定であることを踏まえ、奥村理事長は、「今後はより高精度な地形情報を提供できるようになるため、洪水対策をはじめとしてさまざまな分野に一層の活用が可能になる」とALOS-2がもたらす効果に言及しました。田中理事長は、「ASEAN地域における災害管理への衛星情報活用、アマゾンにおける森林保全・違法伐採監視は、開発課題のニーズと宇宙技術による解決策が合致した好事例。JAXAの世界最先端の技術を活用することが日本の強みとなり、より効果の大きい協力を進めることができるようになる」と本協定への期待を述べました。

連携協力協定の主な内容は以下のとおりです。

1.開発途上国における開発課題および地球規模課題の解決のために実施するJICAの事業へのJAXAの宇宙航空技術や関連機材の活用

2.開発途上国を対象とした、開発途上地域における宇宙航空技術の利用の普及啓発に関するセミナー、シンポジウムおよびイベント等の開催、人材育成もしくは能力開発にかかる事業に関する協力ならびに国際会議における講演の実施に関する協力

3.開発途上国に向けた、宇宙システムおよび衛星データ利用関連地上システム等の海外展開の推進に関する協力

4.連携可能性の検討のための意見交換

今回の協定締結を踏まえ、JICAは、JAXAとの連携協力を一層強化し、宇宙航空技術の活用を通じた、より質の高い事業を展開していくことを目指します。