田中理事長がチュニジアを訪問−「アラブの春」後のインクルーシブ(包摂的)な社会経済開発を継続−

−「アラブの春」後のインクルーシブ(包摂的)な社会経済開発を継続−

2014年7月22日

田中明彦理事長は、7月16日から18日にかけて、就任後初めてチュニジアを訪問し、モンジ・ハムディ外務大臣、ヌレッディーン・ゼクリ開発・国際協力国務長官と会談しました。また、訪問の機会を利用して、7月17日に「メジェルダ川洪水対策事業」(借款限度額;103億9,800万円)および「ラデス・コンバインド・サイクル発電施設建設事業」(借款限度額;380億7,500万円)の円借款貸付契約に調印し、同式典において「アラブの春」以降、比較的安定した政治状況にある同国において、JICAが今後も社会経済面における支援を継続することを表明しました。

ハムディ外務大臣(右)との会談の様子

17日、上記調印式に先立つモンジ・ハムディ外務大臣との会談において、田中理事長はまず本年10月および11月に予定されている議会選挙および大統領選挙の準備を通じて同国における民主化プロセスが着実に進展していることを高く評価しました。その上で、JICAが同国内の地域間格差の是正に今後も貢献するべく、雇用創出、産業多角化といった課題への対応を強化し、同国の インクルーシブ(包摂的)な開発に向けた支援を継続することを表明しました。次に、事業の実施に際しては、民間企業の投資環境整備のための協力として、生産性向上に向けた、いわゆる「カイゼン」手法の導入といった日本に蓄積された知見や技術の活用の可能性につき言及しました。これに対し、外務大臣からは、今次署名の円借款事業や、人を介した協力としてのボランティア事業も含め、JICAが革命前から変わらず同国を継続的に支援していることへの謝意および一層の支援への期待が表明されました。また、今後は民間投資を含めたパートナーシップに基づく協力の重要性についても言及がありました。

テクノパークで説明を受ける田中理事長

18日、円借款事業の調整責任者であるゼクリ開発・国際協力国務長官との会談においては、田中理事長は、同長官の円借款事業の実施促進に関する調整努力に謝意を述べるとともに、JICAが今後も円借款事業の形成を継続する旨説明しました。これに対し、国務長官からは、これまで実施した円借款事業への感謝とともに、前日(17日)の署名案件を例に取り、今後も大型のインフラ整備事業と人材育成に代表される技術支援を効果的に実施することの重要性が提起され、この点について双方の認識が一致しました。

このほか、田中理事長は、同国で競争力があるとされる衣服、繊維分野における品質および生産性向上のための新たな協力が要請されている繊維工業技術センターを訪問・視察しました。また、産業人材育成のための高等教育および研究開発機能の拠点としてJICAが建設、整備および人材育成事業を実施したボルジュ・セドリア・テクノパーク(関連リンク参照)も訪問しました。同テクノパークにおいて、田中理事長は、これまでの協力を踏まえた効果的な開発モデルとしての期待を述べるとともに、JICAとしても一層緊密な関係を構築することを説明しました。

チュニジアでの滞在を終え、18日、次の訪問国であるヨルダンへ向けて出発しました。