田中理事長がコスタリカを訪問

2014年8月21日

ソリス大統領(右)との会談の様子

田中明彦理事長は、8月17日から19日にかけて、理事長就任後初めてコスタリカを訪問し、ルイス・ギジェルモ・ソリス大統領や同国要人等と会談しました。また、コスタリカ電力公社(ICE)との間で「グアナカステ地熱開発セクターローン(ラス・パイラスII)」(借款限度額:168億1,000万円)の貸付契約(Loan Agreement)に調印し、経済成長と環境保全の両立を目指すコスタリカの電力需要への対応および気候変動対策を支援していく旨表明しました。

18日には、上記調印式に先立ち、ソリス大統領を表敬しました。同会談には、副大統領兼財務大臣、外務大臣、環境大臣、経済企画大臣、電力公社総裁も同席しました。会談で田中理事長は、高中進国であると同時に環境保全分野の成功モデルケースであるコスタリカに対して、持続的開発への協力を継続するとともに、コスタリカをパートナーとして他の開発途上国の支援に取り組む意向を表明しました。大統領からは、今回の資金協力対象であるエネルギーセクターの重要性、長年のJICA支援に対する謝意が述べられるとともに、気候変動対策などの両国共通課題に関する三角協力への期待が示されました。また、同席した閣僚からはエネルギー分野や生物多様性保全分野に関する継続的な支援についての期待が伝えられました。

同日、今回貸付契約を署名した円借款の借入人である電力公社のオブレゴン総裁との会談において田中理事長は、世界で模範となる再生可能エネルギー開発を実践している同公社との長年の円滑な事業実施努力をたたえるとともに、現在までの成功を広く発信するべく共に取り組んでいきたい旨発言しました。同総裁からは両機関間の長年にわたる協働の歴史や、再生可能エネルギーのさらなる安定的な供給のため協働の必要性について言及がありました。また、両者の間で、今回の地熱セクターローンの確実な実施および人材育成の重要性について、認識を共有しました。

循環型農業実践状況について視察する田中理事長

コスタリカ滞在中、田中理事長は、同国が有する豊富な生物多様性保全を地域内の住民と共同で行っている「参加型生物多様性保全促進プロジェクト」の現場を訪問し、農家レベルにおける循環型農業の実践、環境保全と住民生活の共生の状況を視察しました。

また、田中理事長は、コスタリカ出身のソニア・ピカード国連・人間の安全保障諮問委員会議長とも面談を行い、人間の安全保障の推進に関する意見交換を行いました。このほか、日本での研修に参加した帰国研修員、現在派遣中のJICA専門家やボランティアと面談し、JICAによるコスタリカへの効果的な技術協力の実践状況について確認しました。

田中理事長はコスタリカでの滞在を終え、19日、次の訪問国であるエルサルバドルへ向けて出発しました。