田中理事長が米国ワシントンDCでのIMF・世銀年次総会に参加

2014年10月17日

田中明彦JICA理事長は、2014年10月10日と11日の二日間、IMF・世界銀行年次総会の開催に合わせて米国ワシントンDCを訪問し、総会出席者と面談するとともに、公式イベントに登壇しました。
総会開会式で、世界銀行グループのキム総裁は、次の重要事項について強調しました。(1)総裁が推進してきた組織・業務改革の成果、(2)西アフリカにおいて被害が拡大し続けているエボラ出血熱への対応、(3)民間の資金・知見の動員のためのプラットフォームであるグローバルインフラストラクチャーファシリティ(GIF)の設立を通じた、膨大なインフラニーズへの対応、(4)気候変動対策を促進するためのカーボン・プライシングの重要性。また、IMFのラガルド専務理事は、ブレトンウッズ体制発足70周年を振り返りつつ、経済成長・雇用創出の加速と停滞、安定と脆弱性、世界の連帯と隔絶の三つの選択が今後の世界の方向性を決めると指摘しました。また、BRICSが設立を決めた外貨準備基金がIMFと協調すべきことを訴え、金融安定化を担う唯一の国際機関であるIMFが果たすべき役割の重要性を強調しました。

田中理事長は10日、世界銀行のスリ・ムリヤニ・インドラワティ専務理事・最高執行責任者と、11日にはフランス開発庁(AFD)のアン・ポガム総裁、フィリピン国家経済開発庁のアルセニョ・バリサカン長官、アマンド・テタンコ同中央銀行総裁と会談しました。インドラワティ世界銀行専務理事との間では、本年7月に初めて行ったJICA-世界銀行ハイレベル対話の継続について確認するとともに、ポスト2015年開発アジェンダやエボラ出血熱対策支援に関して意見交換が行われました。バリサカン長官、テタンコ総裁との会談ではバンサモロ(ミンダナオ)支援、台風ヨランダ復興支援、首都圏を中心としたインフラ整備に向けた協力の一層の強化について協議しました。ポガム総裁との会談ではポスト2015年開発アジェンダ、COP20、21等に向けた意見交換や協調融資等の現場レベルでの協力強化について協議しました。

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また、10日の夕方には、「レジリエンス・ダイアログ:ポスト2015年開発アジェンダにおけるレジリエンス向上のためのファイナンス」と題したパネルディスカッションに登壇しました。イベントには、吉田財務省国際局審議官、グレナダのミッチェル首相、レイチェル・カイト世界銀行副総裁兼気候変動担当特使、クリスタリナ・ゲオルギエヴァ欧州委員会委員(国際協力・人道援助・危機対応担当)、米国のナンシー・リンドボルグ国際開発庁(USAID)長官補が参加し、レジリエンス向上におけるドナーや民間の役割、脆弱層・脆弱国への支援、資金や制度アレンジの取り組み例、といったテーマについて意見が交わされました。

パネルディスカッションに登壇した田中理事長(右)

この中で、田中理事長は、災害リスクを認識することと、公共セクターの役割の重要性を指摘しました。また、日本国内で物理学者でありながら随筆家として有名な寺田寅彦の「天災は忘れたころにやってくる」を引用しつつ、東日本大震災での効果の例として、避難場所となった学校、津波を防いだ高速道路を紹介しました。

なお、田中理事長は世銀・IMF年次総会に先立ち、10月8日から9日にかけてサンフランシスコを訪問しました。同地ではスタンフォード大学、およびカリフォルニア大学(UC)バークレー校を訪問し、60周年を迎えた日本の国際協力等についての講演を行い、各々の大学関係者と交流しました。

また、サンフランシスコ湾を取り囲むシリコンバレーでは、技術系起業家による起業支援を実施している施設などを視察しました。さらに、2013年4月にJICAが業務協力協定を締結したアジア財団のアーノルド会長等と面談し、ミャンマー、アフガニスタン等における事業の現状等について意見交換を行いました。