韓国の釜山で開催された米州開発銀行年次総会のハイレベルフォーラムに田中理事長が参加

2015年4月1日

2015年3月26日から29日にかけて米州開発銀行(IDB)(注1)年次総会が韓国の釜山で開催されました。同総会のサイドイベントとしてIDB及びアジア開発銀行(ADB)の共催によるハイレベルフォーラム「中南米及びアジアの開発協力におけるあらたな地平」が開催され、田中明彦JICA理事長がパネリストとして参加しました。

このハイレベルフォーラムは、中南米とアジアをつなぐ開発協力の新たな可能性について議論を深める目的で開催されたものです。フォーラムでは、両地域に共通する開発課題を確認するとともに、その解決に向けた協力アプローチの一つとして両地域をつなぐ三角協力及び南南協力の可能性について意見交換がなされました。田中理事長以外のパネリストとして、アルベルト・モレノIDB総裁、中尾武彦ADB総裁、イ・ギャン中国人民銀行副総裁兼中国国家外貨管理局長、イ・ダクフン韓国輸出入銀行総裁、ホン・キタック韓国産業銀行CEOが参加し、年次総会参加者から高い注目を集めるイベントとなりました。

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パネルディスカッションの様子

ハイレベルフォーラムで発言する田中理事長

田中JICA理事長はこの中で、両地域の主な共通課題として「インフラ整備」、「経済競争力強化」、及び「防災」の3点を強調しました。インフラ整備に関しては、例として両地域間の港湾整備状況の大きな隔たりを挙げ、中南米とアジアの貿易関係を深化・発展させるために中南米地域における港湾整備促進の重要性に言及しました。また、経済競争力強化について人材育成の重要性に触れたほか、防災については、JICAがチリ共和国と協力して実施する南米・カリブ地域を対象とする防災人材育成拠点化支援(注2)について紹介し、中南米・カリブ地域とアジアの両地域間の知見共有の必要性も訴えました。

JICAは、これら両地域間での知見共有を支援する「三角協力」として、中小零細企業支援、生物多様性支援、防災支援等に取り組んでいます。地域間協力が一層期待される地球規模課題等の分野において、三角協力を含め積極的に取り組んでいく予定です。また、開発効果増大、持続性向上に向けて、他の開発パートナーとの連携協力を一層促進していきます。


(注1)米州開発銀行は、中南米・カリブ海諸国の経済開発を促進するため1959年に米州機構会議において設立が決定され、1960年に創設。米国ワシントンD.C.に本部を置き、2015年現在、48カ国が加盟しています。日本は1976年に加盟しており、アジアからの最初の加盟国となりました。米州開発銀行の年次総会は、同行運営方針を協議・確認するため、毎年一回開催されており、経済社会開発課題や開発協力の方向性等についても議論が交わされています。

(注2)JICAは2014年8月に、中南米地域の防災分野人材育成にかかるチリ国際協力庁との覚書を締結しました。