田中理事長がカンボジアを訪問

—南部経済回廊「完成」の瞬間を祝福—

2015年4月10日

橋のテープカットの様子(右からフン・セン首相、西村国土交通副大臣、田中JICA理事長、隈丸駐カンボジア特命全権大使)

田中明彦JICA理事長は、4月5日から7日にかけて、カンボジアを訪問しました。滞在中は、日本の無償資金協力「ネアックルン橋梁建設計画」により完成した「つばさばし」の開通式に出席したほか、フン・セン首相をはじめとする要人との面談を行いました。

4月6日早朝、田中理事長はカンボジアの首都プノンペンから南東約60キロメートルにあるネアックルンに日本の無償資金協力で完成した「つばさばし」の開通式に出席しました。カンボジアの主要幹線である国道1号線はネアックルンで国際河川メコン河と交差します。同地点は、橋がないため、これまでフェリーでの交通を余儀なくされており、タイのバンコクとベトナムのホーチミンとを結ぶ「メコン地域南部経済回廊」最後のミッシング・リンク(道路未整備部分)とされてきました。同橋の開通はこのミッシングリンクを解消するものであり、これによりホーチミンからバンコクまでの区間全線が陸路でつながり、南部経済回廊が完成を見たことになります(注)。

式典にはフン・セン首相以下、多数のカンボジア政府閣僚、政府高官が出席しました。日本側からは西村明宏国土交通副大臣が出席し、安倍総理からの祝辞を読み上げた他、隈丸優次駐カンボジア特命全権大使が出席しました。また、早朝からの式典であったにもかかわらず、約1万人の地元の方々も式典に参加し、橋の開通を祝いました。
田中理事長は、式典でのスピーチで、和平後から20年以上にわたりカンボジアとJICAの長年の協力関係が続いていることに加え、本事業がカンボジア政府の力強いイニシアティブや関係者の不断の努力により完成したことに触れました。また、カンボジアの紙幣にも描かれた「つばさばし」が、同国民にとってより身近な橋となり、カンボジアと日本の友好関係をさらに強化するだけでなく、将来にわたってカンボジア及びこの地域の包摂的な成長に貢献することに言及。こうした点から、橋は平和と成長のシンボルとして、非常に重要な役割を果たすと確信している、と結びました。


田中理事長は、同日午後にフン・セン首相およびオーン・ポーンモニロット経済財政大臣と会談しました。この中で、先の日本・カンボジア両国首脳会談で「戦略的パートナーシップ」が合意されたことに象徴されるように、深化した両国関係をさらに緊密にする重要性を両者で確認するとともに、カンボジア政府から最近公表された産業政策への取り組みに関して意見を交換しました。


(注)従来は、メコン河の渡河にはフェリーの待ち時間を含めて30分から1時間程度、繁忙期には7,8時間かかっており、また夜間にはフェリーの運航がないため渡河不能となっていました。「つばさばし」の完成後は渡河時間が5分に短縮される見込みです。