田中理事長が米国を訪問

2015年5月7日

アジア・ソサエティーで講演する田中理事長

田中明彦JICA理事長は4月27日から5月1日にかけて、米国を訪問しました。滞在中は、国連人間の安全保障諮問委員会(ABHS)及び国連開発計画(UNDP)による2015年人間開発報告書アドバイザリーパネル会合へ出席し、またアジア・ソサエティー(注)では講演を行いました。
      
4月28、29日に国連本部で開催されたABHSでは、国連人間の安全保障ユニット(HSU)の活動報告と今後の活動方針に関する討議がなされました。田中理事長は、本年3月に仙台で開催された「第3回国連防災会議パブリック・フォーラム『災害と人間の安全保障』」の成果を報告すると共に、具体的な活動方針についての議論に加わりました。

アジア・ソサエティーでは、4月29日に「Japan and the World: A New Global Strategy」というテーマで講演を行いました。ニューヨークで行った講演の冒頭、理事長は戦後70年の節目である2015年が世界及び日本にとっての意義深い年であることに触れ、戦後の日本の発展における米国の貢献及び日本のアジア及び国際社会への貢献の歴史について言及しました。次に、戦後の70年間を踏まえた日本のグローバル戦略の方向性として、(1)国際社会への非軍事的貢献、(2)日米同盟、(3)自由経済体制強化への貢献と(4)アジア-太平洋からインド洋-太平洋へ拡大する経済ダイナミズムへの貢献の重要性を指摘しました。最後に田中理事長は、JICAは、日本のODA実施機関として、開発協力大綱の理念である「人間の安全保障」に基づき、「質の高い成長」の実現に向けた協力を推進していく、と結びました。当日は各国政府代表や国連機関、メディア等の関係者約90名が出席し、講演後のパネルディスカッションと質疑応答ではJICAの災害に対する緊急支援や復旧・復興活動、AIIBの設立等、幅広い分野についての活発な議論が行われました。
      
また、4月30日にUNDPで開催された2015年人間開発報告書アドバイザリーパネル会合では、同報告書のテーマである「Rethinking Work for Human Development」に関して、概念の整理や報告書の方向性について他のパネルメンバーと意見を交換しました。

(注)アジア・ソサエティーは、アジアとアメリカ合衆国の人々の間の相互理解を目的として1956年ジョン・ロックフェラー3世によって創設された非営利団体です。