田中理事長がイラクを訪問

—イラクの戦後復興・社会安定へ向けた支援継続を確認—

2015年5月14日

田中明彦JICA理事長は、5月11日から13日にかけて、イラクを訪問しました。滞在中は、マァスーム大統領、アバーディー首相、バルザーニー クルディスタン地域政府首相をはじめとする要人との面談を行いました。田中理事長のイラク訪問は2012年10月以来2回目です。

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アバーディー首相との会談の模様(中央から左にアバーディー首相、田中JICA理事長、梨田駐イラク特命全権大使、ほか日本側関係者)

イラクは、世界有数の原油埋蔵量を誇りつつも、昨年来の治安情勢の悪化に加え、原油価格下落の影響を受け、数々の難しい課題に直面しています。日本は、これまで2003年の国際イラク復興支援国会合の当初表明額(50億ドル)を上回る累計約75億ドルの支援を約束しており、先日も新規円借款2件の供与が日本政府により発表されたところです。

JICAはこれらの大部分を占める円借款や、累計6,600人以上にわたる研修員受け入れをはじめとする技術協力の実施のため、2011年以降バグダッドに事務所を構え、日々イラク政府関係機関との各種調整にあたっています。

田中理事長は、ハイダル・アル・アバーディー首相との会談において、JICAは今後ともインフラ整備や人材育成を中心に、困難な状況におかれているイラクへの協力を継続すること、これらの支援を通じて行政・社会サービスが改善され、イラクの安定と力強い復興につながることを期待すると述べました。また、支援中の各事業を速やかに完成させ、イラクの人々に目に見える成果と公共サービスの改善を早期にもたらすことの重要性を強調するとともに、イラク政府がJICAおよび国連開発計画(UNDP)と連携して行っている事業モニタリングの努力を高く評価しました。

アバーディー首相からは、日本の協力に対する感謝とともに、JICAのイラク国内における活動を支援していくことに加え、困難な状況にあるイラクに対する日本からのより一層の支援への期待が述べられました。

田中理事長はバグダッドにおいて大学関係者とも会談し、JICA帰国研修員同窓会とも連携したイラクと日本の学術関係者の交流促進に関する意見交換を行いました。

バグダッドでの一連の会談の後、田中理事長はクルディスタン地域のエルビルを訪問し、ネチルヴァン・バルーザーニー・クルディスタン地域政府首相他の要人とも面談し、実施中の技術協力プロジェクトおよび円借款事業の効果発現・実施促進に向けた意見交換を行いました。また、エルビルでは国内避難民キャンプを視察しました。また、現地で活躍する企業、国連、NGOなどの関係邦人とも意見交換を行いました。