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- トルコ共和国政府向け円借款契約の調印 −多くのシリア難民を受け入れている地方自治体のインフラ改善に貢献−
−多くのシリア難民を受け入れている地方自治体のインフラ改善に貢献−
国際協力機構(JICA)は、5月15日、トルコの首都アンカラにてイルラー銀行(注)との間で「地方自治体インフラ改善事業」を対象として、450億円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。
トルコでは近年の堅調な経済成長と急速な都市化により、地方自治体における公共インフラ需要が急増しており、トルコ政府は「第10次国家開発計画(2014 - 2018)」において、これら公共インフラ整備によるサービスの向上を謳っています。
また、2011年から続くシリア内戦以降、多くのシリア難民を受け入れており、その数は2015年4月現在で約175万人(トルコ政府発表)に及んでいます。このうち難民キャンプに滞在する難民は約1割強にすぎず、大多数のシリア難民を受け入れている地方自治体では、大規模な難民流入の影響により、上下水道、廃棄物等、地方自治体が提供するサービスレベルが低下しており、地方自治体におけるインフラ整備計画の前倒し実施を余儀なくされております。
署名式の様子。左から、遠藤真由美JICAトルコ事務所長、田中明彦JICA理事長、フアット・ゲディックイルラー銀行理事長
本事業は、大規模なシリア難民の受け入れにより、上下水道、廃棄物管理の整備ニーズが高まっているトルコ南東地域の地方自治体において、イルラー銀行を通じてインフラ整備に必要な長期資金を供与することにより、これらインフラを改善することを目的としています。貸付資金は、上水道(浄水場、送配水管)、下水道(下水処理場、下水管、雨水収集設備)、廃棄物処理施設(埋立処分場等)に関する設備投資、維持管理機材の調達及びコンサルティング・サービス(F/S作成支援)費用等に充当されます。インフラ施設の改善を通じて、シリア難民を含む地方自治体住民の生活環境改善が期待されています。
なお2015年1月、安倍総理大臣は、エジプトにおける中東政策スピーチにおいて、安定した中東を取り戻すため、中東全体を視野に入れ、人道支援、インフラ整備など非軍事の分野で、25億ドル相当の支援の実施を行うと表明しており、本事業はその一部と位置付けられます。また、2015年3月クウェートにおいて開催された第3回シリア人道支援会合において、中山外務副大臣より本事業に対する支援が表明されました。
(参考)
1.借款金額及び条件
案件名 | 借款金額 (百万円) |
金利(%/年) | 償還期間 (年) |
据置期間 (年) |
調達条件 | |
---|---|---|---|---|---|---|
本体 | コンサルティング・サービス | |||||
地方自治体インフラ改善事業 | 45,000 | 円LIBOR +20bp |
0.01 | 25 | 7 | 一般アンタイド |
2.事業実施機関
イルラー銀行(Iller Bank)
住所:Ziraat Mah. 657. Sok. No:14, 06110, Altındağ, Ankara, TURKEY
TEL +90-312-303 3107 FAX +90-312-303 3199
3.今後の実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成時期:
2022年4月(全ての貸付実行完了をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービスにかかる招請状送付予定時期:
本事業では、コンサルタントは、サブローンの転貸先である各地方自治体により個別に調達が行われる予定です。
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
本事業では、イルラー銀行が資金供与する各サブローン対象事業において、個別に国内競争入札などによる調達が行われる予定です。
(注)トルコの政府系金融機関。地方自治体が提供する上下水道等各種公共インフラ整備事業に対する融資及びコンサルティング・サービスの提供を主要業務としている。
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