田中理事長が日本の積極的平和主義における開発援助の役割とJICAの貢献についてワシントンで講演

2015年7月31日

ブルッキングス研究所で講演する田中理事長

田中明彦JICA理事長は、7月27日、ブルッキングス研究所(ワシントンDC)で、日本の『積極的平和主義』と開発援助の関係性について講演し、リチャード・ブッシュ三世同研究所東アジア政策研究センター長の司会の下、コメンテーターのデイビッド・ダラー同研究所上席研究員や会場の参加者と幅広く意見交換を行いました。

冒頭、田中理事長は安倍総理大臣が掲げる『積極的平和主義』に触れ、開発援助はこれまでもそして今後も積極的平和主義の重要な要素であることを強調しました。

開発援助と積極的平和主義との関連について、田中理事長は、過去に行った支援の例を示しながら、日本の政府開発援助機関としてのJICAの役割と取組みについて説明しました。具体的な事例として、アフガニスタン・イラク復興支援、シリア難民受入国支援、南スーダンでの平和構築支援、ネパール災害復興支援、ミンダナオ和平プロセス等に言及しつつ、これらの経験から言える4つの重要なポイントは、1)人々の将来への期待感を高めること、2)関係者すべてに利益をもたらすこと、3)人的資本や組織能力の向上を図ること、4)長期的計画を示すことであり、今後もこれらの教訓を踏まえた支援を行っていくことが平和と安定への貢献に繋がると強調しました。

最後に、田中理事長は、多岐にわたる質疑応答の中で、JICAはケニアのユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関する取り組みを紹介しつつ、保健医療分野などの社会セクター向けにも円借款を活用して社会の脆弱性の克服やひいては平和構築に貢献していること、脆弱国支援における成功例、中国の援助機関との連携等について説明しました。