JICA海外協力隊発足60周年記念式典 スピーチ(2025年11月13日)
2025.11.14
本日、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、また、ご来賓の皆様にご列席賜り、JICA海外協力隊発足60周年記念式典を執り行えますことを、心より御礼申し上げます。開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
わが国は、戦後十年足らずの昭和29年、国際社会への復帰の一環として国際協力を開始いたしました。その後、昭和40年に、多くの方のご支援により「日本青年海外協力事務局」が設置されるに至り、現在までに累計58,000人を超える隊員が99か国で活動してまいりました。
私自身、JICAの理事長としてさまざまな国を訪れました。多くの国の指導者から協力隊事業を高く評価する言葉をいただき、「もっとたくさんの隊員に来てほしい」と要請を受けてまいりました。このような日本への高い信頼は、本日ご列席の皆様の惜しみないご支援、そしてJICA海外協力隊として派遣され、それぞれの国で仲間と汗を流してきた皆様のご尽力の賜物であります。
60周年のテーマは「世界と日本を変える力」であります。現地の人々と共に暮らし、日本と異なる文化や習慣に溶け込みながら、途上国が抱える社会課題解決に貢献するこの事業は、「人と人とのつながり」を象徴する、日本らしい国際協力だといえます。最近では、隊員経験を生かし、日本国内の社会課題解決に取り組んでいる事例も増えています。
気候変動や紛争など複合的な危機に直面している今日の世界において、JICA海外協力隊の重要性は一層高まっています。私たちは、この事業の伝統的な価値を守りつつ、日本や世界が直面する課題に対応し、世界の友好関係の深化に寄与すべく、さらなる発展に取り組んでまいる所存です。
最後に、本日ご列席の皆様のご健勝とご発展を心より祈念申し上げるとともに、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げ、式辞とさせていただきます。
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