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- ルワンダ ― 注目分野(水衛生分野)
直面している課題
2022/2023年度 | 目標値(2024年) | |
改善された水源へのアクセス率(%) | 82.3 | 100 |
基本的な飲み水利用している割合 (改善された水源まで30分以内)(%) |
52.5 | 100 |
安全に管理された飲み水を利用している割合 (各戸給水)(%) |
17.9 | 38 |
無収水率(%) | 42% | 25% |
基本的な衛生施設へのアクセス率 (Not shared)(%) |
72.3% | 100% |
- 地方においては給水施設の整備、水源の適切な維持管理、利用者の衛生意識改善等が課題。ルワンダ政府は500m以内の「改善された水源へのアクセス率」を2024年までに100%にすることを目指しているが、2019/2020年度時点で56.8%と依然と低く、パイプ給水施設の整備が課題。また地方では運営維持管理の枠組みが未確立であることから、給水施設の稼働率は6割と低く、36%(2021年)の住民は湧水または井戸を主な水源として利用している。実際に改善された水源へのアクセス率は、統計値より更に低いとも推定されている。加えて、2割近い住民が雨水を生活用水として利用しており、煮沸処理などをしていない世帯は39%、過去2週間以内に下痢症に罹患した人の世帯は17%と、衛生意識が低いことが安全な水へのアクセスの妨げの要因となっている。
- また、「安全に管理された飲み水」(各戸給水に加え井戸・湧水等を含む)(※1)へのアクセスは、数ある社会サービスの中でも公衆衛生の向上や生活環境の改善に不可欠であるが、ルワンダはアクセス率が12.1%と他のアフリカ諸国の30%と比較しても低く(※2)、喫緊の対応が必要となっている。
- ルワンダ全体で水源不足や多くの漏水等による高い無収水率(全国42%、2022/2023年度)により、恒常的な給水制限・停止を余儀なくされており、特に都市部ではキガリ市の急速な都市化及び急激な人口増加に給水サービスが追い付いておらず、都市水道サービスの質は低い。今後、更に増加する需要に対応し、質の高い給水サービスの提供を実現するためには、計画的かつ戦略的な給水施設の建設、送配水網の整備、給水サービスの質向上、実施機関の維持管理体制の改善が喫緊の課題となっている。
- 衛生分野について、「基本的な衛生施設へのアクセス率」は全国で必要な数の72.3%(2022/2023年度)に留まっており、施設整備不足が課題。下水処理はキガリ市内でAfDB等の支援による同国初の公共下水道システムの整備が進められているものの、2023年時点では少数のホテルや病院、一部の住宅地における浄化槽設備に限られている。廃棄物管理は、民間の委託業者による収集サービスは存在するが、ごみ処理プラントはなく埋立地で最終処分されている。分別、リサイクルは十分に行われておらず、総合的かつ持続可能な廃棄物管理体制の未整備による環境負荷や健康リスクが課題。
- 気候変動対策において、ルワンダはND-GAIN 指数(2019年) で世界14 番目に脆弱な国と位置付けられ、西部は地滑りと浸食、中央部は洪水、東部及び南部では干ばつ・乾燥と地域により異なった影響を受ける。既存の給水・衛生設備は気候変動に対して脆弱であり、被害を受けると回復に時間を要するため経済社会に大きな影響を与える。科学的な知見に基づいた気候リスク分析、計画策定、対策の導入及び関連機関の能力強化が課題。
(※1) Drinking water from an improved water source which is located on premises, available when needed and free of fecal and priority contamination. (配管給水、深井戸、保護された浅井戸・湧水、雨水に相当する水源で、敷地内にあり、必要な時に入手可能で、糞便性指標や優先度の高い化学物質指標の汚染がない。)
(※2) Joint Monitoring Program, 2020
当該分野の現状
- 2024年のNST1終了以降の水衛生分野戦略文書として、「National Strategy for Transformation (NST)-2 」(2025~2030年)を策定途中であり 気候変動、ジェンダー、公平性、包摂性の影響に対する強靭性に重点を置き、新しい水衛生分野の政策策定、実施計画の更新などを予定している。
- 地方部においては、特に安全な水へのアクセスが悪く、ルワンダ政府は政府資金及び開発パートナーの協力を得て、給水施設の整備、実施機関への能力強化及びコミュニティにおける給水施設の維持管理能力の向上を図っている。
- 加えて、当国の重要な水源である湧水は適切に管理されておらず水因生疾患の一要因になっているため、保健、栄養セクターの支援と補完活動をする等、マルチセクターの課題解決に向けた協力も検討されている。
- 都市部においてはJICAの支援で2021年に策定した「キガリ市上水道改善整備マスタープラン」の実現支援が当面の課題であり、 ルワンダ政府による自己投資の促進を行うとともに、開発パートナーからの融資や民間投資による浄水場運営の検討を進めている。
- 下水処理、廃棄物管理においては、汚染物質が環境や健康に及ぼす被害の調査・分析を実施し、中長期的には対応案の計画策定・実施に取り組んでいる。将来的な下水・廃棄物処理に係る仕組みづくりや政策や法制度の整備、市民の環境に対する意識向上を担う高い専門性を持ちリーダーシップを発揮できる人材育成を検討している。
- 気候変動対策に関しては、気候変動影響予測に係る科学的知見に基づいた長期的な災害リスク情報(ハザードマップ等)の普及や構造物整備に防災の視点を取り入れるべく、ガイドラインや体制の整備及び統合水資源管理を含む強靭性のある水供給体制の強化のためのルワンダ政府内の取り組みの強化を目指す。
参考リンク
■ JICA関係プロジェクト
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